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長澤まさみ、ダメな母親役で新境地「30代はリアリティある役を演じたい」

 17歳の少年が祖父母を殺害するという実際に起きた事件をベースとした映画『MOTHER マザー』で、男たちとゆきずりの関係を持ち、その場しのぎで生きてきたシングルマザーの秋子役を演じた長澤まさみ。近年はコメディエンヌとしても高い評価を得ており、明るく健康的なイメージを持つ彼女が、女優生活20年という節目の年にこの役に挑んだ意義や、今後の活動の展望について語った。

母親経験がないから、演じられるかどうか不安もあった

──映画『MOTHER マザー』の秋子は、これまで長澤さんが演じてきたどの役柄にもない毒や歪み、そして「母親という存在の闇」をはらんだ人物でした。ご自身ではこの役をどのように理解して演じられたのでしょうか?

長澤まさみ 理解という意味では最後までできなかったですし、自分で「演じたい」と強く思って出演を決めた役でありながら、現場に入る直前までどう演じたらいいのか悩みました。でもそれが答えだったんです。私自身が秋子に逃げ道や言い訳を与えてはいけないと。たしかに秋子がなぜ取り返しのつかないところまで堕ちてしまったかについては、生い立ちも関係していたかもしれないし、「秋子もかわいそうな子どもの1人だったんだ」という見方もあるかもしれません。だけど私が秋子に同情していたら、どこか手加減した芝居になってしまうんじゃないかと。それだけはしたくないと思ったんですよね。

──共感できるところが1つもない役を演じる難しさについてはいかがでしたか?

長澤まさみ 私も女性なのでいつか母親になるかもしれないと考えると、脚本に書かれている秋子の行動や言動はどれもこれも許せなかったし、怒りも湧いてきました。その感情に引け目を持たず、秋子に対して最後まで厳しく向き合えたことが、最後まで演じる道しるべのようなものだったと思います。

──2人の子どもたちは“毒母”の秋子を最後まで慕い続けます。演じていて母性のようなものは生まれましたか?

長澤まさみ たしかに私は子どもを産んだことがないので、母親を演じられるかどうかについては多少不安もありました。でもそこは私の力というよりも、(子役の)2人が私を母親にしてくれたんです。今でも忘れられないのが、3人で川の字になって寝ているシーンで冬華役の浅田芭路ちゃんがふいに私の手を握ってきたんです。脚本にはそんなこと1行も書いてないのに。ああ、小さい子の手って温かいんだなあってとても感動しました。

──周平役の奥平大兼くんも「長澤さんがお母さんのように接してくれた」とコメントしていました。浅田芭路ちゃんも長澤さんに母性を感じたからこそ、自然とそういう行動になったのかも?

長澤まさみ 芭路ちゃんの場合は、たぶん彼女の“演技プラン”だったんじゃないかなと思います。彼女はクランクインの日にも「もっとお芝居がしたい」と言っていたほどお芝居が大好きで、幼いながらにしっかりとした女優でした。大兼くんも初めての演技とは思えないほど、まっすぐぶつかってきてくれて。母親を演じる上で、“プロの役者”として私の子どもになってくれた2人にはとても助けられましたね。

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