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“2.5次元ドラマ”の誕生で2017年は“2.5次元元年”となるか?

 日本テレビが1月22日から深夜枠で『男水!』という“2.5次元ドラマ”を放送する。これは少女マンガ誌『花とゆめ』(白泉社)に連載されていた作品で(現在は「花LaLa online」で連載中)、弱小水泳部で奮闘する男子高校生の姿を描いたもの。今までのマンガ・アニメ→実写化とひと味違うのは、実写化作品で以前から有名な俳優陣を特化してキャスティングしており、最初から完全に“2.5次元好き女子”をターゲットにしているところだ。ここ最近、急激にファンを増やしている2.5次元の世界だが、2017年の今年は“2.5次元元年”といえる勢いを感じさせるのだろうか?

2次元を3次元で忠実に再現した“2.5次元”

 2次元と言えば“平面の広がり”で、マンガ・アニメ・ゲームなどの世界を指す。3次元は2次元に“立体的要素”が加わった空間のことで、“3D”という言葉で表現されることもある。2.5次元は2次元と3次元の中間ということになるが、ネットなどで使われる2.5次元とは、“イラスト・アニメなどの2次元世界と実際の人間・実写による3次元の世界の狭間”を指す言葉であり、わかりやすく言えば、アニメ作品をリアルな俳優が演じるミュージカルなども、正確に言えば3次元なのだが、これも2.5次元の範疇に入るのだ。

 「2.5次元の代表作と言えば、やはり『テニスの王子様』のミュージカルになるでしょう。元ネタは『週刊少年ジャンプ』に1999年から連載されていた同名マンガで(現在は続編の『新テニスの王子様』が『ジャンプスクエア』で連載中)、マンガも大ヒットしましたが、2003年には早くもミュージカル化され、現在も第3シーズンが上映されているほど。原作のマンガとはまた“別物”的な人気を誇っています。さらに2006年には実写映画化もされましたが(ちなみに2008年には中国で実写映画化)、これも2.5次元と言えるでしょう。つまり、それ以前に1993年にミュージカル化された『美少女戦士セーラームーン』だって2.5次元だし、そもそも宝塚歌劇団による『ベルサイユのばら』にしても元祖2.5次元と言っていいと思います」(エンタメ誌編集者)

2.5次元界の錚々たるメンバーが集結した初の“2.5次元ドラマ”

 現在の2.5次元ブームは、いわゆる“萌え系”のような“腐女子”文化的なノリで広がっている部分も大きく、実際、ミュージカルや舞台に出演している俳優は別にジャニーズ系のアイドルでもなく、テレビドラマに数多く出演しているメジャー俳優でもない。それでも2.5次元の世界では固定層のファンを獲得していているのが大きな特徴だ。

 今回のドラマ版『男水!』にしても、出演陣は松田凌(ミュージカル『薄桜鬼』、以降カッコ内は出演した主な2.5次元作品)、宮崎秋人(同)、安西慎太郎(舞台「戦国無双」、ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズン=以降『テニスの王子様』と表記)、赤澤燈(美童浪漫大活劇『八犬伝』、『美男高校地球防衛部LOVE!活劇!』、『テニスの王子様』)、佐藤永典(舞台『ハイスクール歌劇団☆男組』、『テニスの王子様』)、黒羽麻璃央(ミュージカル『刀剣乱舞』、舞台『黒子のバスケTHE ENCOUTER』、『テニスの王子様』)……といった、その世界では絶大な人気を誇る錚々たるメンツをそろえているあたりが、“完全に2.5次元好き女子を囲い込んでいる”と言われるゆえんだろう。

 「実際、公式ホームページでも“2.5次元舞台のトップスターがキセキの勢揃い!!”と謳っています。こうした2.5次元好き女子たちは好きなものにはお金を惜しまないので、制作側からしても安定した利益が望める“キラーコンテンツ”と言えるでしょう。今回のドラマ『男水!』にしてもDVDの発売がすでに決定し、初回版は舞台『男水!』のチケット選考抽選申し込みができるシリアルナンバーを封入するなど、販売戦略に余念がありません。アニメ好き女子でも、ここまではっきりと2.5次元好きをターゲットに絞り込んだテレビドラマは初めてかもしれませんね」(前出・編集者)

“少数派”イメージ消し去り1つのコンテンツとして確立

 昨年12月には幕張メッセで『2.5次元フェス(仮)』が開催され、ミュージカル『刀剣乱舞』や舞台版の『おそ松さん』、『弱虫ペダル』などの物販や小道具の展示をして盛況だったようだ。アニメ好きには実写化に嫌悪感を抱くファンも多く、2.5次元好きは“少数派”という時代もあったが、もはや2.5次元は完全にビジネスとしても成立していると言える。

 2.5次元の魅力と言えば、髪型や衣装、演出など、マンガの世界をいかに忠実に再現できるかにかかっている。今回の『男水!』に出てくるキャラは普通の高校生っぽい黒髪が多く、パっと見では“2.5次元”感はあまりないかもしれない。それでも少女マンガ特有のキラキラ感や、マンガに描写される水しぶき、俳優たちの泳ぎのフォームまで、どこまで原作の世界を再現できるのか注目したいところだ。

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