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中田ヤスタカインタビュー「前例のない新しいルールを敷きたい」

 音楽プロデューサーの中田ヤスタカが、きゃりーぱみゅぱみゅと共に“中田ヤスタカ/きゃりーぱみゅぱみゅ”の名義でスプリットシングルを発売。きゃりーやPerfumeなど多くのアーティストをプロデュースし、世に名を知らしめてきた中田が、なぜ今新たなソロ展開を開始したのか? 昨年、リオ五輪閉会式の音楽でも注目された彼の展望を聞いた。

ソロ名義で動き始めた理由、クリエイターに求められる“匿名性”とは?

――まず、“中田ヤスタカ/きゃりーぱみゅぱみゅ”という名義でスプリットシングルを発表しようと考えたきっかけからお伺いできますか?
中田ヤスタカ それぞれ別々に出してもよかったんですけど、昨年の11月に僕ときゃりーでツーマンライブツアーを行ったので、その流れで一緒でもいいんじゃないかと。

――中田さんがソロ名義で発表しようと思ったのは?
中田ヤスタカ ソロ活動自体もずっとやってきているんですけど、今回のように“ポップスのフィールドで切り取る”ということはあまりしてこなかった。ほんとんどがインストだったので、今年からボーカリストをフィーチャリングしていろいろやっていく、というところです。

――そこが一番聞きたかったんです。どうして今、このタイミングでソロ名義で、ボーカルをフィーチャリングゲストとして迎えるポップスを作り始めるのかっていう。中田さんは、きゃりーやPerfumeなど、最先端のポップスシンガーのプロデュースをしてますし、椎名林檎さんやE-girlsなどへも楽曲提供をしてますよね。
中田ヤスタカ プロデュース側からだとできないことも多いので、どっちもやるという感じですかね。プロデュースや楽曲提供の場合は、そのアーティストの前後の流れもあるし、完全に自由でもない。いい意味でも悪い意味でも、コンセプトは向こう側にあるんですね。そういうものも今まで通りやりつつ、自分の曲を普段なら歌わなそうな人に歌ってもらったりしたいな、と。海外だと普通にやってる人も多いので、僕はそれをもう少し当たり前にやりたいというだけなんです。

――日本でそういうスタイルが少ないのはどうしてだと思いますか?
中田ヤスタカ 日本はアーティストが強いですよね。なぜかクリエイターに匿名性を求めている。名前が2つ出てくるのを避けるというか、邪魔だという感覚なのかもしれないですね。ただ、日本でもクラブカルチャーの人やヒップホップの人は普通にやってる。それが、ポップスのフィールドになった瞬間に変わってしまうのが不思議だと思うので、僕はやってみるという感じです。

――中田さんも、これまではそこまで前に出てこないようにしてたイメージがありました。Perfumeにしろ、きゃりーにしろ、あまり多くを語らないといいますか。
中田ヤスタカ それはCAPSULEでやればいいと思ってたんですが、CAPSULEもまたボーカリスト(こしじまとしこ)がいるので、そうじゃないことをやるために“ソロ”と言ってるってことです。

――昨年は、ソロ名義では、リオ五輪の閉会式の音楽や映画『何者』の劇伴も話題になりました。
中田ヤスタカ ドラマ『LIAR GAME』(フジテレビ系/2007年・2009年)とか、そういうのは前からやってるんですけどね。ただ、米津くんとやった映画『何者』の主題歌「NANIMONO(feat.米津玄師)」のように、声が入った瞬間に注目度が上がる気がします。単純にインストを聴く人の人口が少ないだけかな。今、話しているソロ活動とは別で、これまでやってきた作家としての中田ヤスタカ名義の仕事は、これからもずっとやると思うんですよ。例えば、映画やゲームの音楽を作ったり、CM曲、テレビ番組のオープニング曲とか。今回からソロとして出していくのは、自分としてはポップスを作るという感覚はないですけど、“ポップスのフィールドに入れるもの”ですね。

――今年、動き出したのは何か理由はあります?
中田ヤスタカ あまりにも作曲家が見えてこないから、というのはあるかもしれないですね。作曲家が、歌う人かメンバーでなかったら、“アーティスト”になれなすぎると思っていて(笑)。作曲してる人が自分の名前でCDを出すためには、自分自身で歌うか、歌う人とバンドやユニットを組むかしない。もうちょっと作曲家名義でのリリースがあってもいいんじゃないかと思ったので。

――先ほど“匿名性”という話がありましたが、きゃりーの新曲「原宿いやほい」に関してはどう考えてました?
中田ヤスタカ あらゆるものが、もっと自分ぽくてもいいかなと思ってました。幅を広げて、いろんなことをやる必要はない。『何者』のサントラでポップスのフィールドとは全然違うことをやっているので、“今、ポップスのフィールドで戦うような曲たちは、もっと中田ヤスタカしてていいんじゃない?”って思えてるのかな。四つ打ちを作るサントラをやってたら、逆にプロデュースの方でオーガニックなものをやってたかもしれない。それは自分の中でのバランスの問題かもしれないですけどね。聴いた瞬間にいろんな人が“中田ヤスタカだ”とわかるものを、もうちょっと進化させていきたいと思ってます。いろんな武器を持ってる人よりも、ひたすら同じナイフをずっと研いでる方がカッコイイかな、と。

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