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会田誠『“かつてエンターテインメントだった”アート〜楽しいを感じてほしい』

自らの作品を「アートの知識ゼロでもわかる」と断言する現代芸術家・会田誠。ポップなのに鋭くて、ふざけてるようで重厚。ルールって何だ?価値観って?生きるって?──観る者の感情をいやおうなく引き出しては、無秩序に揺さぶる。“おもしろいことが大好き!”な若者たちを強烈な引力で惹きつける現代アートの鬼才に迫るロングインタビュー!感情を激しく揺さぶる現代アートとは……エンターテインメント!?

映されるのがイヤな段階はありまして(笑)

──展覧会と同時期に公開されるドキュメンタリー映画(『駄作の中にだけ俺がいる』公開中)では、制作の真っ最中のアトリエやプライベートにもカメラが入っていますね。
【会田】 いちど断ったんですよ。ちょっと前に1本撮ったものがあるし、「そんなにおもしろい題材じゃございませんよ」と(笑)。でも、それでもぜひと言われたので受けました。プライベートを暴かれたくない、という感覚は全然ないです。

──制作過程、つまり途中の作品を映されることへの抵抗はないんでしょうか?
【会田】 絵のタイプによりますね。ただ実は、イヤな段階はありまして(笑)。ごく初期の「あーでもない、こーでもない」って悩みながら描いている段階は、恥ずかしいです。構図が決まれば本質的にはできたも同然なのでいいんですが、最初の時期だけはちょっとイヤですね。

──映画のなかでは『滝の絵』と『灰色の山』を同時に描いている様子が観られますが、今回の展覧会用の新作でも少女の絵と電信柱の絵を同時に描いています。相反するテイストの作品に並行して取りかかることは多いのでしょうか。
【会田】 双方の気分転換になるので多いかもしれないですね。何せ飽きっぽい性格で(笑)。なるべく飽きないようにするテクニックというか、自分をだまくらかすためですね。

──なかなか制作が進まないことに言い訳をするシーンなど、親しみを感じるような意外な一面もみられました。
【会田】 いや〜、こんなにイヤイヤ作っている人間も珍しいかもしれないですね(笑)。でも本当は、そう言っているだけ。本来、ものを作って見せることは好きですからね。僕は自分自身の自己顕示欲はあまりないけど、作ったものに対する自己顕示欲は並外れて大きくて。だから何が何でも完成させる。まあ、展覧会に間に合わないこともよくあるんですけど(笑)。何回目かの展示では完成させて、意地でも見せます。

エンターテインメントの中心からズレていったアート

──娯楽という観点からは、アートをどう捉えていますか?
【会田】 もともとアートってエンターテインメントだったはずなんですよ。それが、中心の位置から追い落とされただけ。たとえば中世のキリスト教の教会にある天使の絵なんか、当時の人にとっては一大スペクタクルだったはずで、現代人が3D映画を観に行く感覚と似ていたと思います。日本でもかつて、春と秋に開かれていた官展というのは、国民を上げて話題になるようなエンターテインメントだったはずです。他の娯楽がもっと強力になった背景もありますけど、アートは中心からどんどんズレて行った。それに合わせてアート自身もちょっとひねくれちゃったというか、「アートはもっと勉強するもんだ」みたいな態度になってしまった面があると思います。

──もともとはアートはエンターテインメントの中心にあった。
【会田】 ただ態度を変えたというのも、確かにわかる気もします。追い落とされたんだから、もう高級で知的な活動として存在するという。もちろん僕もそれに反対もしませんけど、個人的には“かつてエンターテインメントだった”という所に着目したいタイプですね。

──会田さんがデビューした90年代から現在までの間で、アートを取り巻く時代の変化を感じることはありますか?
【会田】 僕の視点では、難解で閉鎖的な行為としての美術というものが、ある意味で解体してきていて、大衆からとっつきやすいものになってきたのかなとは感じています。

──エンターテインメントにも通じる感情の揺さぶりを、アートから感じている人が増えているようにも思えます。
【会田】 アートのいい点のひとつに、フットワークの軽さがあります。Chim↑Pomのように思いついてパッとできるみたいな、他の娯楽産業にない“起動力の良さ”というおもしろみはあるでしょうね。ただその代わりお金はかかっていない(笑)。今や現代アートは、現代カルチャーのなかで一番作りは荒い。工芸品のように“出来が良い=完成度が高い”わけではなくて、誰かが思いついたプロトタイプ、つまり試しにやってみたような個人の試みの場としてのアートというものが、存在価値を持っているのだと思います。そのなかで成功したものを大手企業とかが真似したら、巨大な何かに化けるかもしれませんね。
(文:奥浜有冴)

⇒ 最初のページへ【直感的な創作――会田誠流の創造を語る】

[INFORMATION]

会田誠展:天才でごめんなさい

初期の代表作から最新作を含む約100点を通して、現代美術界の奇才・会田誠の全貌に迫る世界初の大規模個展。

会期:2012 年11月17日(土)〜 2013年3月31日(日)
会場:森美術館(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階)
お問合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
詳細は公式サイトへ

■会田誠さんからORICON STYLE読者へ!
“現代アート初心者向け”楽しみ方のアドバイス!!

「かなりタイプが異なる部屋が6つありますが、まず歩くだけでも楽しめると思います。おばけ屋敷にいるような感じで(笑)。僕の展覧会って、カップルには向かないんじゃないかと言われたりもするんですけど、遊園地のおばけ屋敷がカップルで楽しめるように、これもカップルに向いていますよ。怖い絵に出会ったら「きゃー!」とか言いながらしがみつけばいいんじゃないですか(笑)」

(C)AIDA Makoto Courtesy: Mizuma Art Gallery

映画情報

会田誠ドキュメンタリー映画『駄作の中にだけ俺がいる』

2009年夏、カメラは北京で制作中の会田に密着し、“生まれながらの芸術家”の生態と本音を赤裸々に、余すところなく映し出した。すべての常識と制約を取り払い、会田誠の「エロスと毒」の核心を描くのは、長年ドキュメンタリーを主戦場としてきた監督・渡辺正悟。1年に及ぶ撮影は、追い詰められた美術家の内面を徹底的に捉え、同時に、ユーモアに満ちた“奇才”の新たな一面にも触れている。同じ現代美術家である妻・岡田裕子のナレーションも相まって、映画は人間としての会田誠の本質的な魅力にさらに迫るものとなった。

【予告編】 【OFFICIAL SITE】
ユーロスペースほか全国順次公開中 (C)ザ・ファクトリー

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会田誠 代表作品フォトギャラリー&インタビュー、アトリエ撮り下ろし写真
『駄作の中にだけ俺がいる』ドキュメンタリー予告映像
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