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笑いの原点“裸芸” 脈々と受け継がれている裸芸人の系譜
裸芸にも“肉体美系”と“だらしない系”の2パターンあり
一方、肉体美系とは対照的なだらしない肉体をさらけ出し、体を張ったリアクションをウリにしている芸人としては、ダチョウ倶楽部・上島竜兵、たむらけんじ、長州小力などがあげられる。特に上島の裸芸は、ベタながらシチュエーション別にネタがあり、さすがに年季を感じさせる芸の味がある。
そんな裸芸に新風を巻き起こしたのが小島よしおだろう。引き締まった肉体、海パン、そして音楽に合わせて踊るというスタイルは、子どもたちにもウケて、一世を風靡した。小島の登場は、たかが裸芸と言われたところを、されど裸芸にまでは引き上げた。昨年3月、ナインティナインの岡村隆史が、『奇跡のキャラかぶりー!〜72億分の2〜』で、お盆一枚で裸芸に挑戦したことがあったが、「お尻きれいじゃないし……」と渋りながらも、最終的にはノリノリになった岡村の姿からは、“裸芸=究極の芸”といった趣きすら感じられた。考えてみれば、素人の宴会などでも“裸踊り”は昔から行なわれていたし、裸芸は笑いの原点とも言える。そうした、いわば“伝統芸”の歴史が芸人・岡村から漂い出したのかもしれない。
現行の裸芸は放送倫理を逆手に取ったネタで人気獲得
また、女芸人の裸芸は単なるエロになる可能性が高く、かつては森三中の大島美幸などが、男のリアクション芸に挑戦するといったノリでよく全裸になっていたが、男性の視聴者からは(さすがにちょっと……)と引かれてしまったようである。過激なところで言えば、裸+暴走=江頭2:50だが、かつては嫌いな芸能人1位の常連だったにもかかわらず、数多いポーズネタで完全にキャラクター化し、今では女性の一部では「カワイイ」と親しまれていたり、若い男性からもブレないその生き様がカッコいいとして、リスペクトの対象にさえなっているのだ。
そんな裸芸人たちのなかである意味、元祖とも言える井手らっきょは、かつて自分の子どもに「うるさい! 井手らっきょのくせに」と言われて大ショックを受けながらも、「死ぬまで“井手らっきょ”として裸芸を続けたい」と語り、今なおチャンスを見ては脱ぎ出してしまう。そんな井出の姿勢に東野幸治などは、「裸芸人の頂点にいるのは井手らっきょさんだ」と熱く語る。たかが裸芸、されど裸芸。安村のブレイクを機に、裸の向こう側にある芸人魂を感じ、芸の伝統をじっくりと味わってみるのもいいだろう。