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小中学生が夢中「5分後に意外な結末」シリーズ仕掛け人が語る“進化する”児童書
“朝読”用に企画 読んだ時のカタルシスがハマるきっかけに
【目黒さん】このシリーズは、もともと学校図書館に向けたものを作ろうというところからスタートしました。というのも、小学校、中学校にはホームルーム等の前に「朝の読書(以下、朝読)」という時間があります。その時間に読んでもらえる本、特に中学生が気軽に読めるものを作りたいなと思ったのがきっかけです。
――「朝読」で読む本は自分たちで持ってくるんでしょうか。
【目黒さん】図書室にある本を読む子供たちが多いようです。学校図書室に置いてある本ならば、学習マンガや名作も認められているようです。
――小中学生に支持されている本として、「5分で意外な結末」はたくさんのタイトルが読まれています。子どもたちに支持されているのはどんなところだと思いますか。
【目黒さん】「5分」という時間と、最後にどんでん返しがあるような「意外な結末」、読んだ時に“カタルシス”がある分かりやすい構造だと思います。
――確かに、実際に読んでみましたが、予想できない展開に、短時間でグッと引き込まれてしまいました。ストーリーを構成する上でこだわっている部分は?
【目黒さん】「オチ」、「意外性」というのが、このシリーズの肝になります。ストーリーの落とし方や、意外性で物語が全てひっくり返るだけではなく、最後のちょっとした一言に気づきがあるような展開を意識しています。シリーズを展開していく中で「“飽きさせない”」というのは大きな目標のひとつです。
――1冊で30編前後が収められていますが、ストーリーは完全オリジナルのもの、原案があるものの2パターンあると思います。その理由は?
【目黒さん】展開している作品は、オリジナルが8割です。名作である作品を子どもたちが読みやすくアレンジしたものもあります。例えば、夏目漱石や太宰治、菊池寛の作品を原案にしたり、古典落語を取り入れたりもしています。
読者層は中学生から小学校高学年、大人にまで拡大
【目黒さん】「本を読まなかった子が読むようになった」という声をいただきます。私たちも子どもだけに読んで欲しいと思っているわけではなく、親御さんをはじめ、大人の方にも読んでほしいと思って作っています。編集部には70代の方からのハガキが届いたこともあり、幅広い年代の方に読んでいただいていると感じています。
――読者層が当初のターゲットだった中学生から、小学校高学年、大人にまで広がった理由は?
【目黒さん】読者が子供だからといって、悪い意味で子供っぽくしなかったこと。「5分後に意外な結末」シリーズ以外の中で、さらに「5秒後」や「5億年後」など、ストーリーの長さや切り口を広げ、飽きさせないための展開が、幅広い読者層に刺さったのではないかと思います。
――「5秒後」とはどんな本ですか?
【目黒さん】ページをめくると驚きの結末が展開します。
【目黒さん】菅原そうたさんの作品を原作に、小説と漫画を合わせたような作りになっています。「5億年」の時を舞台にした作品を軸に、個々の物語が展開されるのですが、最後に「5億年」というテーマでそれらが伏線として回収されます。
――シリーズ全体を見て、児童書っぽくない装丁が印象的です。装丁や挿絵にもこだわりがあるんですか?
【目黒さん】児童書らしくないものをイメージしています。休み時間に本を読んで過ごしている子って、「真面目」というわけではなく、「先をいっている」「大人っぽい」といったイメージがありますよね。そんなイメージを狙ってこのデザインにしました。大人の方に手に取っていただいているのも、そんなところが理由かもしれません。