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「推しの言うことなら聞く」…ジャニーズ発手洗いダンスの本当の価値

 世界中で新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、3月29日よりジャニーズ事務所公式YouTubeチャンネルで公開されている動画『WASH YOUR HANDS』が300万回再生(4月11日現在、4本の合計)を超える注目を集めている。嵐や山下智久、KAT‐TUN、Hey!Say!JUMP、King&Princeといった錚々たるジャニーズのアイドル13組が、感染予防のため“手洗いダンス”を披露するというもの。「最高のトンチキソング」、「手洗いする気になった」とファンたちの間でも注目を集める楽曲。耳なじみの良いポップなメロディーに簡単なダンスと、とてもライトな作りの動画だが、その効果と価値は計り知れない。

厚生労働省の推奨する「正しい手洗い」を網羅した『WASH YOUR HANDS』

 この『WASH YOUR HANDS』は、ジャニーズ事務所が「感染予防を呼びかけるとともに、少しでも皆様に笑顔と元気をお届けしたい」として3月29日〜4月1日の4日間、YouTubeで『Johnny’s World Happy LIVE with YOU』という無観客のライブを配信した際、一緒に流された動画である。「♪すりすりWash、のびのびWash…♪」といった歌詞に厚生労働省推薦の「正しい手の洗い方」を網羅したダンスを乗せながら、レクチャーするというもの。

 ライブパフォーマンスがメインの『Johnny’s World Happy LIVE with YOU』は動画5本の累計が3000万回再生を超え、その後”総集編”として切り出された『WASH YOUR HANDS』のみを収録した動画は4本の合計再生回数が300万回を超えている。(4月11日現在)

 サプライズで登場した嵐がダンスだけでなく手洗いをも実践したり、山下智久がちょっと照れくさそうだったり、Kis‐My‐Ft2がぶりっこ(!?)だったり、メンバーによってはカンペ見ながらの即席収録がバレバレだったり…と、図らずもいい意味でアイドルたちの“素”がうかがえる内容にもなっている。

一国の首相や都知事の発言よりも上? アイドル達の発信は、若年層への効果的な訴求が可能

 現在、ジャニーズ事務所では5月6日までの公演の中止・延期を発表しているが、実際、芸能界・エンタメ界全体を見渡しても、ライブハウスがクラスター(集団感染)の温床とされ、各ライブ・イベント・コンサート・興行が軒並み中止・延期となり、さらには志村けんさんの逝去、森三中・黒沢かずこや宮藤官九郎など多くのエンタメ界の人気者が新型コロナウイルスへの感染を発表し、まさに暗黒期の状況だ。そんな中でも、芸能界・エンタメ界の“責務”とばかりにテレビやネットの“向こう側”にいる多くの視聴者に向けて、感染拡大防止のための注意を呼びかけている芸能人・アーティストもいる。

 しかし、その中心となる若年層側のほうは、学校が休校になり、不要不急の外出を自粛するよう政府・行政から要請されても、原宿などの繁華街に外出してはテレビのインタビューで「若い人は感染しない、症状も悪化しないと言われてるし…」、「まあ、かかったらかかったで…」と答えるなど、決して危機意識が高いとは言えない。

 そこにジャニーズ事務所が繰り出したのが、今回の「手洗い動画」だ。ジャニーズ事務所ではこれまでも、東日本大震災復興支援プロジェクト『マーチングJ』や、阪神・淡路大震災へのチャリティー活動『J FRIENDS』など、過去にも日本のピンチを救うために協力してきており、こうしたチャリティーや社会奉仕活動のノウハウは十分ある。今回も、コンサートの中止や延期でフラストレーションが溜まる一方のファンに対し、YouTubeなどの動画メディアで好きなアイドル=推しの普段では見られないレアなダンスを届けている。 

 当たり前だが、安倍首相や小池都知事など政府関係者が「手洗いをしましょう」と言うよりも、“推し”に言われたほうが何十倍も効果的である。また、推しに言われることによって、今までどこか他人事だった新型コロナウイルス感染予防が、“自分事”にもなったのだ。そういう意味では、ジャニーズアイドルたちが“手洗い”を訴えることは、何よりも効果的だと言えるだろう。

“世界平和”は、故・ジャニー喜多川氏の魂 エンタメの力で危機を乗り越えようという遺志

 そして、こうしたジャニーズ事務所の社会貢献の姿勢の背後には、故・ジャニー喜多川氏の実体験があると考えられる。1969年に初演され、その後何度も所属アイドルの登竜門的に上演されてきたミュージカル『少年たち』(2019年には映画化)をはじめ、ジャニー氏の戦争体験から、「二度と戦争を起こしてはならない」という“反戦”をテーマとしている作品が多数存在する。

 つまり“世界平和”はジャニー氏の願いであり、世界的に蔓延する新型コロナウイルスに対する今回の手洗い動画にしても、時代に即したエンタメの力で危機を乗り越えようというジャニー氏の“遺志”を感じる。
 
 明るいメロディーでノリもよく、今の暗鬱な世相に光を与えるかのようなジャニーズアイドルたちの「手洗い動画」。コロナウイルス感染終息のカギを握る若年層の心に、「推しのオススメ」という最良・最強のコンテンツとしても機能しており、ファンにとってもその価値は計り知れない。
 
 新型コロナウイルス騒動が終息し、また笑ってエンタメを楽しめる日が一日も早く訪れることを願ってやまない。

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