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「尿漏れは恥ずかしいことではない」増える女性向け“吸水ケア”CM、根強い抵抗感への挑戦
「もっと早く使っていたら…」、届いた感謝の声
「当社は、『女性向けの商品だから女性が担当する』という決まりはございません。実際、私も10年前には生理用品の開発に携わっておりました。男性だからこそ、女性にはない気付きやモノの見方ができるのではないかと考えています。もちろん、その逆も言えて、男性向けの商品に女性社員の意見も取り入れます。最終的には、ターゲット層へ確認し、商品化にあたってしっかりと意見は組み込みます」
――吸水ケアというと、なかなか人に言えない悩みでもあり、これら商品の普及、手に取りやすい工夫は、女性たちにとっても非常にありがたいものだと思います。反響は?
「大変多くの方から感謝のお声をいただいております。『今までイメージだけで使わなかったけど、もっと早く使っていたら行動範囲が広がっていた』『外に出かけるのが不安でお誘いを断っていたが、初めて使ったら快適だった。これなら安心』など、代替品から専用品に転換した方の喜びのお声が多いです。その他、様々なご相談を受けることもありますね」
――どのようなご相談ですか?
「『私の母親が尿漏れに悩んでいるようだが、どうやって吸水ケア用品を勧めたら良いか?』といったご相談を娘さんからいただくことがあります。この場合、『私(娘さん)が使ってみたら良かったから、お母さんも使ってみる?』という誘い方が良いと思います。相手に寄り添いながら勧めることで、一人で悩んでいた不安な思いが、安心感につながると思います」
「#NoBagForMe」活動への賛否に感じたこと、尿漏れもまた「1人で悩むことではない」
「はい、時には厳しいご意見をいただくこともございますが、大切なお声として真摯に受け止め改善に努めます。こうしたお声の他に、大変多くのご要望や喜びのお声をいただきます」
――吸水ケア用品ではないですが、ネット等では生理用品の#NoBagForMe(女性がより自分らしく過ごせる社会を目指し、自分に適した生理ケアを行うことを推進する活動)が話題になったときも、議論が起こりましたね。
「当社では2019年、『#NoBagForMe』という啓発活動を行ったのですが、このときはインパクトあるプロジェクト名のイメージが先行して、趣旨をご理解いただく前に、賛否のお声を多くいただきました」
――生理用品を買うときに袋で隠すか、隠さないかという議論が生まれ、女性からは賛同のほかに、「私は袋いります」という批判的な声もあったのを覚えています。
「これは『生理用品を買うときの袋をなくそう』という活動ではなく、女性が自分らしく過ごせる社会の実現を目指し、情報交換や議論の場を持っていただきたいという想いから開始しました。そもそも、生理用品を紙袋に入れる習慣は海外にはなく、日本特有の習慣としてよく理解されないまま浸透しています。当社は、こうした社会・常識に疑問を投げ掛け、消費者一人ひとりが考えるきっかけを作りたいと思っています」
――吸水ケアについても、隠さない社会が望ましい?
「そうですね。加齢とともに誰でも起こりうる症状の尿漏れは、恥ずかしいこと、1人で悩むことではないと思います。ご自身の尿漏れの状況を正しく把握し、できるだけ症状が早い・軽い段階でケアすることが大切です。“尿漏れ”について1人で悩み、不安を抱いて外出等の日常行動を控えることなく、専用のケア用品で適切に対処し、人生を前向きに楽しんでいただきたいと思います。私たちも、商品やサービスを通じて、いつまでもその人らしく生きることを応援し、健康寿命の延伸に貢献していきます」