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女優の育児トーク、ママイメージがないからこそ新たな“需要”に
「まだ体重が戻っていない」「可愛いけど、壮絶」”等身大”の育児の本音を番組で吐露
今年1月の『新春大売り出し!さんまのまんま』(フジテレビ系)では、夫のDAIGOは育児に協力的なものの、「子どもが大きい声で泣いているとき、真横で爆睡していた」とまさに「育児あるある」なエピソードを披露していた。2月3日放送の『TOKIOカケル』(フジテレビ系)でも、5ヵ月かけて13キロ増から11.5キロ減量したことを明かしつつ、「自分の意志で(復帰を決めた)?」とTOKIOらが質問すると、北川は「(即復帰は)イヤでした」と即答したのだ。
かつては結婚→妊娠→出産後に復帰した場合、極力そうしたプライベートなことは表に出さない(口に出さない)のが“女優道”であり、なるべく視聴者に母親を感じさせないようにしていた。視聴者側も(やっぱりベビーシッターに預けてるのかしら)とか、(お母さんに面倒見てもらってるんでしょうね)などと想像をたくましくさせ、(どうせ私たちの出産や子育てとは違う)といった意識を持っていたはずだ。
しかし一連の北川の発言は、まさに出産・育児真っ最中のママたちの“等身大”な気持ちそのままであり、SNSでも「北川景子が語ってる育児の悩みが出産直後の私の悩みと全く一緒」「いよいよ北川景子がこちら側にきた」「オーディションから表紙モデルから女優へと駆け上がっていくところ見てたよ…今は同じ0歳児育児奮闘仲間だと思うと胸熱だな」「夫が育児できてないことをテレビで言えるのは、なんだかんだでやってくれててちゃんと信頼できてるからなんだろうな」等々、一般層から絶賛するコメントが殺到したのである。ここにきて北川は一挙に同世代・同じ立場のママたちの共感を獲得したようだが、特にパートナーにはわからない不満を“共有”しているからこそ、“同志”感覚を強めたのかもしれない。
“ママタレ”イメージない女優たちの育児トークにこそ需要、新たな共感に
実際、最近はママYouTuberとしても人気のある仲里依紗は、「息子を怒っちゃったみんな聞いて〜」と一人反省会の語り動画を投稿。「宿題の量が多くて…朝からやろうっていったのに…」「他のお母さんってこんなに怒ることあるのかな…」と赤裸々に悩みを吐露するなど、まさに“等身大のママ”の姿をさらけ出している。
また、連続ドラマに復帰した菅野美穂も、所属事務所のYouTubeチャンネルにある山崎育三郎とのドライブトーク企画で、「レゴ踏んで痛い」「誰も怒ってない瞬間って1日に5分くらいしかない」などあまりにも所帯じみた?(それわかる…)的な発言を連発し、「まさか菅野美穂からそんなことが聞けるなんて…」と話題になった。
一方、黒木メイサはInstagramのストーリーズで、フォロワーからの「産後うつや育児ノイローゼ的なものはありましたか?」という質問に「哺乳瓶洗いながら泣いてた」、「子育てでイライラした時はどうしてますか?」との質問には、「子どもの安全確保して一旦トイレ等に逃げる」「怒りの沸点を超えるのに6秒かかるとか。だから10秒くらい数える」と切実な告白をしている。今どきの女優たちは“ママ”であることをいっさい隠さなくなっている。
育児トークを“話す側”も“受ける側”も資質が問われる
2000年代に入ると、かつてのアイドルが次々と母親となり、ママである自分をブログで発信することで仕事にも結びつける「ママタレ」が誕生する。そしてこれまで見てきたように、今ではイメージを重視するはずの女優さえもYouTubeやInstagram、Twitterなどで、ママであることのあれこれを発信するのが当たり前になった。むしろ今の時代、発信しないほうが逆に不自然かもしれない。
しかし、そのことが仕事上プラスに働くこともあれば、批判の対象となって炎上することもある。先の「好きなママタレントランキング」でも、かつてのママタレがランク外となり、代わりに女優たちが上位を独占しはじめてきたことも、そのあたりの事情が影響しているのかもしれない。
SNSの普及によってあらゆることが可視化される今、タレントであれ女優であれ、たとえば育児に関わる発言にしても、そのまま本人がどういう人間であるかが表れることになる。それはトークを受ける側も同様。その中で女優のトークが光るのは、第一線に立って本業(役者業)を確立していることが大きい。“ママ”が自身の売りではないからこそ、展開するトークがダイレクトに、より深みをもって伝えられるのだ。“劇薬”でもある育児トークをどう展開していくか、今後の女優たちの発信に注目していきたい。