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窪田正孝、どんなに多忙でも「昔より映る時間が長くなっているだけ」!?

 映画『東京喰種 トーキョーグール』で人喰いと人間のハーフとして苦悩する主人公・金木研を演じている窪田正孝。近年は、コミカルな役もシリアスな役もこなす実力派俳優として浸透している。そんな映画・ドラマと主演作が続く引っ張りだこの窪田が、どのように作品や役と向き合っているのか聞いた。

たとえ生きるためでも、誰かを殺すなら自分が死ぬ方がいい

――窪田さんのキャスティングに際して、原作者の石井スイ先生も「主人公の金木(カネキ)がこの世界にいるならこういう感じ」と確信があったそうですが、オファーをもらった時はどう思いました?
窪田正孝 原作を読ませていただいて、多くの人から愛される理由がわかりました。その部分をまず伝えられたらと思いましたし、原作を知らない方には、僕がひとつのアイテムとなって、『東京喰種 トーキョーグール』を知ってもらえたらと思っています。

――窪田さん演じるカネキは人間と、人間を喰らう怪物・喰種(グール)のハーフという、かなり特殊な役柄。しかもグール用のマスクがまたゾッとするほど怖い。
窪田正孝 萩原(健太郎)監督が映像美にすごくこだわる方なんです。あのマスクも、僕の顔に合わせて何度も試作を重ね、ものすごく丁寧に作ったんですよ。ただ、歯が銀で出来ていてすごく重くて、顎が外れるかと思った(笑)。

――被った瞬間、人格が変わりそうです。
窪田正孝 自然にそうなるなら、人格が変わってもいいと思ったので、「こうやってやろう」という意識は極力持たないようにしていました。というのも、グールになる前のカネキはすごく受け身に生きてきた人間で、本を読むのが好きで、友だちも少なく、主張することが苦手。色で例えると、ホワイトっていう感じなんです。逆にカネキに絡んでくる人たちのほうが、グール側も人間側もすごく色が強くて個性的なので、その人たちにカネキを作ってもらう感覚でやっていました。そうやって出過ぎないようにすることで、彼の真っ白で清廉な部分を出していけたらいいなと思ったんです。

――確かに、清廉だからこそカネキの切なさが際立ってくる。ちなみに窪田さんは生きるために大切な人を殺さなくてはいけない状況になったらどうします?
窪田正孝 自分が死にますね。僕、サバイバルゲームをやったら、真っ先に死ぬタイプだと自分では思っているので、そんな状況になったらすぐ諦めます(笑)。でも、人は極限状態になったら変わるものだし、いざとなったら「オレは生きる!」って、180度違うことやっているかもしれない…。とはいっても、やっぱり誰かを殺すぐらいなら自分が死ぬ方がいい。キレイごとかもしれないけど、そう在りたいです。

「今は不幸な役が似合う」!? 求められて選ばれた意味を見出したい

――窪田さんは振り回される役、巻き込まれていく役の印象が強いですが、そういう自身のイメージをどう感じています?
窪田正孝 そういう役が続いている時期なのかなと思います。でも同時に、ひとつの型にハマらず、イメージを崩したいという気持ちもあって。ここしばらくは逃げる、苦しむ、疑心暗鬼になるとか、そういう役が続いたのは確かです。でもこの後、例えば恋愛モノを続けて演じたら、今度はそっちのイメージになると思うんですよね。だから、今は不幸な役が似合う…というわけではないけれど(笑)、いろんな役者さんがいる中で自分が求められてキャスティングされているなら、そこに意味を見出したい。それ以上でもそれ以下でもない、というスタンスです。

――萩原監督が「俳優には自分自身をうまく使う人と、役と自分をうまく繋げて演技する人がいて、窪田さんは後者のタイプ」だとおっしゃっています。要は自分をゼロにして役になりきるタイプということだと思うのですが、自分でもそう思いますか?
窪田正孝 そうかもしれないですね。「自分を見せたい」と思ってしまうと、役が「自分」になってしまうじゃないですか。もちろん演じている心理を突き詰めれば、「こういう風にやりたい」という気持ちは漠然とあるかもしれないけど、最終的に役を決めるのは監督や現場の雰囲気ですから。僕自身はつねにニュートラルでいたいです。

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