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金子ノブアキ、アーティストと俳優どちらも不義理を……辛い時期もあった

俳優としての最初の現場が三池崇史監督だったから良かった

――何がいちばん大変でした?
金子 子役をやっていたから、現場の成り立ちや撮り方の順番はわかっているけど、10年のブランクがあるから、その時間軸に慣れてなかった。あと演技の世界に一度背を向けて不義理をしているし、そこにまた戻ったってことでミュージシャンとしても謀叛をはたらいている。要はどっちの世界にも“どのツラ下げて来た”って状態だから、どう転んでも泥をかぶるんだろうなってことが辛かった。

――行き場がなくなったわけですね。もう後戻りはできない状態。
金子 そう。音楽やっているときは誰の言うことも聞かずにやってたけど、俳優は制作と監督が引っ張って作り上げていくものだから、そこにミュージシャンシップはいらない。でも俺の場合、そこが漏れ出ちゃっているみたいなんですよ。監督からはそれを良い部分として言ってもらえることが多いんだけど、やっぱり俺は音楽の人だから、本質が見えてしまうのかもしれない。

――それが俳優・金子ノブアキの個性であり、特異性ですよね。
金子 でもね、それが4、5年経つと、職人や裏方とリレーションが取れるようになってきて。情も生まれてくるから、もっとよくしたいなって思うようになる。子役のときは周りの大人たちに反抗して音楽の道に行ったけど、大人になると、その頃は見えなかったものも見えてくる。それで、周りとの関係性が良くなると、そういう気持ちが魔法みたいにちゃんと映像には出るから、心が動くものになったりもして……それがまた快感でね(笑)。だから今は俳優も音楽もどっちも楽しい。以前はミュージシャンとの切り替えを無理矢理やっていたけど、今はそれも自然にやれるようになった。
――昔はどんな風に切り替えていたんですか?
金子 音楽をまったく聴かない。聴くと「本当はこうじゃない!」って俳優の現場を否定するようになる。それじゃ子役のときと変わらないでしょ。だから最初の何年かは俳優をやるときは音楽を一切、遮断していました。でも今は全然、大丈夫です。ドラマや映画の仕事をしながら、音楽制作もやっているから。

――それって慣れもあるけど、演技のスキル自体も上がったってことなんですかね?
金子 スキルというか、多分、最初が三池(崇史)監督の現場だったから良かったんでしょうね。三池さんからは台本のセリフを無視して「君のキャラクターで喋ってくれ」って言われたんですよ。だから『クローズZEROII』のケンカのシーンは全部アドリブ(笑)。でもそれがすごく正解で、自分から勝手に出てくるものを出すって作業は演奏とすごく似ているんです。いい演奏をしているときは、演奏することを考えていない。ただ生きている、そこに在るだけみたいな一種のトランス状態で、演技もその領域に入ると、決められたセリフすら自分の言葉になったりする。だから自然と両立できた気がします。

俳優業のおかげで、ソロライブもできるようになった

――そう聞くと、金子さんは音楽でも演技でも、何かを創り出す瞬間の恍惚感や爆発感が好きなんでしょうね。
金子 生む感じが好きなんだと思う。しかも今はどっちの世界である程度、認識してもらい、泥をかぶるつもりで飛び込んだ俳優業のおかげで、こうしてソロのライブまでできるようになった。それは本当にありがたいことだから、思いっきり楽しんでやらないとバチが当たりますよ。

――では俳優をやり出した当初の“不義理感”はもう消えました?
金子 音楽の家に生まれているから、そこが帰る場所っていう感覚があります。でも、最近はそこから広がった役者の世界にも時間と共にノスタルジーが生まれてきていて。

――そこもホームになってきたと。
金子 領地が広がった、自分の場所が増えたって感じですかね。あと、周りも慣れてくれたっていうのはすごくあって「金子はああだから仕方ない」みたいな、あきらめてくれてる(笑)。だから俺はこうしてやらせてもらえるんだと思います。

――今はバンド、ソロ、そして俳優業とすべてが充実しているんですね。
金子 バンドマンとしては20年も経つと、フェスとかでは老舗みたいな感じでやらせてもらっていて、それは本当に宝。歴史を重ねないと絶対手に入らないものだなって思います。現場で「RIZEさん、入られました〜」って演歌の大御所さんみたいに紹介されるのは、やりづらいからやめてって言うんだけど(笑)、「これも財産だねぇ」ってボーカルのJESSEとも話しているんです。でも、そこに慣れるとまた飽きちゃうから、今の音楽って何だろう?って探求の旅はこれからもやっていくつもり。30代の後半から40代に向かって、そこに邁進していこうって、ライブのリハーサルをやるたびに感じていますね。

――終わりのない旅ですね。
金子 しかも何かを生んで育てていく過程って近道もないんですよね。これはもう草の根運動みたいなもので、どんどんいい曲を発信してライブをやるしか手がない。それで、俳優業もやらせてもらい、そういう相乗効果をひとつのプロジェクトの中にも求めていく。それが今後の野望であり、目標。だから今は安定してきているけど、また新しいことが始まるぞって、すごく瑞々しい気持ちです。

(文:若松正子/撮影:ウチダアキヤ)

金子ノブアキ 最新情報

1年ぶりの新曲「The Sun」と「Dawn」を発売!
【販売】iTunes Music / Unlimited / Amazon MP3 / Music.jp
【価格】各200円 / バンドル価格 300円

ソロライブ『nobuaki kaneko showcase 2015』
【日程】4月23日(木) 開場 19:30 / 開演 20:00
【会場】東京・渋谷www
【料金】前売3,900円 / 当日4,400円(それぞれ税込/ドリンク別)

金子ノブアキ オフィシャルサイト(外部サイト)

映画『セッション』

J・K・シモンズが助演男優賞、録音賞、編集賞と『アカデミー賞』3部門受賞した注目作!!

【ストーリー】
 名門音楽大学に入学したニーマン(マイルズ・テラー)はフレッチャー(J・K・シモンズ)のバンドにスカウトされる。ここで成功すれば偉大な音楽家になるという野心は叶ったも同然。だが、待ち受けていたのは、天才を生み出すことに取りつかれたフレッチャーの常人には理解できない〈完璧〉を求める狂気のレッスンだった。浴びせられる罵声、仕掛けられる罠…。ニーマンの精神はじりじりと追い詰められていく。恋人、家族、人生さえも投げ打ち、フレッチャーが目指す極みへと這い上がろうともがくニーマン。しかし……。

【出演】マイルズ・テラー/J・K・シモンズ/メリッサ・ブノワ/ポール・ライザー
【公開】4月17日(金)よりTOHOシネマズ新宿ほか、全国順次ロードショー
映画『セッション』オフィシャルサイト(外部サイト)

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