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コント職人・バナナマンに潜む“狂気”と“可愛げ”「コントと歩んだ25年は幸せ」
25年にわたる“コント愛”を語ったバナナマンのふたり(左から設楽統、日村勇紀) 写真:田中達晃
日村がライブで垣間見せる“狂気”は、TV慣れした人をドキッとさせる
バナナマン(左から設楽統、日村勇紀) 写真:田中達晃
設楽統やっていて楽しいネタが多かったですね。一番印象に残っているネタは2番目の「Bitching」で、奥さんの愚痴をひたすら言うっていう。ビジュアルは赤ちゃんを抱えていて可愛らしいけれど、言っていることはエグい(笑)。
――テレビ慣れしているとドキッとするようなセリフも飛び出ますよね。
設楽統まずこれ、『ハングオーバー』(アメリカのコメディ映画のシリーズ)のアランみたいな感じなんですよ。日村さんのイメージが(笑)。ピチッとした感じと、“狂気”の感じ。日村さんはアランっぽい。ちょっとイッちゃっているコメディーですね。
――「cocky TODA」の(登場人物)トダは、かわいそうな男の話でした。
日村勇紀「cocky TODA」は台本がしっかりしているし、コントだけれども、フリーな雰囲気もあって、やっていてちょっと肩の力が抜けながら楽しめたので、これは好きですね。僕はバナナマンのオフィスコントがけっこう好きんですよね。
設楽統ゆくゆくは、オフィスネタだけまとめたいよね。
日村勇紀オフィスのふたりが喋っているだけとかね。それだけでも面白いと思います。
――毎回、ちょっと報われない人たちがフィーチャーされています。
設楽統そうなんですよね。でも普通の社会、会社の人間関係でもありそうなことで、後輩が生意気だの、先輩と中堅が何かやっているだの、そういうことはけっこうあることじゃないですか。あいつをこうしよう、ああしようと作戦を立てるとか、よくあることですよね。
日村勇紀バカみたいだから面白いんだよねこれ。僕はやりがいがあるって意味で言うと、ラストのネタ「one-half rhapsody」は30分間いろいろな展開が起こるし、そういうネタでもあるので、挙げたい。僕が何役も演じるネタは、そこを早く見せる面白さもあるし、これはドラマ性も高い。観ている人はどういう気持ちで観ているかわからないけれど(笑)、自分ではやりがいがありました。
単独ライブは自由にネタが試せる場「20年来のネタをついに“成仏”させた」
バナナマン・設楽統 写真:田中達晃
設楽統ありますね。“成仏”という言い方が合っているかどうかアレですが、ピアノのネタ(snitching at the PIANO)などは、20年くらい前にもうあったネタですが、出していなかったんです。それで、変わった世界観のネタがほしいって話になった時に、「つまみぐいピアノやる?」という話になって。そういう意味ではこれは“成仏”した、ついにやったっていう、そういうことはたまにありますね。
――本作では、TVで見るおふたりとはちょっと違う一面が感じられます。
設楽統2番目の「Bitching」なども本来は難しいネタで、嫌なことを言うからお客さんがひいたり、日村さんが本当に嫌な感じに見えちゃうんですよ。昔からそういうネタをやる時は「抑え目」にしてもらっています。抑えるというか、コントって、「可愛げ」がないとキツイセリフを言った時に笑えなくなる。そこが難しいんですよね。そういう意味では、今回はよくできた。過去にも似たようなネタがあったので、ちゃんと“成仏”したのかなと(笑)。
――おふたりが単独ライブを続けられているのも印象的です。素人イメージですが、大御所になると生のライブから離れる方も多いと思います。
設楽統逆に、だからこそやっているところもありますね。辞めたら「ほら辞めた」と言われそうじゃないですか。ここ数年、時間的にも厳しいっちゃ厳しいけれど、辞めたら辞めたでやっぱ辞めたなと(笑)。見えない敵と闘っているじゃないですが、それは一個あるかもですね。
日村勇紀確かに辞めちゃう人もいるけれど、25年もコンビを組んでて、毎年こういうことがあるって幸せですね。
設楽統まあやると楽しいし、今年はこれだったから、来年はこういうことやろうかとか、継続してやっているからこそ 来年はこういうものにしようかなとか、単純に好きだからやっているわけですけどね。
――やっぱりコントが好きだから?
設楽統そうですね。恥ずかしいですよね、それ言うの(笑)。とか言いながら、テレビではやってないですけれど。
日村勇紀そうだね(笑)
TVを意識しないからバナナマンの“濃度”が上がった「尺も、言っちゃいけない言葉も関係ない」
バナナマン・日村勇紀 写真:田中達晃
――デビューの頃からのやり方を実践できる場でもあるわけですね。
設楽統僕らは1年目の時から単独ライブをやっていて、あんまり変わってないんですよね。作っている内容やスタイルは、年々固まってきたりもしていますけど、ライブに向き合う感じは変わっていないです。いつかこのネタの中から、テレビでやることもあるかもしれないですけど。
――「お会計してー!」という人気フレーズも、単独ライブ発ですよね。
設楽統それ流行りましたっけ(笑)? 知り合いのスタッフ内とか、局所的には流行っていたけど。
日村勇紀あれもバナナマンのライブですね。ヒム子はいろいろやってたと思うけれど、「お会計してー!」はライブが最初ですから。
『キングオブコント』準優勝で売れた印象はない、変わったのは“意識”
設楽統お金をかけなくても面白いものはできるよって思ってました。でも、難しいところはあります。その労力と時間をかけた感じでみんなが観てくれるのかという。観てくれないかもとも思いますよね。ただ、やりたいとはずっと思っていたと思います。僕らは幸いにも深夜などでやらせてもらったほうだよね?
日村勇紀そうだよなあ。
設楽統でも今できるとなったら、やりたいです!って感じでもない。今は厳しいと思いますよ。たくさんのスタッフがいる中で誰がやるのかとか、お金がかかりそうとか、スタッフ側の目線でも考えちゃいますね。今でもやりたいはやりたいけど、毎週って言われたら難しい気がしますね(笑)。
日村勇紀大変ですよ本当に。
設楽統だから昔の人たちって、あのサイクルでやってたって驚異的だったというか、いろいろなタイミングが合わないと番組ができなかったと思うので、凄いですよね。
――コントの単独ライブを続けられているバナナマンさんですが、『キングオブコント2008』(TBS系)の準優勝が飛躍の転機になったとも言われています。その実感はありましたか?
設楽統僕らはタイトルこそ獲ってないけれど、変わったよねたぶん。大きく何がこうなった、みたいなのはないんですよ。でもやっぱり変わったんじゃないかな。実を言うと、『キングオブコント』に出てから仕事が増えた、とかはないんですよ。だから変わったとしても、“意識的なこと”ですよね。出る前と出た後で。それに、ああいう番組に出ようという気持ちが強かった時代ですから。
日村勇紀そういうの、逃げずにやろうみたいな感じだったと思うんですよ。『イロモネア』(TBS系)とか。言われたら出ようみたいな。当時は、多かったですし。
――最後に、DVDに込めた想いも聞かせてください。
設楽統いろいろと面白い感じの、バラエティーに富んだ内容になっていると思います。
日村勇紀バナナマンはコントを毎年やっているので、観てほしいですね。コントをやっていることを知らない人もいると思うので、そういう人にも観てほしいです。
設楽統普段雑談しているようなこと、普段の仲間との会話、日村さんの普段の話などをネタにして出している感じもあるので、いろいろな感じで楽しんでいただければと思います。
取材・文/鴇田崇
バナナマン最新単独ライブ『bananaman live one-half rhapsody』
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