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杉咲花インタビュー『想像するだけで興奮しました(笑)』
こんなにすてきな世界観がどう映し出されるのか…
杉咲 『しあわせのパン』が好きだったので、三島有紀子監督の映画と聞いて、うれしいなという思いでした。『しあわせのパン』では、食べ物がとってもおいしそうに美しく映っていたので、服がテーマの今回はどんな撮影になるんだろう? と楽しみでした。
――今回演じた高校生のゆきちゃんを、どう表現したいと考えましたか?
杉咲 すごくいい子なんですけど、気が弱くて、自分に自信がない。自分から意見を言うこともなかなかないんだろうなって。そういう子だから、中谷(美紀)さんが演じる(主人公)市江さんのところへ、お母さんのワンピースを自分用に直してほしいとお願いに行く場面では、ちょっと勇気を出して、ゆきちゃんが変わろうとしているシーンにしたいと思いました。毎回役へのアプローチは変わりますが、今回は台本を読んで、かなりストレートにゆきちゃんの人物像がわかったような気がしたので、とくに深く役作りをすることはありませんでした。衣裳合わせでワンピースを着たときも、“こうなるんだ”という感覚で、すっとなじめたというのか。
――撮影はちょうど一年前の今ごろでしたが、神戸ロケの印象は?
杉咲 市江さんの営む「南洋裁店」の建物(兵庫県川西市にある旧平賀邸)を初めて見たとき、台本を読んだだけではどんな場所か想像もつかなかったのですが、“たしかに市江さんが暮らす家だ!”と思いました。中谷さんと初めてお会いしたときに、衣裳を着た中谷さんの姿を見て“あ、市江さんだ”とすんなり思えた感覚に似ていました。普段あまり目にしないような洋服を着こなしていた中谷さんがおしゃれで……。こんなにすてきな世界観がどう映し出されていくのか、すごく楽しみになりました。撮影の阿部(一孝)さんは、昨夏のドラマ『なぞの転校生』(テレビ東京系)でもお世話になった方なんです。あのときの映像がすごく好きだったので、今回のセットがどんな色になって映るのか、想像するだけで興奮しました(笑)。
きっと戸惑ってしまうだろうな
杉咲 カメラのアングルひとつを決めるのにも時間をかけて、ワンシーン、ワンシーンを大切にされる三島監督の愛がある現場のなかでも、本当に時間をかけて撮影したシーンでした。神戸どうぶつ王国という、かなり広い場所で撮影したのですが、映っているのはほんの一部で、撮影場所以外は照明もセッティングされていなかったので、日が暮れると周囲が真っ暗になって……。夢の中のような庭園で、正装した大人の方々が優雅に踊る様子を眺めていると、演奏なしで撮影された本番のときにも、音楽が聴こえてくるような感じがしました。市江さんの覚悟を聞くシーンの撮影は、ものすごい緊張感でしたね。何時間もカメラが回り続けるなか、中谷さんはずっと変わらず、芝居を続けられていて。私だったらきっと戸惑ってしまうだろうなと思っていました。
――完成作をどうご覧になりましたか?
杉咲 音もすっと耳に入ってくるような、繊細できれいな世界に自分も映っていて、うれしかったです。洋服だけじゃなく、ハサミとか小物に至るまで映るもの全部がかわいくて。市江さんの食べていたチーズケーキも“食べたい!”って思ったし(笑)。いちばん好きだったのは、結婚式のシーンで、黒木華さんの着ていたウェディングドレスが、風船でふわぁっと上がるところです。かわいくて“あぁ、いいなぁ”って思いました。大好きな映画になりました。
(文:石村加奈/撮り下ろし写真:鈴木一なり)
◆杉咲花インタビュー『引き出しから出したいものがある』
繕い裁つ人
監督:三島有紀子
出演:中谷美紀 三浦貴大 片桐はいり 黒木華 杉咲花
【公式サイト(外部サイト)】
【予告編】
2015年1月31日全国公開
(C)2015 池辺葵/講談社・「繕い裁つ人」製作委員会