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邦画大作に増える“前後編2部作”は成功しているのか?
◆過去作品の前編&後編の興収を比較すると
ここ最近の話題作、大作はいずれも前後編の2部作が多い。4月25日から公開される『寄生獣 完結編』も、前編が昨年11月に公開された2部作の後編。昨年、実写日本映画で破格のヒットとなった『るろうに剣心』も2部作だった。公開時に、幅広い業種とのタイアップのほか、テレビや新聞などマスメディアを巻き込み、大々的なプロモーションを放つ大型作品に、とくに2部作が多い傾向がある。
その興収を見てみると、前述の『るろ剣』の場合、前編『京都大火編』の興行収入は52.1億円、後編の『伝説の最期編』は43.3億円。2013年の『劇場版 SPEC〜結〜』は前編が27.5億円、後編は20.6億円。2012年の『僕等がいた』は前編が25.2億円、後編が17.2億円。2010年の『のだめカンタービレ 最終楽章』は前編が41億円、後編が37.2億円。『SP』は前編が36.3億円、後編が33.3億円。
◆観客とっての2部作にする理由が存在するか
『劇場版SPEC〜結〜』では、シリーズの最重要人物のひとり、野々宮光太郎係長の死という大きなトピックで前編が終わった。それを噛みしめ、約1ヶ月間喪に服した後に封切られた後編で、ドラマから続くシリーズ全体の大きな謎に迫っていくという、ファン心理を考慮した構成には、作品の世界観を存分に味わえたと満足する、熱狂的なファンの声が多かったことも印象深い。こうした後編へのフックをかませていた作品もある。同作は興行的に成功を収めているが、それでも後編で数字が下がってしまっているのは残念なところだ。
過去には、後編で興収が伸びた日本映画も存在する。2006年6月、11月に公開された『デスノート』だ。最近では前編の約1ヶ月後に後編が封切られるスタイルが多いが、『寄生獣』は『デスノート』と同じく、5ヶ月という長いスパンが空いてから後編が公開される。この先、後編公開に向けての新たな宣伝展開が始まる『寄生獣』は、久々の『デスノート』的ヒットとなるか? そして、すでに話題沸騰中の大作『進撃の巨人』『ソロモンの偽証』が、2部作の新たなスタンダードを切り開くことができるのか? 強力な布陣だけに期待が募る。