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「KENDAMA」が世界的ブームの兆し レトロ玩具・けん玉が“主役”になる日はくるのか?
近代化に成功していない「けん玉」
ではなぜ普及しなかったのだろうか? 同じくレトロ玩具として人気を集める「ヨーヨー」「ベーゴマ」と比較しながら探っていきたいと思う。まずは、単純に玩具としての難易度の高さがある。「ヨーヨー」「ベーゴマ」はシンプルな動作で見た目にも派手な技を繰り出せるが、「けん玉」は基本技でもコツをつかむまでが難しい。それにも関わらず、技としては地味だ。そこが味でもあるのだが、現代の“子供の遊び道具”としては、やや面白みに欠ける部分もある。さらに、大人もコツをつかめなければ「つまらない」と感じてしまうのだ。
また、いまだに“近代化”が成功していないという点も理由のひとつだろう。「ヨーヨー」は近未来的なデザインと技の自由度が高い競技用の「ハイパーヨーヨー」が発売され、大ブレイク。また、「ベーゴマ」はタカラトミーが現代版ベーゴマ「ベイブレード」を商業展開したことで、小学生の間で大流行した。ピーク時より規模は縮小したものの、子どもの玩具として定着している。しかし、「けん玉」は統一規格が定められたことにより、公平に競技ができるようになった一方で、紐の長さは1ミリの誤差も許されないなど、自由度は狭まってしまった。そのため、繰り出せる技も限られてしまい、近代モデルが発売されてもなかなか浸透しにくいのだ。
一過性のトレンドからの脱却
とはいえ、昨今の盛り上がりは、今後「けん玉」が“主役”になる可能性を秘めている。海外で流行中の「エクストリームけん玉」はストリートカルチャーと融合し、技を繰り出すときの動作の激しさを追及したり、カラフルな海外製けん玉が発売されたりと、ファッション性が高い。オシャレな海外製けん玉は日本にも輸入されており、日本国内の若者の間でも「スタイリッシュでカッコいい」というイメージが広がっているようだ。従来の概念にとらわれず、技を開発するなど自由なスタイルで楽しむ人も。また、TBSテレビがこの3月に新事業「エクストリームけん玉推進プロジェクト」を新設するなど、国内企業の期待感も高まっている。ブームを超え“ムーブメント”として新たな価値観を提示する可能性は十分にあるのだ。