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ORICON NEWS
“ママタレ感”ないSHELLYが需要拡大 従来の母親像を壊す先進性とは?
いまだ“良妻賢母”が求められるママタレ、一度踏み外すとダメージは絶大
ママであることをウリとする“ママタレ”という芸能人の新ジャンルを確立し、後に小倉優子、木下優樹菜、ギャル曽根、藤本美貴、北斗晶などのフォロワーを生み出す。また、“純ママタレ”とは言い難いが、木村佳乃、森高千里、杏、篠原涼子といった面々も、ママとしての好感度を本業にプラスさせたといえる。
そんなママタレのイメージを最大限に活かすのは、前述のように「料理上手」や「家庭円満」「良妻賢母」といったハッピー系キーワードであり、レシピ本や子育て本を出版するのもお約束。多様性を重んじる風潮が年々色濃くなるものの、ママタレに求めるのは旧時代的なイメージであり、少しでもその印象から外れるような行為が表ざたになれば、たちまちバッシングの標的に。それは木下優樹菜さんの例をいまさら挙げるまでもないだろう。
ただ、北斗晶のように、ママ以外に佐々木健介の「妻=鬼嫁キャラ」を前面に出したり、それこそ“第一人者”辻希美のように「炎上→焼け野原」を繰り返しながらも、一周回ってリスペクトの対象となるパターンもあり、ママタレといえどもそれなりの“個性”を出していかなければ生き残れなくなっているようだ。
タブーにしない! 品行方正なママタレには出来ない“程よい塩梅”のぶっちゃけトーク
また、『ヒルナンデス!』(同)では、ファッションチェック的なコーナーに出演することも多く、モデルらしいセンスの良さも披露。そして番組内では、2014年に結婚→2015年に第一子妊娠→2017年に第二子妊娠→2019年に離婚発表…といった具合に、自身のプライベートに関してもあっけらかんと告白。
特に2019年末に出演した『あちこちオードリー』(テレビ東京系)では「めちゃくちゃ離婚しました」とストレートに切り出し、しかも夫側から離婚してくれと「言われた側」だったことを明かした。また、元夫がTV番組スタッフだったことから、共にゲスト出演していた東野幸治からは、「スタッフにフラれるタレントってあまり聞かない」とイジられ続け、普通は自身の離婚問題については「NGにして無かったことにする」か、「悪いのは相手」で「こっちから三行半を突きつけた」的にカッコつけるものだが、SHELLYは言い訳をすることもなく「めちゃくちゃフラれたんですよ」と照れ笑いさえ見せたのだ。
さらに今年8月23日放送『おしゃれイズム』(日本テレビ系)では、離婚の話になると「またその話になっちゃう? もうみんな飽きてるんですよ、その話!」と自虐ネタにしながらも、シングルマザー生活はきつくないかと上田晋也に聞かれると、「正直な話、すごく楽です!」ときっぱり答え、豪快に笑った。上田が「え、楽? なんで?」と驚くと、「えぇ〜、お金があるからかな?」とボケつつ、千葉県に一軒家を購入して子どもたちとのびのび暮らしているというSHELLYの姿に、さすがの上田も「確かに1年ぐらい前より幸せそうかもしれない」と容認する一幕も。
手抜きさえ肯定、“いいママ”に固執せず女性らしさも体現、令和ママタレの礎となるか?
しかし、世間離れした今どきのキラキラママかと思いきや、8月28日放送『ヒルナンデス』の料理コーナーでは、「結婚すると『料理してるの?』って聞いてくるのなんなの? 男の俳優にも聞けよ!」、(「ポテトサラダを買うのは家事手抜き」騒動を逆手に取り)「コロッケは買って帰るもの!」と強気で宣言。するとSNSでは「最高過ぎる!」「よくぞ言ってくれた」との共感コメントがあふれたのだ。
また、女性誌『VERY』(光文社)では「シェリーのこれってママギャップ?」という連載もしており、『周囲のママの目を気にして我が子を叱っちゃうのはなぜ?』、『SHELLYさんが提案「自粛中の今こそママを褒めて!」』など、シングルマザーゆえの疑問や、育児に奮闘する母親が日々感じていることを綴っている。
自身のインタビューでは、「仕事が仕事だから、ネガティブなことでも面白く伝えられたら受け入れてもらえるし、問題提起というとおこがましいけれど、みんなに考えてもらうきっかけにもなるじゃないですか。タレントでよかったというか、タレントだから私らしくいられるというのはありますね」と、しっかり自己肯定。一般的には大問題の離婚ですらポジティブに変換している。
もはや、「専業主婦」「良妻賢母」「家事料理上手の日本の母」なんて言葉は死語になりつつあり、日本の「ママ情勢」は多様化しているようだ。自立した一人の女性として、家庭でも仕事でも“頑張るママのシンボル”としてブレイクした“ママタレ”だったが、令和は違うようだ。
キラキラしたライフスタイルを披露しすぎたり、浮世離れ感が即炎上したりする中、SHELLYはバツイチ&シングルマザーを隠さない。悲観的にもならず(むしろポジティブ)、といって同情されないように肩に力が入りすぎてもいない。実に自然体なのだ。場合によっては、ママとしての手抜きさえ肯定する。“いいママ”に固執せず、女性らしさも失わず、等身大・ありのままであり続けるSHELLYは、今後の“ママタレ”のスタンダードになるかもしれない。