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「男は永遠に“中二病”…」妄想を具現化する『架空艦』は自分の一部であり“生きる糧”

作品:架空艦・重打撃戦闘艦『八島』/制作:虎一(@Toraiti09)

作品:架空艦・重打撃戦闘艦『八島』/制作:虎一(@Toraiti09)

 子どもの頃に夢想した「ぼくがかんがえたさいきょうのぐんかん…」。そんな、男の“浪漫”を『架空艦』という姿で具現化するモデラーたちがいる。今回紹介するのは、「架空艦は“自分の一部”」と断言する虎一(@Toraiti09)氏。中二病の心を忘れず、模型制作に情熱を注ぐその理由とは?

自分の頭の中にしか存在しないものを“立体化”する難しさ

  • 作品:架空艦・重打撃戦闘艦『八島』/制作:虎一(@Toraiti09)

    作品:架空艦・重打撃戦闘艦『八島』/制作:虎一(@Toraiti09)

――初めて制作した「艦船模型」は何ですか?

【虎一】タミヤ1/700「戦艦大和」が最初です。当時は艦船どころか、自衛隊の存在すら知らない子どもで、選んだ理由も「見た目がカッコよいから」でした(苦笑)。当時は模型制作の知識も無く、プラ用接着剤などではなく木工用ボンド、塗装は学校で使っていた水彩絵具でしたので、見てくれはとにかく最悪(笑)。でも、なぜかとてもカッコよく見えた記憶があります。

――それでは、架空艦を制作するようになったキッカケは?

【虎一】中学2年生の頃、いわゆる“厨二病”を発病しまして(笑)、その頃からよく架空世界の想像を小説に書いたり、絵に描いたりしていました。当時、ネットブログで架空艦を主に制作、完成品をアップしている方がいて、その時に「想像上の存在でしかなかった艦を実体化できるなんて、なんて素晴らしい事なんだ」と衝撃を受け、そこから架空艦にハマりました。そして高校1年の時に、フジミ1/700「超大和型戦艦」を使用して架空艦を初めて制作しました。

――架空艦を制作する際の難しさを教えてください。

【虎一】自分の頭の中にしか存在しないので、まずは想像を具現化しなければならないところです。頭の中では上手くいっても、それを実際に作り始めると辻褄が合わない事は日常茶飯事です。なので、いかに想像に近い見た目で、かつリアリティを持たせるかが難しいところです。元々、リアル艦艇に色々付け足した架空艦を作ろうとしていたので、実在する艦船と並べて見て違和感のないものにしています。

――架空艦をSNSで発表し、その反響はいかがですか?

【虎一】多くの方々から「カッコイイ」「自分も作ってみたい」などのコメントを頂く機会があり大変光栄に思います。賛否に関わらず反応を頂けるだけで嬉しいのですが、良いコメントを頂いた日にはついつい感極まってしまいます。

――模型制作でこだわっている部分はどこでしょうか。

【虎一】砲塔は可能な限り可動式にするところと、モールドの表現にこだわっています。正直自分の“強み”が何なのかまだ分かっていませんが、模型制作を続けることで、自分の長所を見付けていくつもりです。

架空艦に出会えたからこそ“今の環境”がある

  • 架空艦だけではなく通常のキットも制作/作品:南極観測船「ふじ」制作/制作:虎一(@Toraiti09)

    架空艦だけではなく通常のキットも制作/作品:南極観測船「ふじ」制作/制作:虎一(@Toraiti09)

――制作された中で一番の代表作は?

【虎一】架空艦・重打撃戦闘艦『八島』です。高校1年生の時に初めて作った架空艦の船体を流用して制作していて、何度も作り直しを繰り返して今の姿になりました。自分の架空艦人生の出発点となっている思い出深い作品です。

――“中二病”時代のイメージに、今の“技術”と“リアリティ”が盛り込まれている?

【虎一】そうですね。4カ月前に塗装を失敗して気を病んだこともありましたが、「コイツをこのままにはしておけない!」と奮い立ち、塗装のやり直しに留まらず、1度全て解体してもう一度作り直しました。この架空艦で多くの方と知り合えた点も、模型人生のターニングポイントになっています。

――使用しているキットを教えてください。

【虎一】フジミ模型 1/700 艦NEXTシリーズの大和の塔艦橋と、1/700 アメリカ海軍戦艦ニュージャージーの下半分の構造物をミックスし、その他の構造物は殆どスクラッチしました。船体は1/700大和のものを延長し、艦首形状を現用艦らしく鋭く、艦尾をトランサムスターンに形状変更するなどしています。舷側のモールドは一度全て削り落とし、鋼板継ぎ目をマスキングテープで表現しています。これはフォロワーさんが使っていた技法を参考にしています。先ほども言いましたが、「現実にはないけど、存在してもおかしくないような見た目」を第一に、自分らしい“浪漫”をプラスして、武装の載せる位置などを慎重に考えています。

――制作を通じて感じた技術的な「壁」はありますか?

【虎一】まだ突破できていないのですが、エッチングパーツなどの組み立てがどうにも上手くできません。エッチングパーツのみで構成される部品の組み立てはいつも失敗してばかりで、その時は仕方がなくキットのパーツをそのまま付けるか、パーツの取り付け自体を諦めていました。

――その壁とどうやって向き合っていますか?

【虎一】ネットや雑誌などでコツを調べたり、展示会などで作者の方などに聞いてアドバイスを頂いたりしています。まだまだ未熟な為になかなかアドバイス通りにいかないのですが、めげずに続けていくことこそが“突破のカギ”だと思います。

――虎一さんにとって架空艦とは?

【虎一】架空艦に出会えたからこそ、“今の環境”にいるんだと思っています。親しくしてくれる方々、展示会に参加する機会を作ってくれた方、この出会いは全て架空艦がキッカケです。もはや、架空艦は自分という存在の一部であり、生きる糧です。

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