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10年ぶりの本家ゴジラ復活、監督に相応しいのは誰?
日本アカデミー賞の最優秀監督賞&W作品賞受賞でも話題のVFX名手・山崎貴監督。ミニチュア特撮への情熱を抱え、ゴジラシリーズに参加した経験もある樋口真嗣監督。ヒューマンな社会派映画になるなら、『ゴジラ』映画を手がけた本多猪四郎監督のリアリズム精神を受け継ぐ是枝裕和監督。『ゴジラ』の原点に込められた反戦・平和へのメッセージを引き継ぐ日本を代表する監督とえいば大林宣彦監督……。妄想は尽きない。
◆特撮映画の映像スペクタクルに期待するなら
日本が誇るキング・オブ・モンスターの不朽の人気に背中を押されたか、ついに昨年末『ゴジラ』の生みの親である東宝が『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)以来10年ぶりに、日本で『ゴジラ』の新作映画を製作すると発表した。その発表では、内容についてはほとんど明らかにされなかったが、2016年の公開を目指す一大プロジェクトのリーダーとなる映画監督とは一体誰なのか。ぼくらの『ゴジラ』監督を勝手に大予想(大妄想!?)してみることに。
まずは、同発表での東宝の発言に注目してみたい。印象的だったのは『寄生獣』のクオリティを引き合いに出して「新しい『ゴジラ』を作る技術ができた」と強調した点だ。ハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』(2014年)は、ゴジラ映画として初めて3D公開された。3D映像による重厚感のある動きで、ゴジラの恐ろしさを見事に表現し、往年のファンからも評価を得て大きな話題を集めた。
特撮映画としての映像のスペクタクルに期待するならば、『寄生獣』をはじめ『永遠の0』や『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズなど最新VFX技術を駆使するヒットメイカー、山崎貴監督がまず思い浮かぶ。ハリウッドとは一線を画した視点とアイディアによる、新たなゴジラの創造に期待が高まる。
◆ゴジラを知り尽くした監督による再発見も期待
ミニチュアとデジタルワーク、それぞれの特徴を熟知したテクニックと、先達へのリスペクトをあわせ持つ、まさにゴジラを知り尽くした樋口監督の再発見するゴジラ像を目撃したい。シリーズ伝統の着ぐるみにこだわって、怪獣ゴジラのキッチュな可能性も追求し、世界のマニアたちを唸らせてほしいものだ。
現代日本を舞台に撮るならば、シリーズ1作目から多くの『ゴジラ』映画を手がけた、本多猪四郎監督のリアリズム精神の後継者として、是枝裕和監督に白羽の矢を立てたいところだ。
ドキュメンタリーで培った独自の眼差しで、東日本大震災後の日本が抱える社会問題をもあぶり出し、荒唐無稽な娯楽映画ではなく、ヒューマンな社会派映画としてのゴジラ映画を紡ぎ出してくれることを期待してしまう。今の日本に現れるゴジラの背中を、是枝監督ならどう表現するのか? これまでゴジラとは縁がなかった若い世代の注目も集めることだろう。
日本で『ゴジラ』が誕生したのは、第二次世界大戦の敗戦から9年後の1954年。水爆から生まれた怪獣ゴジラには、戦争や核兵器の恐怖などが投影された。そんな『ゴジラ』の原点に込められた、反戦・平和へのメッセージを引き継ぐ、日本を代表する監督と言えば、大林宣彦監督の右に出る者はいないだろう。
衝撃の映画監督デビュー作『HOUSE』(1977年)以来、昨年公開された『野のなななのか』に至るまで、独自のセンスとパイオニア精神を貫いた実験的な映像表現で、平和を訴え続けてきた大林監督。『ゴジラ』誕生時の熱気も肌で感じた、昨年喜寿を迎えた巨匠の生み出す、イマジネーションあふれるゴジラとは……?
製作スタッフの発表が待ち遠しい限りだ。