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『SING/シング:ネクストステージ』が日本人に刺さる理由 “世界唯一”の完全吹替を実現した制作チームの裏側とは

(C)2021 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

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『ミニオンズ』などのイルミネーションが手掛ける長編アニメーション映画の続編『SING/シング:ネクストステージ』が、3月18日に劇場公開された。前作『SING/シング』は、日本で興行収入50億円突破、週末動員数4週連続1位など驚異的なヒットを記録。世界で唯一全編吹替版が制作され、内村光良やMISIAが声優を務めたことも話題を呼んだ。本作でも豪華声優陣が続投するほか、アーティストの稲葉浩志が初の声優に挑戦し、アニメの域を超えるパワーアップした本格エンターテインメント・ショーが展開。さらに、"日本人に刺さるトレンド"が数多く盛り込まれたその内容とは?

歌だけじゃない、アクロバットにワイヤーアクションまで演出 前作のスケールを超えた極上のライブ体験に

 記録的大ヒットを生んだ前作から5年。コアラの支配人・バスターの奮闘で再建されたニュー・ムーン劇場は連日満員で、おなじみの仲間たちも地元の人気者になっていた。さらなる野望に燃えるバスターは、エンターテインメントの本場で自分たちのショーを開催するべく、ツテもコネもないままに仲間たちと大都会に乗り込む──。

 さまざまな挫折やコンプレックスを抱えた動物キャラクターたちが、歌う喜びとステージへの挑戦によって自分の殻を破り、夢をつかむ姿を描いた前作には、60曲以上もの新旧ヒット曲がラインナップ。日本語吹替版の個性豊かな声優陣による歌唱シーンと、キャラクターの背景や心情を落とし込んだ絶妙な訳詞も観客の心を掴んだ。

 そうした前作の魅力を踏襲しつつ、"エンタメの聖地"に舞台を移した本作では、超豪華なミュージック・ショーが展開。アクロバティックなダンスやワイヤーアクションなどライブ感溢れるパフォーマンスも盛り込まれ、前作のスケールを超えた極上のライブ体験に進化している。

今作でしか見られない、トップ声優陣&豪華俳優陣の夢の共演! 注目の歌唱シーンが日本人に“刺さる”理由とは

  • (C)2021 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

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 全世界でのヒットはもとより、日本における『SING/シング』の熱狂は凄まじいものがあり、数々の記録を樹立。さらに新作には前作にも増して日本人に刺さる要素が随所に盛り込まれており、イルミネーション側が日本人の"SING愛"に答えてくれたのでは? と思ってしまうほどだ。

 世代を問わず、アニメが大好きという人が多い日本では、劇場版アニメが観客動員ランキングの上位を占めることも珍しくなく、『SING/シング』を制作するイルミネーション作品でも『ミニオンズ』や『ペット』などが軒並み大ヒットしている。ちなみに、今後もイルミネーションと任天堂が共同で制作している『スーパーマリオ』のアニメ映画が控えており、こちらも日本人としては気になるところだ。
  • 内村光良/バスター・ムーン(C)2021 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

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  • MISIA/ミーナ(C)2021 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

    MISIA/ミーナ(C)2021 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

 また、アニメ人気に付随して日本では声優が職業として確立しているが、これは世界では珍しいこと。『SING/シング』では、ハリウッドが誇る俳優陣がキャラクターの声を担当しているのだ。かたや近年、日本では声優の実写作品進出も目立っており、過去に何度か起きた"声優ブーム"を超えた注目が集まっている。

 そうしたエンタメのボーダレス化が進む中で、歌唱シーンも含む全編吹替版が世界で唯一制作された本作には、坂本真綾、田中真弓、大塚明夫、木村昴、山寺宏一、井上麻里奈、山下大輝、林原めぐみといった人気と実力を備えた声優陣に加え、内村光良、MISIA、長澤まさみ、大橋卓弥(スキマスイッチ)、斎藤司(トレンディエンジェル)、ジェシー(SixTONES)、アイナ・ジ・エンド、akane、大地真央など、芸人、俳優、歌手といったジャンルを超えた豪華共演が実現。さらに、字幕版でU2のボノが声を担当している「伝説のロックスター」には稲葉浩志がキャスティング。劇中では圧巻の歌声も披露しており、最強の布陣による日本語吹替版が完成した。
  • 長澤まさみ/アッシュ(C)2021 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

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  • 稲葉浩志/クレイ・キャロウェイ(C)2021 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

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 内容にフォーカスしてみると、本作はキャラクターたちの夢であるエンタメの聖地でのオーディションに挑戦するところから物語が始まる。昨今、日本ではNiziUやJO1、BE:FIRSTなど、オーディション発のグループが続々と誕生し、オーディションそのものがエンタメコンテンツとして人気を博している。本作には夢の舞台に立つまでのプロセスが綿密に描かれており、ライバルの登場に心が折れそうになったり、仲間同士で壁を乗り越えたり、努力によって徐々にパフォーマンスが磨かれていったり──といった、オーディションの魅力である応援と共感のツボがビシビシと刺激されること請け合いだ。

 エンターテインメントの喜びは日常を忘れさせてくれるが、コロナの影響でライブやイベントに参加できない状況が長らく続く今は、本作のテーマである「音楽の持つ力」がますます貴重なものとなっている。ショーアップされたライブ感が魅力の本作だけに、ぜひ高音質&大音量の劇場で堪能してほしい。

世界で唯一のオール吹き替え 音楽を日本版に置き換える難しさとこだわり

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 前作『SING/シング』が日本の観客の心をつかんだ最大の要因は、"歌唱シーンも含む全編吹替"と言っても過言ではない。前作でも「日本語で歌ってるのに、キャラの口の動きとぴったり合っている」ことに驚いた観客は多く、かつてないほどのクオリティで制作された日本語吹替版が評判を呼び、大ヒットとなった背景がある。

 完全吹替版が実現したのは世界でも日本が唯一であり、もともと映画制作サイドからは「オリジナル音源(英語)で公開してほしい」と世界各国に要請されていたという。

「しかし、本作の魅力は劇中の"歌詞"がキャラクターの心情や物語と絶妙にシンクロしていること。宣伝チームとしては『日本のみなさんには歌詞を"読む"のではなく"聞いて"もらいたい』という強い思いがありました。そこで日本最強の音楽クリエイターチームを編成し、本国サイドにプレゼンしたのです」(宣伝チーム)

 この強い思いに、本国も全編吹替を承諾。前作の挑戦があったからこそ、今作『SING/シング:ネクストステージ』でも、全ての楽曲を含めた世界で唯一のオール吹替版が実現した。

「しかし、今作は権利面からも吹替許諾を得る工程の難易度が非常に高く、時間との闘いがある中で、楽曲だけではなく、台詞部分とのバランスも鑑みて綿密に本国とやり取りを重ねる必要があり、前作と同様にチャレンジの連続でした」(日本語吹替版 本編制作担当者)
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 日本語歌詞の監修は、ジャンルを超えて数多くのアーティストに歌詞を提供するいしわたり淳治が手掛けている。

「訳詞する上で主に意識したのは、映像の口の動きに言葉が合っていること、原曲の内容に沿っていること、物語の中で歌詞が機能していること、キャラクターに言葉遣いが合っていることの4つです。これらを叶えるために言葉のパズルをしているような感覚でした。また日本人の感覚により合うように、原曲の解釈を広げて言葉を選んだりもしています」(いしわたり淳治)
  • 蔦谷好位置

    蔦谷好位置

  • いしわたり淳治

    いしわたり淳治

 さらに音楽プロデュースは、数多くのヒット曲を放ってきた蔦谷好位置が担当。

「キャストのみなさんにはピッチやリズム、ブレスのタイミングと歌唱の非常に細かい部分まで、オリジナル版を忠実に再現してもらいました。その上で演技が入った歌、映像とズレのないリップシンクも意識をするという、プロフェッショナルなみなさんにとっても、かなりハードルの高い吹替だったと思います」(蔦谷好位置)

 本国サイドの要求は高く、蔦谷は「歌詞、歌唱、リップシンク、エフェクトを含めたミックスすべてにおいてやりとりをし、本国サイドのOKが出なければ何度も録音をやり直すこともありました」と振り返っている。

 本作のテーマである「音楽の力」が響くのは、制作チームの並々ならぬこだわりが詰まっているからこそ。字幕版ではトリー・ケリーやファレル・ウィリアムスといった超一流のスターがキャストを務めているだけに、字幕版と日本語吹替版を見比べてみてはいかがだろうか。

(取材・文/児玉澄子)

『SING/シング:ネクストステージ』

(C)2020 UNIVERSAL STUDIOS

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歌のオーディションを開催し、取り壊し寸前の劇場を見事に復活させたニュー・ムーン劇場の支配人バスター・ムーン。だが、彼の夢はそれで終わらない。次に目指したのは、エンターテインメントの聖地“レッドショア・シティ”での公演だった!

バスターは仲間たちを引き連れてショービズ界の超大物、ジミー・クリスタルのところへオーディションに行き、斬新なアイデアと持ち前のハッタリで超一流劇場であるクリスタル・タワー劇場での公演の契約を取り付ける!でも、その契約には15年間、人前から姿を消している伝説のロック歌手・クレイ・キャロウェイをキャストに迎えるという条件があった。

地元の小劇場を飛び出し、途方もなく大きな舞台に立つチャンスを手にしたバスターたち。

それは、数々の困難のはじまりだった――。いま、ネクストステージに挑む彼らの、笑いと感動の物語が始まる!

3月18日(金)全国公開
配給:東宝東和
公式サイトはこちら(外部サイト)

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