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これがストロー?全身可動のロボットフィギュア、制作の原動力は「地元岡山への愛」

 ストローとハサミだけで躍動感ある龍やエビ、精巧なロボットフィギュアを造り出すクリエイターがいる。岡山県で理容師として働く平田慎一さんだ。昨年は『TVチャンピオン極〜KIWAMI〜ストローアート選手権』で優勝。さらに自著『ストローアートの世界』も出版し、ワークショップを開催するなど、講師としても活躍している。キャリア8年、兼業クリエイターが明かす制作のこだわりと今後の展望とは。

理容師兼ストローアーティスト、制作のきっかけは「子供向けサービスだった」

――昨年『TVチャンピオン極〜KIWAMI〜ストローアート選手権』で優勝され、周囲の反響はいかがでしたか?

【平田さん】 ありがとうございます。あまり公言してないのですが、TVチャンピオンに出演することが私の夢でして。当時番組は終了していましたし、まさか復活したTVチャンピオンに出て、しかも優勝することができるなんて夢にも思いませんでしたね。昔からある番組の続編なのでよく知る人も多いですし、反響は大きかったです。ワークショップなどで展示している作品を見て、「テレビ見ました!」と言われたこともあります。

――ストローアートは2011年12月頃始められたとうかがいました。

【平田さん】 私は実家の理容室で働いているんですが、お店に来る子供向けのサービスとして始めたのが最初ですね。カットが嫌な子もいますし、知らないところに連れてこられるのが嫌な子もいます。少しでもうちに来て楽しんでほしいと思って、当時のテレビで紹介されていたストローアートの作り方を思い出しながら作ったのが始まりです。

――平田作品ならではの特徴とこだわりは?

【平田さん】 昔からプラモデルが好きでよく作っていましたが、ストローアートにもその傾向は出ていますね。個人的に作っていて一番面白いのはロボットをモチーフにした作品です。関節部分を固めてしまうとポーズが決まってしまうので、全身可動のロボットを作ったり、指の関節まで可動するようにしたり、色々試しています。
――指の関節まで動くんですか!まるで本物のフィギュアのようですね。

【平田さん】 ロボットモチーフの中でも個人的に気に入っているのは直径3mmと2.5mmのストローで作った小型のロボットフィギュアですね。足先から頭まで8cmぐらいですが、全身の関節が動くので好きなポーズが取れますし、小さい作品なので細かさが際立ちます。大きい作品よりも小さい作品を作りこむ方が難しい。でも、苦労した分の見応えは増しますね。

――SNS上では、昨年出版された『ストローアートの世界』の表紙になった龍が人気とか。

【平田さん】 顔を覆う毛やいかつい顔の表現が受け入れられたのかなと思っています。龍はストローアートのモチーフとして基本とも言えるほど有名ですし、SNS以外でも人気があります。

子供たちに教えられるように高度なテクは使わない

――ストローアート作りの技術は独学で学ばれたそうですが、平田さん流の基本の作り方を教えてください。

【平田さん】 まずベースとなる胴体から作って、バランスを考えてパーツを付け足していく感じですね。作る前にかなり複雑な構造になりそうな場合は、絵を描いてイメージを目から取り入れながら作ります。

――精密な設計図ではなく、イメージをたよりに制作されているんですね!驚きです…。その他、制作で難しいのはどんな部分でしょうか?

【平田さん】 ずばり「ハサミの使い方」です!ワークショップもやるので、参加者がどこに苦労しているのかがよくわかります。ハサミという道具は、簡単に扱えるように思うかもしれませんが、普段から使っていない人にとっては細かい作業が難しく、最近のワークショップではハサミの使い方から教えるようにしています。ハサミの使い方と素材への慣れは、継続することでどんどん成長していくので、挑戦する人はすぐに諦めないで続けてほしいですね。

――キャリア8年、作品作りにおいて進化した部分や変化したことは?

【平田さん】 作品より、自分に変化が起こりましたね。TVチャンピオンではハサミしか使わないから「シザーハンズ」なんて呼ばれてましたけど、最近はあえてハサミのみを使うようになりました。カッターナイフで切ったり、火で溶かしたりする技法もありますし、私自身試してみたこともありますが、子供たちに直接教えることができないのでやめました。ワークショップで子供たちに「ぼく(わたし)にもできるようになる?」と聞かれた時に、「努力すれば絶対できるよ!!」と言いたいので。だから当分は子供たちと同じ土台で作品作りを続けようと思っています。

販売用ストロー発祥の地・岡山、「ストローアートで岡山の歴史を伝えたい」

――平田さんのストローアーティストとして活動は地域貢献にもなっている、とうかがっています。

【平田さん】 地域貢献というか、地域の応援ですね。私は岡山生まれ岡山育ちなのですが、日本における販売用ストローの発祥が岡山県の浅口市というところでして。その周囲にはストローを作っている会社がいくつもあるんです。ストローアートを始めたとき、素材であるストローのことが知りたくなって色々と勉強しました。

現在も付き合いのあるシバセ工業というストローを作っている会社の社長のところに「ストローの歴史を教えてください!」と押しかけたこともありました(笑)。ストローアートで岡山の歴史を伝え、頑張っている会社さんの後押しになればと思っています。

――ずばり、ストローアートの魅力とは何ですか?

【平田さん】 ストローの素材としての魅力が大きいと思います。円筒形のフォルムに、適度な硬さと粘り強さ。作品を作る上で、ストローじゃないと無理だなと思うことが多々ありますから。精神的な面で言うなら「成長の実感」を味わいたい人におすすめです。私は始めたころに数分で完成できるモチーフの作品を一週間、一日に10個ほど作り続けたことがあります。最初の一つと最後の一つを比べれば、自分がどれだけ成長したかを簡単に比較することができるので、自分にもまだまだ伸びしろがあるという自信につながりましたね。

――最後に、今後の展望を教えてください。

【平田さん】 今年度から作品の受注販売を開始しているので、そちらにも力を入れていきたいですね。また、ストローアートを本格的に教わりたい方や難しい技術の習得を望まれる方向けに、個人講座もしていきたいと考えています。ストローアートの魅力が多くの人に伝わるよう、これからも頑張ります。

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