ドラマ&映画 カテゴリ
(更新: ORICON NEWS

ドラマ化オファーもオンライン上で決定 『光のお父さん』の魅力とは?

  • 実写ドラマ『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』出演(左から)馬場ふみかと主演の千葉雄大 (C)ORICON NewS inc.

    実写ドラマ『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』出演(左から)馬場ふみかと主演の千葉雄大 (C)ORICON NewS inc.

 いわゆる“アキバ文化”を“日本の有力コンテンツ”に押し上げるきっかけともなった『電車男』。あの大ブームから10年以上経た今、“電車男の再来”ともいわれる作品がMBS・TBS系で放送中のドラマ『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』だ。実写化作品は昨今、原作ファンからの反感を買いがちだが(『光のお父さん』の場合、ゲームの『ファイナルファンタジー』以下FF))、現時点ではFFファンからの評判も上々のようだ。『電車男』同様、オンライン上で感動ストーリーを繰り広げる『光のお父さん』の魅力に迫ってみたい。

父への親孝行をオンラインゲーム上で行う異質な設定にFFファンも歓喜

 『光のお父さん』は、もともと“マイディー”というハンドルネームの青年が自身のブログで連載していた一連のブログ日記で、60歳を過ぎたゲーム好きの父にオンラインゲーム『ファイナルファンタジーXIV』で親孝行するというもの。その内容が話題を呼んで、マイディー氏のブログは累計300万アクセスを超える人気となり、ついにはゲーム上で父と息子のコミュニケーションを描くヒューマンコメディとして、書籍化、TVドラマ化されるに至ったのである。オンライン上におけるこうしたユーザー同士のやり取りが作品化されるあたりは、ネット掲示板から書籍、映画、ドラマへとメディア展開して社会現象化した『電車男』と同様の流れだ。

 とは言え、ストーリーはアキバ系オタク男が美女と偶然出会い、付き合うまでにいたるという、いわばジャパニーズドリーム(??)的な『電車男』とは異なり、同作のテーマは“父と息子”の交流がメイン。最近は、全体的には“王道”の恋愛ドラマにあまり元気がないといわれるものの、この“設定”は異質と言えば異質。

 いずれにしろ『光のお父さん』は、FFファンたちがSNSなどで沸いたこともあり、放送前から期待値が高く、ドラマでは息子が父と同居していたり、父がゲーム好きではないなど原作と違う設定も見られるが、現実とゲームシーンを織り交ぜながら、親孝行に励むマイディー氏の姿がブログのままに描かれていく。

劇中に登場する“FFあるある”はゲーム実況動画にも通ずる楽しさが

 実際、オンラインゲーム上において互いの感情の移り変わりなどのコミュニケーションを描くというのも、他のドラマにはない設定であり、今日的であると同時にドラマの大きな魅力ともなっている。ゲーム画面もふんだんに使用され(しかも原作者本人がプレイしている)、主人公が子ども時代だったころのFF画面が登場するなど、原作にはない内容も盛り込まれてはいるが、ゲーム好きの心をくすぐる作品になっているのだ。

 さらには、ゲームの最中に初心者の父がテンパって起こす行動や、心が折れてゲームをやめてしまう場面、母とケンカしてゲームができなくなるなど、“FFあるある”的に共感できる部分もゲームファンを魅了しているようであり、こうしたノリはYouTuberによる「ゲーム実況中継」に通じるものもあるのだろう。

 一方、バイプレイヤー・大杉漣が演じる仕事人間の父が息子に不慣れなゲームを教えてもらうシーンでは、「大杉漣さんがかわいい!」といったコメントも見られるし、主人公の現実世界における成長や父への気づきなど、父と息子がだんだん近づいていく内容は、ゲームファンならずとも大いに楽しめる作品となっている。

ドラマ化オファーに対し原作者が試練を ドラマ化への道のりをファンと共有

 そもそもゲームファンが、『光のお父さん』のドラマ化発表を受けて歓喜の声を上げた背景には、原作者・マイディー氏の作品にかける想いが関係しているようだ。話題になったブログに対して数々の書籍化オファーなどが舞い込んだが、ゲームを理解している人でなければメディア化できないとの想いから、マイディー氏は承諾することはなかったという。

 そんな中、ゲームの中でマイディー氏の前に現れたのが、ゲーム制作会社に勤務している“光のぴぃさん”。ぴぃさんはルガディン(ゲームのプレイヤーキャラクター)となって『光のお父さん』の映像化をマイディー氏にオファーするが、マイディー氏から「大迷宮に挑み、“ツインタニア”を倒してください!」との指令を受けたことから、ぴぃさんはFFの中でその指令をクリアしていくという試練を経験することになる。結果的にぴぃさんの熱意に打たれたマイディー氏もドラマ化を目指すこととなったのだ。そして、その一連の推移がマイディー氏のブログに掲載されファンはその一部始終を見守ってきたわけである。

 つまり、こうしたすべての流れをブログ(ゲーム)ファンと共有することによって、『光のお父さん』はファンからも愛されるドラマ作品となったのである。特にマイディーさんがぴぃさんに課した試練は、まさしく同時に『光のお父さん』ドラマ化へのオンライン上の道のりであり、ゲームファンが満足するのみならず、一般の視聴者にとっても新鮮に楽しめる設定となったと言えるだろう。ドラマ『光のお父さん』は今までになかった実写化作品の新基軸としても、今後のよい見本となる可能性を秘めているかもしれない。

あなたにおすすめの記事

メニューを閉じる

 を検索