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『べっぴんさん』で“栄輔”を好演する松下優也「チャンスだとは意識しないようにしています」
人と人の絆がテーマ グループだからこそ深みが増す曲
YUYA(松下優也) 今までずっとひとりでやってきたので、しんどいことも楽しいことも、常に共有できる人ができたのは大きな変化です。でも、難しいこともあるんですよ。ソロのときは周りが年上の方ばかりだったんですけど、X4のメンバーはみんな年下なので、先輩として教えられることは教えたいと思っているんです。そうすると、メンバーに目を向けつつ、自分のパフォーマンスにも目を向けていなければいけなくて。それがなかなか大変なんですよね。
――ただ仲良くするというより、時には厳しくするのも必要ということですか?
YUYA(松下優也) そうですね、厳しく言うこともあります。やっぱりグループだし、仕事だから、メンバー同士がちゃんと言い合える関係でなきゃいけない。そのぶん、突っ込まれないように自分も頑張らなければいけないんですけど。
――皆さんが目指す理想のグループ像とはどんなものなのでしょうか。
YUYA(松下優也) ずっと思っているのは、個々が主役になれるグループになりたいということです。誰かがメインになるんじゃなくて、全員がメインだといえるグループでありたい。みんなが似たりよったりだったら、ソロとあんまり変わらないというか、グループでやる意味がないじゃないですか。だから個々の個性をしっかり出していきたいんです。X4の良さって、全員キャラクターがバラバラで、似たようなヤツがいないところだと思うんですよ。途中加入したSHOTAとJUKIYAも最初から個性があったし、T-MAXは究極の天然だし…(笑)。
――12月14日発売の「キズナ」は、“仲間”への思いを歌う歌詞がご自分たちとリンクするのでは?
YUYA(松下優也) 今のX4にすごく合っていますよね。これってグループだからこそ歌える曲だと思うんですよ。恋とか愛ではなく、人と人の絆がテーマの曲ですからね。やっぱり曲の世界をより深く表現できるのは、ソロよりグループだと思います。
――踊らずに歌を聴かせるバラードを、シングルとして発売するのは新たな試みですよね。
YUYA(松下優也) これまでいろんな曲に挑戦してきて、“これがX4です”と言えることがいっぱいできたと思うんです。歌って踊ることもできるし、歌だけで聴かせることもできる。そのなかで、今までのシングルはどちらかというとダンスを見せるものが多かったので、今回は“こういうのもX4なんですよ”っていうのを見せたくて、この曲を選びました。それに、曲のテーマが今出演している朝ドラ(NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』)にも重なるような気がしたので、タイムリーだなと思って。
作品の中で何を求められているかに集中したい
YUYA(松下優也) 驚きと嬉しさと…あとは、どこで僕を知ったんだろうという、「?」がけっこうな割合を占めていました。聞いたところによると、ミュージカル『花より男子』で道明寺司役(メインキャラクターの一人)を演じていたのを見てくださったみたいで。まさか道明寺が朝ドラにつながるなんて思っていなかったです。
――どこにチャンスがあるかわからないですね。
YUYA(松下優也) でも、チャンスが欲しいと思っているわけじゃないんです。役者はそういう欲を持っちゃいけない気がして。常にその役として自分が生きていなければならないし、うわべだけの芝居は見抜かれる。そんななかで、誰かが見ていてくれるかもしれない、なんていう考えは“邪念”になってしまうと思うんです。確かにチャンスだとは思います。でも、意識するとプレッシャーで思うようなお芝居ができなくなってしまうので、なるべく抑えるようにしています。今はとにかく、この作品の中で何を求められているのかということに集中したいです。
――では、『べっぴんさん』では何を求められていると思いますか?
YUYA(松下優也) “イケメン枠”ということを言っていただいたんですけど、それもプレッシャーで…(笑)。自分の中では、栄輔が出てきたら空気がちょっと明るくなるようなポジションだと思っているので、そこは意識していますね。戦後の話なので、全体的なトーンはあまり明るくないんですが、その空気に自分は飲まれないようにしています。
――栄輔はヒロインのすみれ(芳根京子)に恋していますが、態度に出すぎていて可愛らしさも感じてしまいますね。
YUYA(松下優也) 「すみれ、これで気づかんの?」というくらいわかりやすく演じるようにしています。昔の人は今よりピュアだから、ああなるのかなと思って。男らしくて優しいけど、恋に慣れてないから思いを隠しきれないんですよね。
――そういう部分は感情移入しやすいですか?
YUYA(松下優也) どうでしょうね……。僕は“この人や!”と思ったら行っちゃうタイプだと思うので(笑)。ただ栄輔の場合、すみれには出征中の旦那さんがいるので、また話が別なんですけどね。その状況だったら、栄輔の葛藤する気持ちに共感できると思います。
街中で「栄輔さん」と呼んでいただけたら嬉しい
YUYA(松下優也) 栄輔にとってはちょっとせつないシーンもあったりするんですが……。栄輔は傘工場の息子で、親から「傘のような男になれ」と言われていたんです。大切な人に寄り添って、傘をさしかけるように、悲しみから守ってあげられる男になれって。今の栄輔は、自分がそうなれていないことに苦しむんですけど、そこからどう変わっていくかを楽しみにしていてほしいです。
――本作で松下さんのファンになる視聴者はたくさんいると思いますが、役者業と音楽活動の両方をやることについてはどんなお考えですか?
YUYA(松下優也) 音楽とお芝居の架け橋のような存在になりたいと思っています。僕がやっているような音楽を好きな人って、まだまだ一部だと思うんですよね。だから、役者としての活動で僕を知ってくれた人が、「こういう音楽もあるんだ」って気づいてくれたらいいなと思って。逆に音楽活動で僕を知ってくれた人が、舞台や映像作品を見てくれたら嬉しいですし。実際にそうやってファンになってくれた方の声を聞くと、今までいろいろやってきてよかったなと思います。
――朝ドラに出たことで、今まで以上に反響がありそうですね。街で「栄輔さん」って呼ばれたりしませんか?
YUYA(松下優也) まだそれはないんですけど(笑)、役名で呼ばれたらうれしいです。役者をやっていて一番楽しいのって、自分がその役そのものだと思われることなので。子供ってヒーローショーの主役を本物だと思うじゃないですか。そういうふうに思っていただけたら最高にうれしいです。
――X4としての今後の展望はありますか?
YUYA(松下優也) わかりやすい目標は日本武道館ライブです。まずは武道館、そしていずれはもっと大きい会場でライブをやりたい。僕はもともとアメリカのエンターテインメントが好きなので、大きい会場で派手な演出とかしてみたいんですよね。車で出てくるとか…(笑)。
――デビュー以来、ものすごい回数のライブをしてきましたよね。やはりライブへの思い入れが強いのでしょうか?
YUYA(松下優也) ライブが一番好きだし、ライブをするために活動しているみたいなところはありますね。海外のライブのように、日常を忘れて楽しんでもらえる空気感を作るのが理想なんです。ステージではそういう非現実的な存在でありたいと思っています。
――目標を実現するために、強化したいところはありますか?
YUYA(松下優也) 全部ですよね。パフォーマンスもそうだし、メンバー全員がそこに立つべき人間にならなきゃいけない。僕らは死ぬまでこの世界で生きていくかもしれないと思うと、その場しのぎの考えじゃダメだなって思うんです。この世界を目指している人なんていくらでもいるんだから、それくらいの意識を持っていたいですね。
(文/加藤恵 写真/尾鷲陽介)
ヘアメイク:Coomie (B★side)