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「芸能界にパワハラは通用しない」は本当か? 芸能人同士のハラスメントの実情とは
番組降板について「パワハラか?」と取り沙汰された梶原雄太 (C)ORICON NewS inc.
番組内でのいざこざ、“「うまく返したら」パワハラにならない?”は正しいのか
だがこの後、『快傑えみちゃんねる』出演経験の多い黒沢年雄が自身のブログに、“お笑い芸人なんだから何を言われようが受けて立つべき”、“芸人としてのチャンスを逃した”という内容を書き込み、メディアやネットの反応はさらに加熱。これらの騒動が影響したのかはさだかではないが、『快傑えみちゃんねる』は24日の放送をもって25年の歴史に幕を下ろすことが発表された。
一方、2018年末の『アメトーーク!大賞』(テレビ朝日系)では、目を閉じて話す宮下草薙・草薙航基に中川家・礼二が「目を開けろ!」と発言。草薙が「テレビで怒らないで!」と懇願する場面があり、これが「礼二が草薙にパワハラをした」とSNSで話題になってしまった。翌年4月、同番組で再び共演した際に礼二が「草薙がパッと返してくれたらパワハラにならないのに」と苦言、草薙は「もうやめよう!」と絶叫して話題を遮断するという展開に。もちろん、計算された番組上の演出なのかもしれないが、礼二が「(いじったつもりがパワハラなんて)えらい時代ですよ…」と語っていた姿は印象的だった。
視聴者による“監視”も…もはや一般社会と芸能界は地続きに
「要因の一つに、世の中の実質的な変化があるかもしれません」と語るのは、芸能関連の相談を多く受ける、日本エンターテイナーライツ協会の佐藤大和弁護士。「一般のいじめ・嫌がらせの相談件数は年々増加していっており、平成18年度では22,153件だった相談が令和元年度では87,570件に(厚生労働省『個別労働紛争における「いじめ・嫌がらせ」の相談件数と割合』より)。実に4倍に増えているのです。一般社会ではハラスメントへの意識が非常に高まっているといえるでしょう」(佐藤弁護士/以下同)
芸能界も例外ではいられず、一般社会の動きと地続きになりつつあるといえる。パワハラへの意識が高く、敏感になった視聴者からすれば、いくら番組内とはいえそれらが横行する芸能界の様子に「否」を唱えたくもなるというもの。SNSの発達により、「1億総メディア化」と言われる現代。視聴者が番組や芸能人を“監視”し、SNSで指摘・拡散することは容易だ。古い体質の大御所芸人や、演出・制作する側も従来の意識を変え、注意を払うべき時代が到来している。