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【小松菜奈×坂口健太郎】映画『余命10年』インタビュー
「ポジティブな気持ちになれた」
――小松菜奈
「びっくりするほど泣いた」
――坂口健太郎
自らの余命を知り、生きることに執着しないよう、恋だけはしないと心に決めた茉莉。そんな時、同窓会で再会した和人と急接近していく。生きることに迷い、自分の居場所を見失っていた和人は、茉莉と恋に落ち、立ち直っていく。病に侵されていることを隠して、どこにでもいる男女のように和人と楽しい時を重ねてしまう茉莉。思い出の数が増えるたびに失われていく残された時間。2人が歩んだ10年、そして最後に選んだ道とは?
この説明だけで泣けるし、試写で涙する人が続出しているともっぱらの評判だが、小松&坂口も本作を観た人の感想が気になる様子で、坂口が「どうでした?」と切り出した。
小松関係者だけの試写の後って、「お疲れ様でした」「ありがとうございました」と一通りあいさつだけして帰っていくことが多いのですが、気づいたら2時間くらい立ったまま、皆さんお話しされていましたよね。そんなこと今までなかったな、と思って。
坂口ないね。
小松「亡くなったご家族のことを思い出してしまって…」と泣きながらお話ししてくださった方もいて、一緒に泣きました。自分も役作りで減量して大変だったことや撮影中にあったいろんなことを思い出して、涙なしに映画を観れなかったのですが、観終わった後、いろんな方の感想を聞いて、自分と同じ気持ちだと思ってうれしくなったり、一緒に泣いていたり。映画を観てくださった方の気持ちに寄り添えたらいいな、と思ったんです。
坂口和人はこの物語の中では、茉莉ちゃんのことをずっと、ちゃんと、好きでいるだけでよかったというか、だけど、その愛するエネルギーをどこまで迫真で演じるかは、すごく難しかったです。撮影がなかった時間(2020年の夏からスタートし、冬を越して、21年の初夏にクランクアップ)、別の作品の現場に入っていても、どこか茉莉ちゃんのことやこの作品のことを思っていました。時間があったからこそ一歩引いて考えることもできて、考え抜いた結果の芝居ができたところもあります。
坂口こういう作品を見た後は、誰にとっても限りある命、一日、一日を大事に生きたい、と思う。思うんだけど、それがどれだけ実践できるかといったら、正直、難しいじゃないですか。「今日、何にもしていないな」という日だって絶対あるし、逆に超頑張ったと思える日もあって。それでいいのかな、と思ったんですよね。
季節をまたいで、撮ったものがつながって、初号を観た時に、茉莉は自分の人生を生き切ったんだな、と思うことができました。死に向かっていく話ではなくて、どう生きていくかの話。茉莉という一人の人間が生きる姿が刻まれていた。いわゆる“余命モノ”のイメージとは一線を画する作品になったな、と思いました。
小松茉莉を演じている時は、一分一秒を大事に生きよう、息をする事さえも丁寧に向き合ってきました。自分じゃないのに自分の中に2つの人生があったような一年を過ごす中で、私は茉莉の人生を生きながら、自分の人生を見つめ直すことができました。何かきっかけがないと、なかなか自分を省みることってできないじゃないですか。
さらに、この2年くらいは、コロナ禍で、改めて人と会えることの大切さに気付かされて、身にしみたというのもあり。さらに限りある人生だと思ったら、丁寧に生きよう、何でもやってみよう、というポジティブな気持ちになりました。
山田裕貴 奈緒 井口理 / 黒木華
田中哲司 原日出子 リリー・フランキー / 松重豊
原作:小坂流加「余命10年」(文芸社文庫NEO)
監督:藤井道人
脚本:岡田惠和 渡邉真子
音楽・主題歌:RADWIMPS「うるうびと」(Muzinto Records / EMI)
製作:映画「余命10年」製作委員会
制作プロダクション:ROBOT
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C)2022映画「余命10年」製作委員会
撮影:松尾夏樹