(更新:)
ORICON NEWS
香川照之の“生かし方”を知るTBS日曜劇場の強み
高視聴率を連発する“日曜劇場”に香川照之あり
香川は、“大和田常務”役で一躍注目を浴びた『半沢直樹』をはじめ、『ルーズヴェルト・ゲーム』『流星ワゴン』『南極大陸』『新参者』などに出演。自身でも「僕はこの『日曜劇場』枠にご縁があって」と語っているように、同枠での出演回数がとても多い。そして、どの作品でも強烈な個性を放ちながら、その存在は物語の中に自然とスッポリと収まり、全体にリアリティを与えている。
例えば、『99.9』で演じている佐田弁護士は、不敵な笑みで何を考えているかわからない部下・深山に振り回されているようでいて、要所要所ではしっかりとツッコミを入れ、かつ彼の仕事のフォローも忘れない。“通常運転”の佐田がいるからこそ、深山という変人の主人公が浮きすぎずに成り立っているのだ。これは香川自身も「演じる上では、エキセントリックな深山に対して、佐田は抑えて弁護士らしくいたいと思っています。弁護士という節度の中で僕自身がどれだけ自由にできるかが、これからの掛け合いの中でやっていきたいところです」(同)と自覚して実行している部分。ドラマプロデューサーも過去に香川のことを“キャラクターを全体論の中で語れる人”と評していた。
全体のバランサーであり立体的に見せる“仕掛け”に
豪華俳優陣の個性を生かしつつ、全体のバランスをしっかりと見極めて役を作れる香川照之という役者。彼の生かし方を知り尽くしているからこそ、日曜劇場枠は、ここまでのヒット作を生み出すことができたのだ。現在、日曜日のプライム帯の視聴率合戦は、日本テレビの独走状態。だが、その中でも唯一対抗できるのが日曜劇場である。香川の強烈な個性による刺激と、彼がいるからこその安定感を武器に、確固たるブランドを手に入れた同枠が今後どこまで躍進していくか興味深い。
(文/松木智恵)