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CM発の新人ブレイクが続く背景
遠藤新菜、清原果耶……
ここ最近、無名に近かった新人タレントがCMに抜擢されて人気を呼ぶケースが目につく。
80年代終盤“3M”時代からCM発のスターは誕生していたが、2000年代のキャスティングにおける安定志向の時代を経て、
今また新人の起用が増えている。
その背景を探ってみた。
◆80年代終盤から生まれたCM発のスター
彼女は『non-no』(集英社)モデルの久慈暁子。青山学院大学に通う20歳で、これまでにも『旭化成グループキャンペーンモデル』やドラマ『近キョリ恋愛〜Season Zero〜』出演などの芸歴があるが、あの『ヘーベルROOMS』CMで一気に知名度を上げた。
最近はほかにも、一般には無名に近かった新人タレントがCMに抜擢されて人気を呼ぶケースが目につく。昨年から『ゼクシィ』CMに出演し、現在はドラマ『学校のカイダン』(日本テレビ系)に主演している広瀬すずもそうだった。オンエア中のものだと『サンケイビル ルフォン』の駒井蓮、『コナミ ワールドサッカーコレクションS ギャル監督篇』の遠藤新菜、『アステラス製薬 臓器移植をしたきみ篇』の清原果耶らが注目を集めている。
こうしたCM発のスターは80年代終盤から生まれるようになった。いわゆる“3M”の時代。『三井のリハウス』の宮沢りえ(初代リハウスガール)、『ハイシーL』の牧瀬里穂、『レナウン』の観月ありさらが鮮烈な印象を残す。従来の歌手としてデビューするアイドルが下火になったのと入れ替わり、CMが新たな時代のブレイクの登竜門となった。
その後、90年代にはNTTドコモの「広末涼子、ポケベル始める」で、“広末涼子”という名前自体がまだ浸透していない段階からCMで大量に流れて話題になったり、田中麗奈が『なっちゃん』のCM内のキャラクターと一体になって売り出されたりもした。
しかし2000年代になると、川口春奈がダブルで出演した『ポカリスエット』『三井のリハウス』など一部の定番を除き、CMでの新人起用が減った。企業が不況下にあって宣伝予算を削るなか、最も重要なテレビCMで新人に賭けるより、安定した人気のあるタレントに託す傾向が強まったと言われた。
◆今のCMヒットの背景にメディア環境の変化
新人タレントは特定のイメージが付いていないため、CMに起用すればフレッシュさや親近感のアピールに結びつく。人気が爆発する直前に青田買いできれば、タレントの人気上昇がブランドや企業のイメージアップにも繋がる。そして、関根氏は「ここ1、2年を見ると、実際にCMをきっかけにタレントの知名度と人気が急上昇し、CMもヒットするケースが目立つように感じます」という。その背景にあるのがメディア環境の変化だ。
「CM映像もテレビで流れるだけでなく、広告主が自社HPや動画サイトに公開するのが当たり前になりました。SNSやスマートフォンの普及もあって、CMに絡む話題が拡散する範囲と速度が増しています」
『ヘーベルROOMS』の久慈暁子は今後の目標として「ドラマやキャスターみたいな仕事もやってみたい」と話している。先行した広瀬すず同様、CMを機にオファーも殺到しているはず。かつての3Mや広末涼子レベルのスターが、この2010年代後半にまたCMから生まれそうだ。
(文:斉藤貴志)