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素朴でナチュラルな“昭和顔”が人気のワケ
“昭和を知らない世代”の代表的な“昭和顔”は、有村架純や松岡茉優
しかし、ここで取り上げる“昭和顔”はそれらとはやや異なる。“昭和の町並みや生活スタイルが似合いそうな素朴な顔立ち”でありながらも、“昭和を生きた人々”ではなく、“昭和を知らない世代”が支持する顔立ちだということだ。代表的な“昭和顔”として注目されているのが、有村架純や波瑠、松岡茉優、黒木華、蓮佛美沙子など。有村はブレイクのきっかけとなったNHK連続テレビ小説『あまちゃん』の中で1980年代半ばの女子高生を演じ、“聖子ちゃんカット”を披露。黒木は映画『小さいおうち』で昭和初期の女中を演じ、国際的な評価も獲得した。有村は93年、黒木は90年、ともにバリバリの平成生まれ、平成育ちである。もちろん、それぞれの役柄が映像の時代性にフィットしたのは制作スタッフの努力もあるだろうし、女優なのだからそのシチュエーションに合わせるのは当たり前じゃないかと言われればそれまでだが、彼女たちならばたとえ“素のまま”でカメラの前に立っていたとしても、映像の示す“昭和”に溶け込んでいたと思えるのだ。それこそが彼女たちがもともと持っている“昭和顔”のポテンシャルにほかならないと思う。
平成世代にとっての“昭和顔”は“今の時代”に適した顔
来年下半期の連続テレビ小説『あさが来た』のヒロインに波瑠が抜擢されたように、“昭和顔”の女優たちは、どんな役柄もこなす“ナチュラルさ”を武器に、活躍のフィールドを無限に広げ続けている。1年後、この“素朴”な顔立ちは“昭和顔”ではなく、もうひとつの“平成顔”と呼ばれているかもしれない。
(文:田井裕規)