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瞬時の決断で思わぬ賞賛も 芸能界における“代役”たちの活躍
最悪は放送中止やお蔵入りも……厳しい状況下で代役を務めた小山に賞賛の声
「今回のような不祥事があった場合、これまでのドラマやバラエティでは、“この放送は○月○日に撮影(収録)されたものです”といったテロップを入れるとか、出演部分を編集でカットしたりしてました。最悪は放送中止、お蔵入りさせる場合もあります。でも、今回は大枠が24時間テレビの生放送だし、その中の鳴り物入りのドラマでもあります。今はコンプライアンスにもうるさいですし、撮り直しもしょうがない。番組スタッフも放送前日ギリギリまで編集作業に追われてたと聞きますし、小山さんも番組の冒頭で“いろいろあったけど、(スタッフ)一丸となってこの日を迎えることができました”という挨拶も真摯な思いだったと思います」(ドラマ制作会社スタッフ)
負担は大きく重圧も掛かるが、代打を務めただけで賞賛が多く意外にリスクは低い
さらに舞台で言えば、かつて市毛良枝が『ドラキュラ』(1979年)で急きょ代役を受け、何とわずか16時間の稽古で主役の穴を埋めたことがある。現在は舞台をメインに活躍する鈴木蘭々に至っては、演劇界では“代打女優”との異名を持つほど。いずれにしても、実力がなければ代役はそう簡単に務まるものではないということであり、だからこそ高評価にもつながるのである。それはテレビでも同じことだ。第3子妊娠5カ月の広末涼子に代わり、NHK大河ドラマ『花燃ゆ』に出演した鈴木杏は、「いつか大河ができる役者になりたいと思っていたので素直にうれしい。私以上に母が喜んでいます」と語ったが、視聴者からは「いつからこんなに色気と胆力ある女優になったんだろ」「鈴木杏の存在感と艶技力、さすが。でもこの役、本来なら広末だったんですよね…」など、こちらも代役を演じ、はからずも高好評を得たのである。
また、2003年の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)では、ロシアの人気デュオ・t.A.T.u.(タトゥー)がまさかの生放送ドタキャン。司会のタモリによれば「t.A.T.u.が出たくねぇ、ということです。控え室から出てこないと言うことです」とのことだったが、出番を終えたTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTが即興でもう1曲披露し、ロックファン以外の視聴者層にも、“男気”のあるロックバンドとして認知されるきっかけとなった。
こうしてみると、急なピンチヒッターだからこそ、周囲も“時間がないからしょうがない”という、ある程度の寛容な評価に傾くし、見事に務め上げれば“よくやった!”と賞賛もされる。無事に代役を務めれば、時にタレントとしてのターニングポイントにも成りうるのだ。いずれにしろ、短時間で相当な努力を強いられるが、芸能界における“代役”とは本人の負担は大きいながらもリスクは意外に低く、男・女を上げる最大のチャンスなのかもしれない。