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ナチュラル系女優が主流の昨今、王道である“正統派ヒロイン”の歩むべく道とは?

 ビジュアル的に“絶世の美女”や“日本を代表する美少女”というわけではないが、その自然体の姿が人気となるナチュラル系女優の活躍が昨今、主流となりつつある。バラエティ番組『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)にも出演する二階堂ふみをはじめ、映画やドラマで存在感を示している高畑充希や松岡茉優、現在『カルテット』(TBS系)に出演中で目が笑わない店員役の演技も話題の吉岡里帆らがそれだ。彼女たちに共通しているのは、“スター性”というより一般人が身近に感じる人柄、高く評価されている演技力、そして幅位広い層からの人気。そんな彼女たちが、昨今ではそれまで“正統派ヒロイン”が担ってきたポジションにつくようになってきている。

時代を彩った正統派ヒロイン女優と、その移り変わり

 かつて映画が“銀幕”と言われていた時代、昭和のヒロイン女優は“美しい”という言葉がピタリとハマっていた。「永遠の処女」と呼ばれた原節子をはじめとして、巨匠監督の作品に出演し続けた高峰秀子、大阪出身の京マチ子、清純派ヒロインタイプの若尾文子、そして今なお芸能界でファンを自称する人が多い吉永小百合などを思い浮かべる人は多いだろう。

 こうした流れに明確に変化が見え始めたのは80年代、秋元康氏のプロデュースによるおニャン子クラブの大ヒットあたりから。堀ちえみや三田寛子、佐野量子らナチュラル系アイドルが台頭し、芸能人は“雲の上の存在”から身近な存在へと変化。美しさに対する価値観や好み、人気の多様性はますます加速し、視聴者が感じる美しさや可愛さの数多のカテゴリーはさらにそれぞれ枝分かれしながら発展。そしてバブル、90年代、00年代と新たな時代の価値も付与され、時に価値がループしつつ、現在に至っている。

イメージに縛られないナチュラル系女優のポテンシャル

 もちろん美しさや“正統派”についての意味合いは時代によって違ってくるが、先に挙げた4人は、“正統派ヒロイン”というには、どこかイメージ的に垢抜けてない。また少し“私生活の匂いが感じられる”という80年代的な身近な感じが、逆に役の幅を広げているようにも感じられる。4人への人気を“個人の好み”と言ってしまえばそれまでだが、何がそんなに視聴者や制作者側に訴求しているのか。これについてメディア研究家で多くのエンタメ記事を手がける衣輪晋一氏は、「事務所の売り出し方次第でもあるのですが、4人に共通しているのは、完璧ではないところに隠して持っていそうな抜けた感じ、愛嬌、色気などの“お宝感”ではないでしょうか」と分析する。

「二階堂ふみさんは園子温監督や廣木隆一監督ら、鬼才からも愛される高い演技力でもともと映画ファンからは評価が高かった。ですが『ぐるナイ』の『グルメチキンレース・ゴチになります!』などで人気はお茶の間に拡大。エキセントリックな芝居や高尚な作品に出演する女優のイメージとは相反する無邪気さ、清純さ、抜けた部分のギャップが魅力に。さらに最近は映画『蜜のあわれ』などで見せる色気も“お宝感”で妄想が刺激される男性ファンが多いでしょう。松岡茉優さんも高い演技力が好評で、『コウノドリ』(TBS系)あたりからコメディエンヌとしての才能も開花。そんななか、実はバラエティ番組への出演を渇望しており、スタジオでも一生懸命喋りますが、トークが頻繁にスペってしまう“残念感”も身近にいたら楽しい存在になりそうで、そこに“お宝感”を感じさせます」。
「高畑充希さんは演技力とともに歌唱力も高いのですが、まだ完成されてないような素朴さも感じられ、その将来性が“お宝感”に。また、前田敦子さんの『ブス会』メンバーで、ちまたによく見られる顔なのか、高畑充希さんに似ていると言われる一般の方も多数。それがSNSなどで『街中に高畑充希があふれている』と話題になる“ネタ感”も良い。吉岡里帆さんに至っては、あどけなさも感じられる顔と、あのセクシーな肢体が分かりやすい“お宝感”。彼女たちは“正統派”にはない、そうしたキラリと光る部分が魅力であり、さらには正統派のイメージに縛られないので、典型的な美女や美少女でないクセのある役も演じさせやすい。制作側としても役を作りやすい、与えやすいメリットがあります」(衣輪氏)。

エッヂの利いた役を重ねて確かな爪あとを残す正統派ヒロインも登場

 そのような流れの一方で、正統派ヒロインの系譜に位置する女優(桐谷美玲、広瀬すずなど)も活躍中だ。彼女たちに共通しているのは、コミックやアニメの実写ヒロインを演じても違和感がないそのオーラと佇まい、みずみずしさや透明感だ。だが脱正統派が主流になっている現在の流れのなかで、多くの正統派ヒロイン女優たちは自らのポジション取り、立ち位置を再考していることだろう。
「その答えのひとつとして挙げられるのは、正統派ヒロイン的なルックスと雰囲気を持つ浜辺美波でしょう。彼女は昨年、大人気アニメを実写化したドラマ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』(フジテレビ系)で薄幸の正統派ヒロイン・めんまを演じ、一躍その名を世間に知らしめました。ですがその後はドラマ『無痛〜訴える眼〜』(同系)で金髪&無口な病んだ少女。そして今期の『スーパーサラリーマン佐江内氏』(日本テレビ系)では、裏表のあるアイドルのイヤな感じをコミカルに演じ、正統派ヒロインの枠に縛られないエッヂの利いた役を重ねています。まだまだ彼女は新人ですが、この先の動向が大変気になる女優さん。もしかしたら2017年に大ブレイクを果たすかもしれませんよ」(同氏)。

 主人公やヒロインではなく、鍵となる脇の人物や、悪役を演じて存在感を示し、かつ自身の演技力を磨いていく。華やかさがありながら、あえて脇に徹することで、作品に“違和感”を生み出し、視聴者にインパクトを残しているのだ。そんなクセのあるキャラクター、ポジションで存在感を示していくことが、思いもよらぬところで花開くことにつながるのかもしれない。今はナチュラル系女優が“正統派ヒロイン”の役柄へ進出している現状ではあるが、逆に正統派ヒロインがこれまでナチュラル系の専売だったポジションに踏み込んでいる例もある。そこでより輝きを増して、女優として大成していくような流れも生まれ始めているのではないだろうか。
(文:中野ナガ)

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