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曲名のような長いバンド名 なぜ増加?
“曲名のようなバンド”の先がけはスピッツ!?
また、今回の“曲名のようなバンド名”ブームの流れは、1995年に大ヒットしたスピッツの「ロビンソン」が、当時“どっちがバンド名かわからない”と物議を醸したことに端を発していると言えるかもしれない。実際、スピッツのシングルタイトルは「君が思い出になる前に」や「空も飛べるはず」などといった、どことなく現代のバンド名にも通じるような、名詞や体言止めではない“センテンス”重視の世界観を打ち出している感がある。
一速の“ラノベブーム”からの影響も
こうしたバンド名はインパクト重視であろうが、自分たちの好みやノリであろうが、何となくそのバンドの世界観を表わしていたり、あるいはまったく音楽性が逆だったりもして、面白いと言えば面白い。
実際、「このバンド名には僕の高校時代の恋愛が関係してるんです。当時、僕には10回くらい告白するぐらい好きだった女の子がいたんですけど、そのころの『なんで俺のことをわかってくれねーんだよ!』っていう感情が、ずっと残ってて忘れられないんですよ。そういう誰もが経験したことがある“中2病”的な感情を音楽にも込めたいと思った時に頭に浮かんだのが『忘れらんねえよ』というバンド名だったのです」(忘れらんねえよのギター&ボーカル・柴田隆浩)、「僕はバンド名を考える時に『〜〜ズ』とか『〜〜バンド』とかのバンド名っぽい名前を付けるのがカッコ悪いと思ってたんです。だから、何か意味ありげで、聞いた人が思わずツッコミたくなるような名前にしたいと思って、『鉄分たっぷり教室』『全裸ドライブ』など300個以上のツッコミたくなる候補を出しました。その中でメンバーが一番大爆笑してくれたのが、『水中、それは苦しい』だったんです」(水中、それは苦しいのギター&ボーカル・ジョニー大蔵大臣/以上、『R25』2012年10月10日インタビューより)などの発言を見てもわかるように、実に自由気ままなノリで命名しているのがわかる。
略名増加が影響? バンド名は“最重要課題”から“自由気ままな命名に”
「SEKAI NO OWARI」や「ゲスの極み乙女。」にしても(さまざまな要因があるにせよ)、今ではバンド名もしっかりと定着し、一般層にも浸透した。以前であれば、バンド名はそのバンドにとっての“最重要課題”であって、レコード会社や所属事務所が相当に吟味する案件であり、おそらくこういったバンド名は許されなかっただろう。時代は変わったということだろうが、略名で呼ばれることのほうが多くなった今、意味を持ったバンド名を付ける、と言うよりはバンド名に意味を持たせると表現した方が良いのかもしれない。