日本有数のパワースポットとしても知られる、三重県の伊勢神宮、島根県の出雲大社。2013年に両社が“式年遷宮”を迎えたことがきっかけのひとつになり、全国各地で空前の“寺社参拝ブーム”が続いている。
そんな中、今年は世界文化遺産で、京都最古の神社のひとつでもある上賀茂神社が、21年に一度の式年遷宮を迎えると話題だ。 10月に42回目の式年遷宮を迎えるにあたり、それを記念した文化事業を実施している同神社。古くから京都の神山を流れる名水“神山湧水”を守り続けてきたことでも知られるが、今回はコーヒー事業を展開する味の素ゼネラルフーヅ(以下AGF)と共同で、世界にひとつの「神山湧水珈琲」を考案した。
一見、異色のタッグのように思えるが、両者には“水”を大切にしているという共通点が。 平安時代から伝わる上賀茂神社の正式名称は、賀茂別雷(かもわけいかづち)神社。雷をも分ける強さを持ち、五穀豊穣をもたらす神として長年に渡って親しまれており、境内には“神の山=神山”の湧水が流れている。ちなみに、参拝前に手を清める手水舎の水も神山湧水だとか。 [1]神社を象徴する細殿の立砂[2]手水舎にも神山湧水が使われている[3]境内にはいろいろな神様が
一方、女優・原田知世が出演する『ブレンディ』のCMでもお馴染みのAGFは、日本人の味覚を探求した、日本の水に合う“ジャパニーズコーヒー”を目指す嗜好飲料メーカー。今回の文化事業は、古くから水を大切にしてきた当神社に深く感銘を受けたAGFが、独自のスタイルで式年遷宮をお祝いしたいという思いから実現。このような試みは、共に初めてのことだという。 豆選びからブレンド、焙煎に至るまで、何度も試行錯誤を重ね、完成したのがこの「神山湧水珈琲」。先日、5月9・10日には、神社内に特設された野点珈琲ブースで、一般参拝者や観光客に無料提供するイベントが行われた。
[1]境内にくつろぎのカフェブースが登場[2]提供を開始すると早々に長蛇の列が[3]初日には、(左から)上賀茂神社・田中安比呂宮司、京都市の門川大作市長、AGFの横山敬一社長がプロジェクトの成功を祈願
早速、試飲してみると…渋みが少なくて何ともマイルドな味わい。コーヒーと共に、和菓子の老舗・聖護院八ッ橋の焼き八ッ橋が添えられていたのだが、一緒に楽しむと八ッ橋特有のニッキの風味と相まって、絶妙なハーモニーを奏でた。このイベント情報を聞きつけ、滋賀県から訪れたという夫婦は、「苦みがなく飲みやすいコーヒーでした。八ッ橋との相性も良くて来たかいがありました」と大満足の様子だった。 境内の透き通るような空間でいただくとまた格別のおいしさ!
開発に携わったAGFの開発研究所長・井村直人氏に話を聞くと、神山湧水はイオンのバランスが良く、コーヒーにした時もまろやかな味が楽しめるのが特長。開発時は、京菓子との相性を考えることが特に難題だったというが、ほうじ茶の約30倍以上もある“京番茶の焙煎香”をプラスすることで、互いの良さを消すことなくバランスのとれた一杯が完成したという。 神山湧水を使って丁寧にドリップ
コーヒー豆は、キリマンジャロとコロンビア、ブラジル産のものを使用しているが、中でも50%を占めているのがキリマンジャロ豆。香りのバランスが良いという点はもちろん、キリマンジャロ山のあるアフリカ・タンザニア地域では、“キリマンジャロ山=神の家”と呼ばれていることから、神山とも深いつながりがあると使用しているという。 そんなこだわりが詰まった神山湧水珈琲は、今後7月25・26日、10月17日にも同じように、同神社で提供される。また、期間中には、神山湧水の魅力を伝えるガイドツアー(7月)や、生花と能の公演(10月)といったイベントも行われる予定だ。 ちなみに、5月9・10日には、京都・和菓子の会による「神山湧水の夕べ」が行われ、上賀茂神社を象徴する立砂をイメージした美しい2種の生菓子と共に、神山湧水珈琲が振る舞われた。
老舗の鶴屋吉信オリジナルの京菓子は、特にふっくらした薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう)との相性も抜群。ニッキが香る八ッ橋とのマリアージュもおいしかったが、あんことの組み合わせも絶妙だった。(吉野杉で作られた木の皿は、おみやげとして持ち帰れた。うれしい!) [1]立砂をイメージして作られた生菓子[2]コーヒーは「神山湧水珈琲」、生菓子は「神山の雫」と命名[3]コーヒーは、あんを使った生菓子ともしっかりマッチ
パワースポットに流れる神山湧水を使った、オンリーワンのコーヒーは、今しか味わえない限定の味。愛好家のみなさんは、無料提供日に合わせて、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか?
◆上賀茂神社×AGF 式年遷宮記念文化事業 特設サイト
http://www.agf.jp/kouyama(外部サイト)
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