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過去の名曲が形を変えて“再利用” 現代のCMソングは“替え歌”が主流に?

  • LINEモバイルのCMが話題の本田翼

    LINEモバイルのCMが話題の本田翼

 女優でモデルの本田翼が歌いながらダンスをするLINEモバイルのCMが話題になっている。SNSを見ると「かわいい」「ずっと見ていられる」など男女ともに好評。CMソングはデューク・エイセスやドリフターズが歌った名曲「いい湯だな」の替え歌で、これが「楽しい気分になる」「頭から離れない」と中毒(?)になっているユーザーも多いようだ。同曲の替え歌は、今年のマクドナルド“夜マック”のCMでも流れており、原曲を知らない若者たちにも浸透。現在のCM界を見てみると、CM発のオリジナルソングのヒットは減少している反面、“替え歌”を使ったCMは非常に多い。過去の名曲が形を変えて“再利用”されるメリットとは?

CM発のヒット曲が減少 反比例するように増える“替え歌”CMソング

 1980年代から2000年代はじめにかけて、CMからは多くのヒット曲が生まれた。CM起用を機にミリオンアーティストが生まれた例もあれば、タウンページの山口百恵「横須賀ストーリー」、トヨタ自動車のゴダイゴ「ビューティフル・ネーム」、ダイハツ工業の爆風スランプ「Runner」、サッポロビールの槇原敬之「冬がはじまるよ」、アサヒドライプレミアム豊穣のボン・ジョヴィ「It’s My Life」、コカ・コーラの桑田佳祐「白い恋人達」などのようにさらに幅広い層に広がった名曲たちも多い。中でもJR東海クリスマス・エクスプレスの山下達郎「クリスマス・イブ」はその殿堂入り楽曲とでもいうべき愛され曲といえるだろう。

 ここ数年でもCMをきっかけに話題になる例はあり、MECHAKARI(メチャカリ)の欅坂46「サイレントマジョリティー」、auの浦島太郎(桐谷健太)「海の声」、ホンダJADEの米津玄師「LOSER」などのほか、ホンダ『ヴェゼル』に「STAY TUNE」が起用されたSuchmosは2018年の『NHK紅白歌合戦』に出演が決まっている。

 一方で「耳に残る」「つい歌っちゃう」と注目を集めているのが“替え歌CM”。最近流れているCMソングだけでも、docomoの「一休さん」、ショップリストの「おら東京さ行ぐだ」、香味シャンタンの「SHOW ME」、indeedの「幸せなら手を叩こう」など、注目を集める替え歌のCMはとても多い。「♪クリアアサヒが家で冷えてる〜」という曲でもおなじみのお酒『クリアアサヒ』のCMは1947年に発表された大ヒット曲「東京ブギウギ」の替え歌だし、Yモバイルは「YMCA」。意外な例でいうと、ヨドバシカメラの曲と思われていそうなあのCM曲は実はアメリカ民謡の「リバプリック讃歌」。最近に限らず好まれてきた“替え歌CMが、今はそれが“替え歌過多”ともいえる状況だ。

誰もが知っているからこそ、組み合わせの意外性で勝負できる

 「耳に残る、話題性があるなど、まずは立ち止まってもらいたいコマーシャルには、小ネタで“こうくるか!”と思わせる手法もある」と話すのはメディア研究家の衣輪晋一氏。例えば「頑張る女性を称える記念日・クイーンデイ」では、松浦亜弥の代表曲「Yeah!めっちゃホリディ」の替え歌を小林幸子が突然歌い出す、世にも奇妙な江崎グリコのWEB動画。SNSでも「あのラスボス(小林)があややの名曲を!」「意外と良い」などと話題になった。

 香味シャンタンの「SHOW ME」を歌うのは明石家さんまだが、これはさんま主演ドラマ『男女7人秋物語』(TBS系)の主題歌だったため、時を経た“再タッグ”を懐かしむ“男女7人世代”の声も。2010年頃には日清のカップヌードルで、MISIAの大ヒット曲「Everything」が起用され、「湯〜入〜れ〜て〜」の替え歌フレーズに、「名曲をこんな扱いしていいのか?」と困惑の声も。

 「何度も替え歌にされる名曲もあります。先述の『横須賀ストーリー』は、歌詞もメロディーも印象的で一度聴いたら忘れないインパクトがあるからか、井上真央さんが出演したNTT西日本のCMでは『それっきり、それっきり、もう〜』と歌詞を変更して、山口弘美さんと犬が出演する撮りっきりコニカのカメラのCMでは『撮りっきり、撮りっきり、もう〜』と替え歌。まるでネタ曲のようになっているものもあります」(衣輪氏)

 既に知っているメロディーにつけた歌詞は、オリジナルのCMソングよりも耳に残りやすく、それ自体が飛び道具のような役割となってさらなる効果を発揮する場合もある。また、上記のように歌い手の組み合わせの意外さ、なつかしさ、名曲を“イジる”ことで生まれる話題性なども生まれるため、重宝されやすい。衣輪氏はこれに「現在のパロディ文化は、観客に向けてメタフィクション的に使用されることが好まれ、さんまさんの『SHOW ME』はその好例」と付け加える。

減りゆくオリジナルの“ジングル曲” 「ネットで話題になる」がCMづくりの指標に

 だが耳に残りやすいCMといえば、オリジナルの“ジングル曲”だった時代もあった。キリンビバレッジの「キリンレモンのうた」や、牛乳石鹸共進社の「牛乳石鹸、良い石鹸」などを手掛けた作曲家・三木鶏郎、日立グループの「この〜木、なんの木、気になる木」や、明治「チェルシーの唄」、新興産業「パッとさいでりあ」などの作曲家・小林亜星などが、CM“ジングル曲”の名曲を数多く残している。ほかにも、「ドンタコス」「ポリンキー」「スコーン」などの湖池屋、青雲、タケモトピアノ、ハトヤ、富士サファリパーク、森永チョコボールなど、遡ればジングルCMは数多くある。
現在も、SUMOやヒガシマル、消臭力など、印象的なジングルがあるにはあるが、やはり減少している印象があり、替え歌CMに頼りすぎ感は否めない。

 「これはインターネットの浸透と無関係ではない。例えばネット掲示板の実況板などを見るとCMにも多くのツッコミが入っておりユーザーは替え歌CMにも大盛り上がり。SNSでも先述の本田翼さんの踊る姿が“かわいい”と盛り上がってまとめサイトも作られたほど。録画機能や動画配信などでCMが飛ばされやすい昨今、CM制作も若者向けでは“ネット動画にあげてもらえる”“ネットで話題になる”作り方に変わってきている。話題になったこと自体がネットニュースになりやすい現在、それは目に付きやすく実数以上に増えた印象になりますよね」(衣輪氏)

 テレビにおいて中年層以降をターゲットとしたCM、商品が多いということもあるだろうし、昔の歌であれば「もともとはこういう曲でね」など、家族の会話にもつながりそうだ。しかし一方で“守り”に入っているように見えないこともない。今後も替え歌CMの歴史は続くだろうが、それとは別軸で後世まで残るCMソングが新たに生まれ、その時代を彩る新たなオリジナルCM曲の誕生にも期待したい。

(文/西島亨)
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