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舞台で花開く元アイドルたち 経験重ね“本格派”の貫録

 歌手で女優のソニンが、演劇界の権威ある賞『第41回菊田一夫演劇賞』を受賞し、注目を集めている。2003年に女優業に進出して以降、舞台で実績を積み重ね、演劇ファンにも認められる実力を得ていることは、多くの人は知らなかったのではないだろうか。実は昨今、ソニンに限らず、かつてアイドルとして活躍した芸能人がミュージカルなど舞台に進出し、才能が花開く事例が増えている。

アイドルは女優への近道 しかし一段飛ばし感も…

  • 『第41回 菊田一夫演劇賞』を受賞し涙を流すソニン (C)ORICON NewS inc.

    『第41回 菊田一夫演劇賞』を受賞し涙を流すソニン (C)ORICON NewS inc.

 ソニンは2000年に音楽ユニット・EE JUMPとして歌手デビューを果たし、3rdシングル「おっととっと夏だぜ!」などがヒットしたものの、わずか1年半ほどの活動をもって事実上の解散を余儀なくされる。その後、つんくプロデュースで発売したソロシングル「カレーライスの女」の“裸エプロン”姿が話題になったり、番組の企画で高知〜韓国間のマラソン企画に挑戦したりと、次々と新しいことに挑戦するものの、ソロ歌手としてはいわば鳴かず飛ばずの状態。度重なる不運もあって、まさに“波乱万丈”の芸能人生を歩むことになるが、その一方で、TVドラマ『高校教師』(TBS系)を皮切りに女優業に進出。その後は舞台を中心に活動し、文化庁新進芸術家海外研修制度による1年間のニューヨーク留学を経て、今回、『RENT』『トロイラスとクレシダ』『ダンス オブ ヴァンパイア』での演技が評価されて、菊地一夫演劇賞を受賞したのである。

 実はソニンに限らず、ここ最近、元アイドル歌手が舞台で活躍し、その実力が評価される事例が目立っている。例えば、元モーニング娘。の安倍なつみは、2008年の『祝祭音楽劇トゥーランドット』(宮本亜門演出)出演を機に、ミュージカル分野に本格進出した。『三文オペラ』『嵐が丘』など次々と出演を果たし、2014年には自身のミュージカルでの経験を活かした音楽アルバム『光へ -classical & crossover-』を発売。アイドル時代とは全く異なる歌声に、あの頃の“なっち”を知る多くの人が驚いたはずだ。現在は『嵐が丘』で夫婦役を演じた山崎育三郎と結婚、第1子の出産を控えている。

 アイドルグループ卒業後、“女優”を目指してすぐにドラマや映画の主演に抜擢される事例は多い。しかし、どんなに演技がうまいと言われている人でも、ドラマや映画の端役から地道に経験を積んできた女優や、長年にわたって舞台で実力をつけてきた女優と比較すると、やはり経験不足を感じてしまうのは否めないところ。昨今のアイドルはグループに所属することで“女優への足掛かり”とする人も多く、もちろん、女優を目指す近道としては悪いことではないのだが、積んでおくべき経験を一段階すっ飛ばしてしまった感は否めない。キャリアがないぶん、本人が意図しないところでの批判の対象にもなりがちだ。

舞台の“都落ち”感を払拭させた神田沙也加の活躍

 しかし、ソニンや安倍のように、舞台で活躍し、実力を認められているというと、どことなく女優として“本物感”がしないだろうか? とある映像制作会社のスタッフはこう語る。
「“舞台で実力を認められている”と言うと、あまり舞台に興味がない人でも『演技力があるんだな』と思いますよね。過去には“元アイドルが舞台で活躍している”というと、何となく“都落ち”のイメージもありましたが、そんなイメージを一変させたのは、ここ数年の神田沙也加さんの活躍が大きいかもしれません。実際、彼女の歌唱力はぶっちぎりですし、まさに舞台で“正々堂々”と勝ち取った評価ですね」

 神田は周知のとおり、神田正輝と松田聖子というビッグカップルの間に生まれ、歌手デビューや2003年には映画『ドラゴンヘッド』(妻夫木聡主演)で女優デビューも果たすが、当初は世間的には“親の七光り”とも言われていた。しかし、宮本亜門演出のミュージカル『INTO THE WOODS』に出演して以降、舞台に積極的に進出。『レ・ミゼラブル』や『ピーターパン』といった超メジャーな舞台作品にも出演し、ミュージカル女優として花開いた。2014年には、大ヒット映画『アナと雪の女王』で主人公の吹き替えを担当。舞台で鍛えた歌唱力と演技力を見せつけ、同年末の『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)に選出されるなど、一気に大ブレイクしたのである。

 昨今の女性アイドルグループ人気もあって、舞台へと進出するアイドルは増えている。当初はグループの肩書がなくなった洗礼を受けて挫折を経験しても、地道に舞台で実績を積み、着実に演技力を磨いていく“正攻法”のほうが、結局は本人への高い評価として返ってくる場合が多いのかもしれない。むしろ、ある程度の“遠回り感”があったほうが、「よく苦労して頑張ったね」と好感度も上がるし、本格派としての実力もついて、息の長い女優になっていく可能性も高いだろう。今後、こうした“舞台経由型”の“女優で復活・再ブレイク系”本格派女優が誕生することを期待して、舞台を見るのも楽しいかもしれない。

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