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天然毒キャラで再注目・市原悦子 家政婦じゃない魅力が若者にも浸透
大らかなイメージの役柄とのギャップに驚きの声
市原悦子は、千葉県No.1の公立進学校・千葉県立千葉高校を卒業する才媛ながら、1957年、卒業と同時に俳優座に入団、1964年には早くもゴールデン・アロー賞新人賞を受賞する。1990年には、映画『黒い雨』で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞するなど、実績もさることながら、数多くのドラマや映画に出演する大女優であることは、誰しもが認めるところだ。一方で、『必殺』シリーズのカルト版ともいえる『翔べ!必殺うらごろし』(朝日放送)で、殺し屋を演じるという意外な過去も持つ。
しかし、やはり市原といえば、『まんが日本昔ばなし』の優しそうな声色と落ち着いた語り口であり、『家政婦は見た!』や『おばさんデカ 桜乙女の事件帖』(フジテレビ系)などの2時間ドラマでの庶民的で大らかなおばさんながら、どこか鋭く、品もありそうな役柄というイメージが強い。だからこそ、先の“放送禁止用語事件”も、そうしたイメージとのギャップから話題にもなったのだろう。ゆっくりした語り口に関して市原は、「私たちの育った時代は戦後の食糧難のピーク。両親もしつけや行儀を教えてくれなかった。上座も敬語もわからず成長したので言葉を発するのに臆病になっている。ずいぶん失礼もして、しらけさせてきたので、ゆっくりになっちゃったの」と説明するが、どこかしたたかさを感じるのは気のせいだろうか。果たして、市原の真の姿はどこにあるのだろう?
実はダークな側面もあった“家政婦”
実際、市原はライフワークのように、『戦争童話シリーズ』という反戦的な朗読CD・DVDを出し続けている。また、東日本大震災後は、反原発運動の呼びかけ人になるなど、社会的な行動も多く、おっとりとした優しそうな一般のイメージとは別に、どこか気概のある、反骨精神に裏打ちされた強靭さをも持ち合わせているようだ。そして今、各バラエティに出演する際も、落ち着いた上品なトークの合間に、ちょいちょい毒のある発言を織り交ぜてくる。それでいて本人は、まったく表情も変えず冷静なまま。温和な外面と毒を秘めた内面を、絶妙に発信し始めたかに見える市原悦子。若い層からも、“天然で可愛い”との声も多く聞こえてくる現在、御年79歳の彼女のさらなる活動に注目していきたいものである。
(文/五目舎)