ドラマ&映画 カテゴリ
(更新: ORICON NEWS

クールな新垣結衣、キャラ役で新境地 最後の可愛らしさになる?

  • ドラマ『掟上今日子の備忘録』で主人公を演じる新垣結衣と原作イラスト Illustration / VOFAN (C)西尾維新/講談社 (C)日本テレビ

    ドラマ『掟上今日子の備忘録』で主人公を演じる新垣結衣と原作イラスト Illustration / VOFAN (C)西尾維新/講談社 (C)日本テレビ

新垣結衣が白髪ボブにメガネで、寝ると1日の記憶がリセットされてしまう探偵を演じる『掟上今日子の備忘録』(日本テレビ系)。このビジュアルは作家・西尾維新氏の原作小説のイラストに合わせたもの。放送開始前にはファンの間でも賛否が割れて、「コスプレっぽい」「白髪までマネしなくても」との声も少なくなかった。

新垣結衣以上に可愛い?掟上今日子としてのキャラ立ち

  • 『掟上今日子の備忘録』(毎週土曜 後9:00)でセーラー服姿を披露 (C)日本テレビ

    『掟上今日子の備忘録』(毎週土曜 後9:00)でセーラー服姿を披露 (C)日本テレビ

 だが放送が始まってからは、“似合うか・似合わないか”の話は隅に押しやられ、「とにかく可愛い」という声が増えた。見た目だけでなく表情や仕草なども含め、ある意味、新垣結衣以上に可愛い掟上今日子としてキャラクターが立っている。

 『掟上今日子の備忘録』の原作はキャラクターのイラスト付き小説だが、マンガやアニメ作品を実写化する際、いでたちをどこまで原作に近づけるかは毎回議論になる。再現にこだわった結果、ただのコスプレに見えることも。

 9月に放送されたスペシャルドラマ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(フジテレビ系)では、浜辺美波が演じたヒロインのめんまがアニメでは白い髪だったのが、ドラマでは黒髪のままに。見た目はアニメと違っても、キャラクターのピュアさはむしろ反映されて、実写の方法論として正解だった。

 新垣の掟上今日子は逆に、原作イラストと同じ白髪に。似合うかどうかといえば、違和感を覚える人が多いだろう。若い日本人女性の白髪は不自然に見えて当然。加えてメガネ。もともと美しく可愛らしい新垣を“鑑賞”する点ではマイナスにも思えた。

本質的には控えめな新垣結衣の変換装置になった

 新垣はこれまでキャラ的な役はあまりやっていない。同い年の戸田恵梨香が映画『デスノート』でアイドルの弥海砂を、『SPEC』(TBS系)で変人刑事の当麻紗綾を演じたり、上戸彩が一時、『エースをねらえ!』『アタックNo.1』(テレビ朝日系)や映画『あずみ』とマンガ原作の役が多かったのとは違い、新垣の場合、基本は本人の透明感を生かしたリアルな芝居。『リーガル・ハイ』(フジテレビ系)などでコスプレっぽい格好をしても、過度な振り方はせずナチュラルさを保っていた。

 ところが『掟上今日子の備忘録』では一転、いい意味で過剰に可愛いことをしてくる。親指を立てて小首を左右に揺らしたり、「当たった〜」と指をさしたり。第6話ではセーラー服を着て、ベッドから「ファー!」と叫んで跳ね起きたりも。体にメモするためにスカートをたくし上げて太ももを見せたのは、今のところ1話だけの“サービス”だったが。唇を結んでニコニコしながらメガネ越しの瞳で見つめるのもキュート。ここまでメガネ女子ぶりがハマるとは、ファンの想像を超えていたかもしれない。

 27歳で本質的には控えめな性格の新垣が、白髪とメガネなしで自分のまま出ていたら、ここまで可愛く振るのは想像しにくい。演じるのは別人格になることだが、掟上今日子は別キャラになったと言うほうが合う。形からスイッチが入った様子で、本人もあの格好だからマンガチックな演技も楽しめているようで新鮮だ。新垣結衣にないものが掟上今日子にはある。もちろん、もともと新垣のなかにあった可愛らしさが増幅されたのだが。今回の白髪とメガネは原作に沿う以上に、彼女の変換装置となった。

 それだけに、新垣にとっては一期一会の役。ナイーブなイメージの加瀬亮が、坊主頭にした『SPEC』だけ軍人気質の強靭な刑事を演じたのと似ているかも。新境地ではあっても、新垣がここまで可愛いさを出すことは、年齢的にもたぶん今後はない。『掟上今日子の備忘録』は貴重な作品になるのかもしれない。
(文:斉藤貴志)

あなたにおすすめの記事

メニューを閉じる

 を検索