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「撫でるさせてくれるまでに13年」心開いた猫のぬくもりに涙…保護活動の原点、老猫パッツンの物語
「何年もこの日が来るのを待っていた」、触ることを許してくれた猫の柔らかな毛
だがそんなパッツンも寄る年波には勝てず、最近調子を崩し弱ってきてしまった。
「触ることもできなかったので、血液検査もできなかったんです。だけど具合が悪くなり弱ってしまったせいか、パッツンから荒々しさがなくなり、病院へ連れていくことができました。検査の結果、甲状腺機能障害で肝臓も悪くなってきていたことが発覚しました」
これは高齢猫特有の病気。4年前に保護してから、何度ツメが手に刺さろうと話しかけ、世話を続け、最近は投薬治療もしていた。そしてある日、ついにパッツンが触ることを許してくれたという。そこにあったのは、やっと味わうことのできたパッツンの柔らかい毛の感触――。
「何年も何年も、この時が来るのを待っていました。パッツンが心を開いてくれて、本当にうれしかった。今の活動をしてきて良かったと思える瞬間でした」
餌やり場でパッツンと出会い、保護してからトータル13年。保護したときと同じく、喜びに笑い、そして泣いた。パッツンは最近では、ゴロゴロと甘えるようにまでなってくれたそうだ。
地域猫をすべて保護して閉じた餌やり場だが、『ねこけん』にとっては忘れることのできない大切な場所。慣れないなかで、パッツンを含む地域猫の世話、周囲への理解を求める活動は、非常に困難を伴った。しかし、その経験が今の『ねこけん』を支えているといっても過言ではない。現在も、多くの猫たちを救い、幸せにするために奮闘を続ける『ねこけん』。「今の活動をしてきて良かった」、パッツンを通じてあらためて実感した思いが、多くのボランティアメンバーを支えている。
(文:今 泉)
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