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若年層もザワついた『ハズキルーペ』CMのインパクト “ルーペ=老人”を覆す戦略とは?
あのCMアイデアを発案したのは渡辺謙本人だった
そこから、松村氏は「怒り」をプレゼンスタイルで表現しようと思いつき、CM冒頭の「叫び」シーンが誕生。商品説明のナレーションなどを一切省き、渡辺にすべてを説明してもらうべく脚本をすべて書き直した。
渡辺は、撮影の2日前からホテルに缶詰めとなり自ら演技の構想を練り続け、本番に臨んだ。そんな渡辺の熱意と“怒り”のこもったCMは今春から放送が開始されるやいなや、SNSでも大いにザワつきを見せていた。
中でも、Twitterでは「ハズキルーペのCMの全力演技を見てると、渡辺謙はほんとプロだなって思う」「ハズキルーペの渡辺謙のキレ具合好きなんだけど」「ハズキルーペの菊川怜の尻に敷く強度試験のくだりやっぱおもろい」「ハズキルーペのCMで渡辺謙が『企画書も新聞も小さ過ぎて読めなぁい!』と叫ぶのが我が家でブームとなっている」などの反響を巻き起こした。また、同CMのインパクトをタレント・伊集院光が4月9日放送のラジオ『深夜の馬鹿力』(TBSラジオ)で「テレビを捨ててしまった人は買い直してでも見るべき」とまで絶賛したことも話題を呼んだ。
“怒り”をCMテーマにしたとき、「大丈夫かな?」と不安もあった
CM第2弾では、俳優・舘ひろしが娘とディナーを楽しみながら、窓に映る打ち上げ花火を鑑賞するというダンディーな雰囲気を演出。拡大鏡のイメージにクールでファッショナブルに変えることに寄与した。
そして今春、これまでのムーディーなテイストを覆す、迫力満点のCMへとつながった。「これまで放映してきたイメージからガラリと変わるので、正直、渡辺さんのイメージを損なわないか、大丈夫かなと不安もありました」と松村氏は回顧。
だが、松村氏には、もうひとつ渡辺謙を起用したい理由があったという。それは、『ハズキルーペ』の全世代への購買ターゲットの拡大だった。第1弾のCMは、当時60代だった石坂のイメージが浸透。「お年寄り向けのルーペ」というイメージで、実際に60代以上の高齢者へ購買層を獲得した。
続く、第2弾の舘出演CMでは、購買層が50代にまで拡がりを見せた。そして、今回の渡辺のCMでは、40代から30代まで裾野が広がったのだ。「急に若い世代が夫婦そろって買いに来た」と量販店から報告を受け、渡辺謙の“名”演技が幅広い層の購買意欲を喚起したと松村氏は実感した。
「CMは企業ブランドを作り上げていくメッセージ」 今秋には新たなCMで仕掛ける
実際にテレビの地上波では数多くの番組でCMを放送。『情報ライブミヤネ屋』(日本テレビ系)、『ひるおび!』(TBS系)、『徹子の部屋』(テレビ朝日系)、『ワールドビジネスサテライト』(テレビ東京系)などの帯番組など、連日2〜7番組でオンエアされている。
今秋には、20代をターゲットに新たなCMを投入する予定。その新CMの中身について松村氏は「ビックリすると思いますよ」とニヤリ。
ゆくゆくは世界へのマーケットを構想していることも明かしてくれた松村氏。文部科学省がまとめた17年度の学校保健統計調査によると、裸眼視力が「1.0未満」の小学生の割合は32.46%と過去最高になった。スマートフォン(スマホ)や携帯ゲーム機などの長時間利用が視力の低下の一因と見られ、日本人の視力低下は社会問題ともなっている。潜在需要の高いハズキルーペが今度はどんなCMを打ち出して、話題をさらうのか注目したい