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ORICON NEWS
映画館離れに歯止め? “ながら映画”が進化
シネコンで来場者の減少食い止める 健闘続ける映画館
「ただ、映画館来場者数は1958年の11.3億人をピークに、1970年代以降はほぼ横ばい、2013年には1億5588万人と、戦後の映画全盛期から比べると10分の1以下に落ち込んでるんです。もちろん、テレビやレンタルビデオの普及が大きい。でもここ20年ぐらいの“巨大商業施設+複数のスクリーンのある映画館”の広がり、いわゆる“シネコン”(複合映画館)の一般化もあって、2000年代には入場者数が若干伸びて、2010年にはピークを迎えるなど、テレビなど他のメディアに比べると大健闘しているとも言えます。全体の映画産業の傾向としては、“映画館の数は減っているがスクリーンの数はほぼ横ばい”“映画公開本数は増えたが、1作品ごとの入場者数はジワジワと減っている”といったところでしょうか」(エンタメ誌編集者)
ドライブインシアター復活や保育付き上映…映画+付加価値
“カウチポテト”の当時には、巨大な駐車場でクルマの中から映画を観るという“ドライブインシアター”なんて懐かしすぎるスポットもあったくらいだが…。
「ドライブインシアターは、一時期は全国で20カ所ほどあったんですが、2010年に完全に“絶滅”。ただここ最近は(2014年、2015年)、期間限定で復活したりもしています。このドライブインシアターこそ、いわゆる“ながら映画”、映画+付加価値の原点とも言えるでしょう。今では、星空の下で映画を観ることができる『森の映画館』や『星空の映画祭』、海の上で上映する『うみぞら映画祭』など、一風変わった環境で映画を楽しむことができるイベントもあります。また、育児・ママ会をしながら映画鑑賞ができる『ママズクラブシアター』や『ほっとママシネマ』、または保育つき上映を行なっている映画館など、“観る側”を気遣った企画が出てきました」(前出・編集者)
新規顧客開拓 “映画にとらわれない”改革に期待
今後もこのような“映画+付加価値”企画、“○○しながら”映画を観るというスタイルはますます多様化していくだろう。実際、海外では“寝転びながら”映画を観る、“風呂に入りながら”映画を観るなどの映画館もあるのだという。日本で言えば、“露天風呂で映画”なんていうのもアリかもしれない。いずれにしろ、これからの劇場映画鑑賞は単に映画を観るだけではなく、各個人が持つ趣味・ニーズをいかに取り入れ、マッチングさせるかがキーとなりそうであり、映画製作側、映画興行側の斬新なアイディアが待たれるところだ。