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ついにあの『モンスト』も着手 “自虐CM”の効果とは?

 近年、テレビCMや企業SNSを中心に“自虐キャンペーン”を展開する企業が相次いでおり、ある種のトレンドとなっている。そんな中、今夏から放送されているミクシィのXFLAGスマホアプリゲーム『モンスターストライク(モンスト)』のCMが、「モンストがとんでもない自虐に走った!」と話題となっている。自社の弱点を自らがさらしてしまうことのリスクもあるが、なぜ『モンスト』も“自虐CM”を打ち出したのだろうか?

悲壮感ではなく、ユーモアで“内情”を露呈することが“自虐CM”成功のカギ

 “自虐CM”といってもさまざまなアプローチがあり、各社趣向を凝らしたキャンペーンを展開している。まずは、“成功事例”を振り返ってみよう。先ごろ話題をさらったのは、森永製菓のチョコレート菓子『ベイク』。公式サイトにて「かつてのアイドル、『ベイク』が何をしても売れない…」と吐露し、Twitter上で「ベイクを買わない理由 100円買取キャンペーン」と題した施策を実施。すがすがしいほどの「自虐的っぷり」に注目が集まり、5万2000件もの意見が寄せられ、Yahoo!ニュースのトップページにも掲載された。

 また兵庫県姫路市にあるレジャー施設「姫路セントラルパーク」は、「日本一、心の距離が遠いサファリパーク」というキャッチフレーズを掲げた“自虐CM”を制作。さらに三重県志摩市にあるテーマパーク「志摩スペイン村」も、とにかく人が少ないことを最大限に生かし、HP上で「並ばないから乗り放題」、「空いてるから映え放題」などの自虐アピールを展開し、SNS上で話題をさらった。

 こうして見ると、いかに悲壮感たっぷりではなく、ユーモアを織り交ぜて“内情”を露呈することがカギとなっており、その微妙なあんばいに成功した企業のみがSNS上でバズっているのが現状のようだ。

リリースから6年経った『モンスト』 爆発的ヒットもスマホを取り巻く環境が変化

 そんな中、“自虐CM”に参入したのが『モンスト』だ。

 そもそも『モンスト』は、2013年10月10日に正式リリース後、DL数は急増。今年7月には、世界累計利用者数が5100万人を突破したという。開発当時の経緯について、同社モンスト事業本部の岩村康平さんはこう振り返る。

「『モンスト』は、コミュニケーションツールとして開発されました。弊社はもともと、社名でもあるSNSの『mixi』を運営していることから、コミュニケーションサービスに重点を置いて展開してきました。開発当時は、携帯電話がガラケーからスマホにシフトしていたタイミングでもあり、スマホアプリなら対面でコミュニケーションが盛り上がるのではと考え、『モンスト』を制作しました」

 『モンスト』の爆発的ヒットは周知の通りだが、近年、その勢いにも陰りが見えている。同社によると、エンターテインメント事業の売上高が伸び悩んでおり、3年連続で減収減益が続いているという。同社にとって『モンスト』事業は主軸のため、同ゲームが不調だと、経営に大きな影響を与えかねない。

 こうした現状について、岩村氏はこう話す。「スマホを取り巻く環境が、6年で劇的に変わりました。他社からアプリゲームが多く配信されるようになり、リリース当時は『モンスト』をプレイしてくださっていた方も離れてしまったり、動画や漫画に流れてしまったり…。競合はゲームに限らず常に増えているので、いかに毎日『モンスト』を楽しんでもらえるかが課題だと捉えています」

「クロちゃんは、良くも悪くもSNSと相性がいい」

 そこで同社は今夏、『モンスト』の“自虐CM”で大きな勝負に出る。同社は7月から、『モンスト』の不満をSNSに書き込むと収監される刑務所「モンストプリズン」を舞台にした、ドラマ仕立てのシリーズCM「モンストプリズン」を展開。主演には、自身も『モンスト』ユーザーである俳優の瑛太を起用。瑛太演じる“青田”が、SNS上で「モンスト、オワタ」とつぶやいたため、「モンストプリズン」に収監されるシーンから物語はスタートする。
 もはや公式認定の“自虐CM”に対し、SNS上では「自虐ネタ、ほんと草」、「自虐ネタを公式が言うのは面白い」と話題となっている。“自虐CM”を打ち出した理由について、岩村氏はこう語る。

「これまで我々は、イベントやSNS上での投稿を通して、ユーザーの皆さんの想いを痛感してきました。実際、『モンストがもっとこうなったら楽しいのに』といった要望もありました。そこで、『モンストよ!俺たちの声を聞け!』というキャッチコピーを打ち出し、SNS上で議論や意見交換がより活発になるよう、『モンスト』の話題化を狙って、“自虐CM”を展開しました」
 CMでは、俳優の成田凌や女優の今田美桜など旬な俳優陣が出演する中、注目を集めているのが、お笑いトリオ・安田大サーカスのクロちゃんの起用だ。クロちゃんは、「モンストプリズン」内で好き勝手を繰り返す“黒川所長”役として、ヒール役を熱演。今田演じる“緑ちゃん”に対して「所長は緑ちゃん、だぁいすき」とメロメロになるさまを見せるなど、クロちゃんらしさ全開で演じ切っている。またTwitter上では「モンストプリズン黒川所長」のアカウント(@monst_kurokawa)まで開設。「#俺たちの声を聞け」というハッシュタグを通じて、日常で感じる『モンスト』の“不平不満”を募るキャンペーンも実施した。

「主演は瑛太さんですが、影の主役はクロちゃんだと思っています。クロちゃんは、自身のアカウントがいつも話題になっていますが…(笑)。良くも悪くもSNSと相性がいい方だと思っていて、世間から本当に憎まれているわけではないと思うんですよね。黒川所長のアカウントも、炎上まではいかなくとも、SNS上でのユーザーとのコミュニケーションの“ハブ”的な役割になればと考えています」
 実際、SNS上では「モンストオワタ、その通り」、「CMの通り、ガチャ外れすぎ」、「モンストが悪いとかじゃなく、6年も経てばいろんなゲーム出るし…」といったユーザー間での議論が活発化しており、なかには「モンスト復帰しまーす!」、「モンスト再ログインしてみた」といった投稿も見受けられた。岩村氏は「最終的には、“友達が友達を呼ぶ”といった口コミで広げることができればと考えています。SNS上やリアルな会話の延長線上で広まれば、現在のユーザーの皆さんはもちろん、『モンスト』をプレイしたことのない方や、過去にプレイしていた方も参加する機会が増えるのではと思っています」と話す。

一方、“自虐CM”にあたり社内では議論も

 だが“自虐CM”を制作するにあたり、社内では議論があったと、岩村氏は振り返る。

「『モンスト』に対するいろいろな意見がある中で、どうしても解決できないこともあるんですよね。社内からも『ゲーム内の改善は時間を要する』といった意見が出るなど、議論になりました」

 『モンスト』への不満の多くは、「ガチャ引きたいから、オーブもっとくれ」、「ガチャで強いキャラが出ない」といったものだ。またリリースから6年経ち、ユーザー間のレベル差も生じてきているという。こうした現状に対し、岩村氏は「前向きに検討したい」と見解を示す。

「要望や不満を投稿してくださるというのは、ある意味、ユーザーが期待してくれている証拠。今回いただいたご意見に真摯に向き合い、少しでも改善していけるよう、前向きに検討していきます。これからもユーザーの皆さんに、『モンスト』のサプライズが届けられるよう、施策を展開していきたいです」

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