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106人のタレントが集結 野球大会から見えた“ジャニーズの絆”

4月13日、東京ドームで開催されたジャニーズ野球大会。106人のタレントたちが一堂に会し、4万5千人の観客が熱狂した。アイドルが本業のはずのジャニーズが、なぜ野球を行うのか。グループとして個々として、エンタテインメントの場で勝負をかける彼らが、この大会に集まった意味とは。何かと注目されるジャニーズの“今”が、ここから見えてくる→勝敗はこちら

■なぜジャニーズが野球を? 震災後にも開催されたその歴史

 そもそも、1950年代に社長であるジャニー喜多川氏が少年たちを集めて作った野球チームが、ジャニーズ事務所設立のきっかけである。実際、近藤真彦やSMAP・中居正広、KAT-TUN・亀梨和也など、野球経験のあるタレントも多数在籍している。ドーム会場での野球大会・運動会の歴史も長く、1994年には、SMAPやTOKIO、デビュー前のKinKi Kidsなどが集結し、野球大会を開催。以降、2004年までは毎年秋に必ず、野球を中心としたスポーツイベントが開催されていた(98年のみ大阪ドームでの開催)。新潟中越地震や東日本大震災が起こった折にも、野球大会をチャリティの場としているのも特徴的だ。

 とはいえ、野球ファンにしてみれば、「素人の野球の何が楽しいのか?」と思う人も多いだろう。だが、これが不思議なことに、様々なグループから集められたメンバーで結成されたチームJ.RedとJ.Whiteのガチンコ対決は、観衆が試合そのものに熱くなれる、“スポーツバラエティ”として成立していたのである。

■ノンフィクションだからこそ、タレントの真価が試される

 ではなぜ、ジャニーズの野球大会は面白いのか。その理由はいくつかある。
一つ目は、出場するタレント一人一人が常に全力で、さらにそのキャラクターが立っていることだ。アイドルの本業は、“歌って踊る”こと。ここ東京ドームといえば、“本業”を披露する場であるはずのタレントが、“ノンフィクション”の野球で勝負する。V6の坂本昌行が冒頭の挨拶で「珍プレー好プレーが見られるんじゃないかと思います」と語っていたが、コンサートや舞台では決して許されない失敗やミスも、野球大会なら魅力に変わる。台本も着地点もないまま、うまくいかなくて落胆したり、足掻いたりもがいたりする“過程”の顔は、本業ではなかなか見せられるものではない。

 実際、NEWS・増田貴久が、筋肉自慢をした挙句に三振したり、V6の井ノ原快彦が内野ゴロを打ったあと一塁までスライディングしたりと、真剣勝負の中で発揮されるアドリブ力が、試合のいいアクセントになっていた。面白いけれど、決して手を抜いているわけではない。いつも全力。そして、人と同じことはやらずに、“自分らしさ”という爪痕を残す。それが、ジャニーズアイドルがどんなときでも貫いているスタンスであり、“ノンフィクション”だからこそ、いざという時の真価を試される場でもあるのだ。
→井ノ原の話術、二宮の外交力とは?
→ジャニーズタレントの意外な活躍ぶり

■良質な応援歌が野球大会をショーへと昇華

 二つ目に挙げたいのが、スポーツと音楽の相性の良さだ。今回の大会では、選手が入場するたびに所属グループの代表曲がかかった。攻守が交代するタイミングでは、V6の「HONEY BEAT」、の「君のために僕がいる」、NEWSの「希望YELL」、Hey! Say! JUMPの「明日へのYELL」が、ジャニーズJr.によって披露された。各グループの代表曲にしても、ジャニーズの曲には応援ソングがとても多い。プロスポーツも、ジャニーズのエンタテインメントも、“観る人に、夢や希望、勇気や元気を与える”という最終目標は同じ。野球が得意なジャニーズのタレントは一部かもしれないが、それぞれの身体能力の高さはお墨付きだ。歌声も含め、自分たちの肉体を駆使して、“何か”を伝えていく中で、これほどまでにたくさんの、聴くだけで気持ちが明るくなる応援歌を持っていることが、単なる野球の試合ではなく、この大会をバラエティ性の高いノンフィクション・ショーへと昇華させた一因だろう。

■ピンチの時には助け合う、ジャニーズの結束力は変わらず

 さて、三つ目。これが最後にしていちばん大きな“ジャニーズ力”になるのかもしれないが、この野球大会には、確かなファミリー感ともいうべき結束力があった。井ノ原やらの解説の面白さはもちろん、6対0で負けが込んでいたJ.Whiteに、まさかのホームランで一気に活気をもたらした坂本、冷静なピッチングで本気の野球魂を見せつけたKAT-TUN・亀梨和也、最後にサウスポーで試合を締めた嵐・二宮和也、塁に出ると駿足を披露したKinKi Kids・堂本光一、見事な采配をふるった監督・近藤真彦など、「先輩さすが!」な場面がたびたび見られた。勝負はガチンコ、手は抜けない。だからこそ、若い世代にはプレッシャーがかかる。そんな緊迫した場面を、先輩たちは巧みにフォローし、爽快な風を送り込む。
 こと野球に限らずとも、普段からチームプレイに慣れ、個性を伸ばすことをも心がけている彼らは、自分の所属するグループ以外の人と交わっても、瞬時に面白い科学変化を起こすことができる。それぞれのグループにカラーはあり、そこに所属する個人もまた全員がキャラクターを際立たせている。だが、近藤真彦も少年隊もSMAPもV6も嵐もKinKi KidsもKAT-TUNも、Hey! Say! JUMPら若手グループも、ジャニーズJr.も、いちばん大きな“ジャニーズ”というグループの色を、しっかりとDNAとして持っているのだ。だからこそ、この集団は強い。

 本業のコンサート以外に、野球大会までエンタテインメント・ショーとして成立させられるのは、個々のタレントが身体能力の高さとアドリブ力を誇り、かつ世代を超えて、ファミリーとしての結束を確立させているジャニーズ事務所ならでは。今回の野球大会で生まれた逸話もまた、きっと後世まで語り継がれることだろう。
(文/菊地陽子)

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