(更新:)
ORICON NEWS
クールな新垣結衣、キャラ役で新境地 最後の可愛らしさになる?
新垣結衣以上に可愛い?掟上今日子としてのキャラ立ち
『掟上今日子の備忘録』の原作はキャラクターのイラスト付き小説だが、マンガやアニメ作品を実写化する際、いでたちをどこまで原作に近づけるかは毎回議論になる。再現にこだわった結果、ただのコスプレに見えることも。
9月に放送されたスペシャルドラマ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(フジテレビ系)では、浜辺美波が演じたヒロインのめんまがアニメでは白い髪だったのが、ドラマでは黒髪のままに。見た目はアニメと違っても、キャラクターのピュアさはむしろ反映されて、実写の方法論として正解だった。
新垣の掟上今日子は逆に、原作イラストと同じ白髪に。似合うかどうかといえば、違和感を覚える人が多いだろう。若い日本人女性の白髪は不自然に見えて当然。加えてメガネ。もともと美しく可愛らしい新垣を“鑑賞”する点ではマイナスにも思えた。
本質的には控えめな新垣結衣の変換装置になった
ところが『掟上今日子の備忘録』では一転、いい意味で過剰に可愛いことをしてくる。親指を立てて小首を左右に揺らしたり、「当たった〜」と指をさしたり。第6話ではセーラー服を着て、ベッドから「ファー!」と叫んで跳ね起きたりも。体にメモするためにスカートをたくし上げて太ももを見せたのは、今のところ1話だけの“サービス”だったが。唇を結んでニコニコしながらメガネ越しの瞳で見つめるのもキュート。ここまでメガネ女子ぶりがハマるとは、ファンの想像を超えていたかもしれない。
27歳で本質的には控えめな性格の新垣が、白髪とメガネなしで自分のまま出ていたら、ここまで可愛く振るのは想像しにくい。演じるのは別人格になることだが、掟上今日子は別キャラになったと言うほうが合う。形からスイッチが入った様子で、本人もあの格好だからマンガチックな演技も楽しめているようで新鮮だ。新垣結衣にないものが掟上今日子にはある。もちろん、もともと新垣のなかにあった可愛らしさが増幅されたのだが。今回の白髪とメガネは原作に沿う以上に、彼女の変換装置となった。
それだけに、新垣にとっては一期一会の役。ナイーブなイメージの加瀬亮が、坊主頭にした『SPEC』だけ軍人気質の強靭な刑事を演じたのと似ているかも。新境地ではあっても、新垣がここまで可愛いさを出すことは、年齢的にもたぶん今後はない。『掟上今日子の備忘録』は貴重な作品になるのかもしれない。
(文:斉藤貴志)