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アニソンの“ロックヒロイン”LiSA、アニメとロックの融和で「既定路線」を打破

  • 初のベストアルバムがオリコン週間1位、2位を獲得、25日(金)に『MUSIC STATION』(テレビ朝日系)に出演するLiSA

    初のベストアルバムがオリコン週間1位、2位を獲得、25日(金)に『MUSIC STATION』(テレビ朝日系)に出演するLiSA

 歌手のLiSAがソロデビュー7年目で初ベストアルバム『LiSA BEST‐Day‐』『LiSA BEST‐Way‐』を2作同時発売し、5月21日付オリコン週間アルバムランキング(集計期間:5月7日〜13日)で1位・2位を独占した。女性アーティスト史上、浜崎あゆみ、JUJU、西野カナに次ぐ快挙を成し遂げたLiSA。2011年以降、アニソン歌手としてトップを走り続ける彼女の知られざる魅力とは?

ワンマンライブに2万5000人動員、アニメとロックの両ファンを引き付ける稀有な存在

 今、アニソン界の“ロックヒロイン”と言われるLiSA。その勢いは留まるところを知らない。LiSAは2010年にメジャーデビュー、11年4月に初のCDとなるミニアルバム『Letters to U』を発売。11月には初シングル、アニメ『Fate/Zero』のオープニング曲「oath sign」を発売し、12月5日付のオリコンランキングで5位を記録した。次の2ndシングル「crossing field」もアニメ『ソードアート・オンライン』のオープニング曲。“信頼”をテーマにした楽曲で、12年8月20日付のオリコンランキングも1st同様5位となった。

 以後、LiSAは順調にライブ活動や楽曲リリースを重ねていき、14年12月にはアニメ『ソードアート・オンラインII』のエンディング曲「シルシ」を発表。シングルとしては初めてのバラード曲に挑戦し、これまでアップテンポの曲が多かったLiSAの新たな魅力が引き出され、12月22日付オリコンランキングでは3位を記録する。

 そして16年11月、2万5000人を動員した横浜アリーナのワンマンライブ『LiVE is Smile Always 〜NEVER ENDiNG GLORY〜「the Sun」&「the Moon」』のアンコール1曲目で、『劇場版 ソードアート・オンライン‐オーディナル・スケール‐』の主題歌「Catch the Moment」(17年2月27日付オリコンランキング4位)を初披露。本映画のヒットに加え、『スッキリ!!』(日本テレビ系)、『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)などのメディア出演によりLiSAの存在を広く世に知らしめ、初動で2.7万を売り上げる大ヒット曲となったのである。

 同時に、自身初となる3都市4公演のアリーナツアー「LiVE is Smile Always〜LiTTLE DEViL PARADE〜」を敢行する契機にもなったという、ファンともども思い出深い曲でもあり、現時点のLiSAの代表曲となっているメモリアルな一曲なのだ。

緻密な“デート”プランで、ファンと一緒に楽しむライブに

 まさにアニソン界のトップランナーとも言うべきLiSAだが、彼女の魅力はいったいどこにあるのだろうか。彼女自身はエンタテインメントビジネス誌『コンフィデンス』(オリコン)のインタビューで、「LiSA というアーティストを作ってきた2つの大きな柱は“アニメ”と“ライブ”」とし、さらに「私はきっと、ファンの方がいなかったら歌っていないと思っています。辛いことや傷つけられたりすることもあるけれど、少しでも楽しんでくれる人たちがいるのであれば、その人たちのために頑張りたい。何者でもない私を見つけてくれた皆の笑顔が続くように歌いたい」とその覚悟を語っている。

 つまりLiSAは、数多くのアニメのテーマ曲をヒットさせながら、東名阪アリーナツアーも開催し、ロックフェスにも出演、海外でもライブを行なうなど、彼女が「(ファンとの)デート」と呼ぶライブ活動も両立させていることが最大の“強み”なのである。

 もちろん、デビュー後すべてが順風満帆だったわけではない。14年1月にLiSAは体調不良の中で初の単独武道館ライブを行なったが、思うように声が出せず、こらえきれないほどの悔しい気持ちを味わったことがあるのだという。その当時、「あの武道館ライブが、私の今までのライブ観を変えてくれた」と振り返っている。ライブを“デート”と表現する彼女は、「これまでのデートは、私がホスト役として作戦を練ってみんなを“楽しませる”ものだと思っていたんです。でも武道館では、とにかくみんなと一緒に同じ時間を過ごせることが本当に幸せで。ライブ中に起きるいいことはもちろん、悪いこと、ハプニングもみんなと一緒に楽しんでいきたいと思ったんです」と語っていた。完璧な“デート”にするために緻密に計画を練るが、単にファンを“楽しませる”ことに終始せず、ライブが楽しくてしょうがないという自身の気持ちをファンと“共有する”ことで、悔しい経験をも昇華させていったのだ。

 さらに“アニソン”に対する思いにしても、「自分もアニメ作品を作っている1人。制作の皆さんと同じように、アニメに寄り添う楽曲作りを意識しています」と、多くの楽曲の作詞を担当するLiSAならではの“プロ意識”をも見せつけた。

アニソン歌手の“既定路線”にとどまらない、未来の可能性を切り開く

  • LiSA『LiSA BEST ‐Day‐』(初回限定盤)

    LiSA『LiSA BEST ‐Day‐』(初回限定盤)

  • LiSA『LiSA BEST ‐Way‐』(初回限定盤)

    LiSA『LiSA BEST ‐Way‐』(初回限定盤)

 ただ、そんなLiSAにも“苦悩”はあったようだ。現代のアニソンシーンのトップを走る彼女であるがゆえに、「アニソン」や「女子」と括られてしまうことの“悲しみ”である。本人も「もともとはロックバンドをやっていたのですが、アニメのテーマ曲を歌わせてもらうようになり、『アニソンでしょ』って言われるようになって。バンド時代も男子たちと対バンをしたいのに、女子たちのグループにしか入れてもらえなかった。それと同じだなと。でも、私は自分が女子であることが好きだし、アニメもたくさんの人に知れ渡るといいなという愛情を持って関わらせてもらっている。女子やアニソンであるがゆえに行けない場所や手に取ってもらえないことがあるのは悲しかった」と明かしている。

 しかし一方では、「でも、続けていくことによって、ロックフェスにも出演させてもらえるようになったし、アニメという枠を超えて、多くの人に歌が届けられるようになりました」とも語っており、アニソンに対する周囲の偏見を乗り越えてきたLiSAの生き様がうかがえる。既定の場所から飛び出していこうとする“行動力”や“物怖じしない強さ”が、彼女を形作る魅力の一つなのかもしれない。

 実際、今回のベストアルバム『LiSA BEST‐Day‐』発売に際して、アキラ100%、綾小路 翔(氣志團)、天海祐希、山本彩(NMB48)など全49組の著名人からのコメントが寄せられたほか、近年では「氣志團万博」や「DEAD POP FESTiVAL」など、アーティスト主催型のフェスや、「COUNTDOWN JAPAN」「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」「RISING SUN ROCK FESTIVAL」など大型ロックフェスへの出演を果たすなど活動の幅を拡大。さらには椎名林檎のデビュー20周年記念作品トリビュートアルバムである「アダムとイヴの林檎」にも「NIPPON」のカバーで参加するほか、井上苑子・SILENT SIREN・女王蜂・BiSHらが参加するトリビュートアルバム『美少女戦士セーラームーンTHE 25TH ANNIVERSARY MEMORIAL TRIBUTE』にも「ムーンライト伝説」のカバーで参加。LiSAがアニメアーティストという垣根を越えた存在であることは、こうした点からも窺い知ることができる。

 そして、5月25日放送の『ミュージックステーション』では、満を持して「Catch the Moment」を披露する予定のLiSA。私たちはきっとそこで、「目標はドーム」と語る彼女のアニソン歌手を超えた目標、他ジャンルとのクロスオーバーも視野に入れた“未来への可能性”を目撃することになるだろう。

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