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田中麗奈“脱・正統派”への転機 イメージギャップでサイコパス女医がハマり役

  • 『真昼の悪魔』の制作発表会見に出席した田中麗奈 (C)ORICON NewS inc.

    『真昼の悪魔』の制作発表会見に出席した田中麗奈 (C)ORICON NewS inc.

 清純派イメージの強い女優・田中麗奈が、“オトナの土ドラ”枠の『真昼の悪魔』(フジテレビ系)で、人が怯え苦しむ姿を楽しむサイコパスの女医を怪演している。今までになかった冷酷なシーンが多く、その見た目や雰囲気などが、彼女がこれまでに築き上げてきたパブリックイメージからは想像し難い。そんなところが、リアルな闇をさらけ出しているようで背筋が凍る怖さがある。

映画をメインの場にして独自の清廉なイメージを保ち続けた

 田中は高校3年生だった1998年に、サントリー『なっちゃん』ほかCM4本にいきなり抜擢されて注目された。『なっちゃん』では彼女自身がCM内の登場人物“なっちゃん”としてフィーチャーされ、4年に渡りシリーズ化。いまだにその印象が強く残る。また、同年公開された主演映画『がんばっていきまっしょい』では、多くの映画賞の新人賞を総ナメに。以後も『はつ恋』『ドラッグストア・ガール』『夕凪の街 桜の国』などに主演。知名度を高めながらも映画に専念してドラマには出演せず、珍しいスタンスで他の若手女優にないステイタスと清廉なイメージを保ち続けた。

 そんな田中は、2008年になってようやく、韓国映画をドラマ化した『猟奇的な彼女』(TBS系)にヒロイン役で出演。ドラマ解禁となったが、その後も大河ドラマ『平清盛』(NHK総合)の由良御前役などNHKへの出演が多かった。

 今回の『真昼の悪魔』は遠藤周作の小説が原作の心理サスペンス。田中が演じる外科医・大河内葉子は、優秀で患者への接し方も親切と評判だが、幼い頃からあらゆる出来事に無感動で無道徳な裏の顔を持ち、ターゲットが現れると衝動的に悪のスイッチが入る……という設定。1話の冒頭から、口説いてきた男と入ったホテルの一室で、微笑みながら男の手のひらに針を躊躇なく刺した。

 病院に急性虫垂炎で担ぎ込まれ、激痛に苦しむ青年を癒す一方、入院している寝たきりで認知症の老女を冷たく見下ろしながら、白衣のポケットに忍ばせていた注射針を取り出す。老女の娘が病室の隠し撮り映像をネタにゆすってくると、逆に顔をひっぱたき、腹を殴り、床に投げ倒して首に注射を刺して、手を踏みつける。怯える相手に「私が見たいのは今のあなたみたいな姿。だから病院ほど便利な場所はないの。あたなはこれからの人生を続けたい? それとも死にたい?」と、まさに悪魔のように言い放った。

清純派のイメージが強いからこそ、豹変ぶりに怖さがより募る

 罪悪感や良心の呵責が欠落した、無表情の冷たい目。人の命を救う女医で、美人かつ外面が良いぶん、豹変ぶりに怖さがより募る。清純派と思われてきた田中自身の裏の顔? などとつい考えてしまうほど、闇の深さがリアルだ。

 番組公式HPのインタビューで、田中は「私はたぶん基本的にはいい人のほうに分類されるとは思っているんですけどね(笑)」と話しつつ、天使と悪魔が共存する葉子について「とてもやりがいのある役に出会えたと思っていて。自分も葉子の心理を解くように興味を持って演じていきたいです」と役への向き合い方を語っている。

 『なっちゃん』から19年が経ち、田中も今や36歳。昨年2月には結婚もしている。正統派の美人女優から役幅を広げたいところで、新境地の意外なハマリ役となったようだ。悪女役といえば、菜々緒のように見た目から似合う場合もあるが、今期では他にも『奪い合い、冬』(テレビ朝日系)の水野美紀や『お母さん、娘をやめていいですか?』(NHK)の斉藤由貴が、精神的に歪んだ女性の怖さを見せている。

 そんななかでも、田中の演じる葉子のヒヤリと冷たい怖さは、いかにもヒロインな美しさとのギャップも相まって、インパクトが鋭い。葉子は父が病死した夜に、父のお気に入りだったお笑いコンビが出ているテレビを煎餅をかじりながら観て、「フフフ、フフフン」と気味悪く笑い出す。その姿にもまたゾッとさせられる。葉子の魂の行き先とともに、まるで裏の顔を見せたかのような田中麗奈の“脱・正統派”ぶりからも目が離せない。
(文:斉藤貴志)

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