高齢者施設における「推し活」が、高齢者だけでなく施設職員の「生きがい」にも好影響をもたらす可能性を確認
サントリーウエルネス株式会社
Jリーグの地元クラブを応援する「Be supporters!」に関する研究成果の第2弾
サントリーウエルネス(株)生命科学研究所は、京都大学 人と社会の未来研究院と、大阪公立大学 大学院情報学研究科 基幹情報学専攻)と共同し、当社が推進している活動「Be supporters!(ビーサポーターズ)」(以下、図表中では略称の「Beサポ!」で表記)に参加する、要介護状態(※1)にある高齢者施設の高齢者と施設職員を対象に、サッカーの応援活動(いわゆる、「推し」の存在を作って活動する「推し活」)が、高齢者や施設職員の「生きがい」にもたらす影響を明らかにする研究を行いました。
本研究は2024年11月に発表した「Be supporters!」に参加する高齢者を対象にした研究(※2)に続く第2弾で、研究成果を9月12日(土)〜13日(日)に開催された「第67回日本社会心理学会」で発表しました。
なお、ウェルビーイングに関わる研究の中で、高齢者施設の要介護の高齢者による「応援活動」を対象に行われた研究は珍しい(※3)と考えられます。
(※1) 身体上又は精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部又は一部について、厚生労働省令で定める期間にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態であって、その介護の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分のいずれかに該当するもの(出典:厚生労働省ホームぺージ:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/nintei/gaiyo4.html)
(※2) 2024年11月22日ニュースリリース「高齢者施設の利用者の幸福度が「推し活」とともに段階的に進展することを確認」
(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000075017.html)
(※3) PubMed(米国立医学図書館が提供している医学・生物学分野の代表的な文献検索システム)にて、検索ワード (”nursing home” or ”care home” or ”retirement home” or ”assisted living facility” or ”long-term care facility”) and ”cheering” and “well-being”で検索した結果、該当する学術文献なし(2026年8月当社調べ)
▼発表演題
「集合活動における滞在場所は生きがい形成に影響するかー介護施設におけるBe supporters!活動事例からの検討ー」
▼発表者
■サントリーウエルネス(株)生命科学研究所 平野杉、山崎いづみ、森田賢、大塚祐多、金田喜久、 出雲貴幸、中尾嘉宏
■京都大学 人と社会の未来研究院教授 内田由紀子
■大阪公立大学 大学院情報学研究科 基幹情報学専攻 江種大希、田中大智、植嶋亮伍、田中紀行、佐藤俊太、准教授 藤本まなと
▼本研究の背景・経緯
「Be supporters!」は高齢者施設の高齢者や認知症の方など、普段は周囲に「支えられる」場面の多い方が、地元のJリーグクラブを応援することで、「支える」存在になることを目指す活動で、サントリーウエルネス(株)とJリーグが共同で推進しています。「いくつになってもワクワクしたい、すべての人へ」をコンセプトとしており、活動が始まった2020年12月から現在までで、参加者は全国約250施設・延べ約1万5千人(2025年末時点)に広がっています。
活動開始以来、参加する施設職員からは、「推し」の選手ができてから周囲との交流が増えた方や、スタジアムで観戦するために苦手だったリハビリに励む方など、ポジティブな変化が生まれた高齢者について、さまざまなお声をいただいています。
こうした中、サントリーウエルネス(株)生命科学研究所では「Be supporters!」に参加する高齢者に起きた変化を科学的に検証するため、2023年より参加高齢者や施設職員を対象に、主に質問票やヒアリング調査を通して研究を進めてきました。2024年には第1弾の研究成果として、参加高齢者の「推し活度(推し活に熱中している度合い)」と「生きがい」が連動していることに加え、応援活動を通じて人とのつながりが豊かになることが、高齢者の幸福度に大きく影響している可能性を報告しました。
今回の第2弾の研究では、第1弾の研究と同様に、参加高齢者や施設職員への質問票による調査やヒアリングをそれぞれ実施したことに加え、新たに位置情報を取得する小型無線端末ビーコン(以下、ビーコン)を高齢者に装着いただきました。そのデータを用いた客観的な行動データ収集や解析を行い、活動を通して高齢者の「生きがい」が生まれる要因や、施設職員にもたらす影響を明らかにする調査を実施しました。
▼研究概要
■研究方法:観察研究(※4)
■対象者 :合計39名
・高齢者施設で実施するJリーグの試合観戦に参加している、高齢者19名(82歳〜101歳)(以下、高齢者)
・高齢者施設で実施するJリーグの試合観戦に参加している、高齢者施設に勤務している職員20名(以下、施設職員)
■評価項目:質問票による評価(※5)、ビーコンによる評価(高齢者16名に装着)
■実施施設:大阪府八尾市高齢者施設3施設(あぷり八尾太田,あぷり八尾都塚,小規模多機能ホームあぷり)
■調査期間:2025年4月18日〜2025年12月15日
(※4)対象者の自然な状況を観察し、データを収集・分析する研究方法。質問票やインタビュー、医療記録などを使ってデータを集め、要因間の関連性を解析する。
(※5)高齢者に対する質問票については、高齢者本人による回答が難しいため、担当職員が回答
▼高齢者に対する質問票(全11項目)

(※6)推し活度:「推し活にどれくらい熱中しているかを測る、本研究のために独自に作成した指標。「応援している選手の名前あるいは背番号を覚えている」「応援している選手のことが、ふだんの生活で会話に出てくる」「応援している選手やチームのことを、自分からもっと調べて知ろうとしている」という独自に設定した3つの質問項目に対する回答の平均値(「全くあてはまらない」=1から「非常にあてはまる」=5)とした。
(※7)バーセル・インデックス(Barthel Index):日常生活動作を評価するための指標で、利用者の機能的な自立度を測定するために広く使用されている。全項目の合計点は0点から100点の範囲となり、100点が完全に自立していることを示す。(出典:Mahoney, F.I., and Barthel, D.W. (1965). Functional evaluation: the Barthel Index. Md State Med J 14, 61-65.)
(※8)意欲の指標(Vitality Index):意欲を評価するための指標で、全項目の合計点数は0点から10点の範囲となる。点数が高いほど、意欲が高いことを示す。(出典:Toba, K., Nakai, R., Akishita, M., Iijima, S., Nishinaga, M., Mizoguchi, T., Yamada, S., Yumita, K., and Ouchi, Y. (2002). Vitality Index as a useful tool to assess elderly with dementia. Geriatr. Gerontol. Int. 2, 23-29.)
(※9)生きがい意識尺度(Ikigai-9):「人生に意味や目的を感じている感覚」や「生きていてよかったと思える気持ち」など、「生きがい」を測る指標で、9つの質問項目から成る。今回の研究では、研究対象に合わせて一部改変して使用した。(出典:今井忠則, 長田久雄, 西村芳貢. (2012). 生きがい意識尺度(Ikigai-9)の信頼性と妥当性の検討. 日本公衆衛生雑誌 59, 433-439.)
▼施設職員に対する質問票(全8項目)

(※10)協調的幸福感:自分だけで完結する幸福ではなく、周囲の人との調和・安定した関係性の中で感じる幸福感のことで、9つの質問項目から成る。(出典:Hitokoto, H., & Uchida, Y. (2014). Interdependent Happiness: Theoretical Importance and Measurement Validity. Journal of Happiness Studies. DOI 10.1007/s10902-014-9505-8.)
(※11)仕事の達成感:労働政策研究・研修機構のHRMチェックリストにおける「達成」項目を参考に測定。(労働政策研究・研修機構. HRMチェックリストの分析―Webでの収集データの検討. JILPT資料シリーズ No.134, 2014.)
一方で、「生きがい」は身体状態(バーセル・インデックス、意欲の指標)とは関連が認められませんでした(図1のグレーマーカー箇所)。これは、「Be supporters!」は、要介護の高齢者の身体状態に関わらず「生きがい」に寄与する可能性を示しています。
また、活動への参加頻度が増えることで、「リズム(活動の実施日や曜日を意識した生活リズムのこと)」が生まれ、その結果、周囲と一緒に楽しもうとする気持ちが高まり、孤独感の緩和につながることもわかりました。(図1のオレンジ色マーカー箇所)

図1)高齢者に対する質問票からみる「生きがい」の要因の関係図
(※12):単純な相関関係ではなく、他の指標の影響を考慮したうえで、どの指標同士が直接的に関連している可能性があるかを探索的に把握する解析手法。上記図中の数値は各項目同士の関連の強さを示す。
その結果、「Be supporters!」の実施日は、通常のレクリエーション実施日と比較して、施設共用部で過ごす時間が有意に長いことが確認されました(図2B)。これは、「Be supporters!」が、周囲と共通の応援対象を持つ応援活動であることが特徴で、これにより周囲との関係性(つながり)が生まれ(※13)、その場で長く過ごす動機となっていると推測しています。

図2)施設共用部(通常のレクリエーションや「Be supporters !」の実施場所)でのビーコン使用イメージ(A)と全高齢者における施設共用部の平均滞在時間(B)
なお、今回、高齢者施設にてビーコンを活用した客観的なデータ収集と解析を行うという新たな取り組みにより、高齢者の滞在時間のみならず、施設内の滞在場所と「生きがい」の関連性も明らかにできる可能性が確認できました。今後も本データを活用した、さらなる分析を進めていきます。
(※13):出典:森田賢, 大塚祐多, 金田喜久, 出雲貴幸, 中尾嘉宏, 中曽禎啓, 江種大希, 小川唯, 藤本まなと, 内田由紀子. Be supporters! 活動の事例報告 ―介護施設利用者のウェルビーイングに向けて―. 応用老年学. 2026; 20(1): 166-176.

図3)施設職員が活動に参加した頻度と「生きがい意識尺度」(A)と「協調的幸福感」(B)との関係
▼まとめ
「Be supporters!」は、参加高齢者の身体状態に関わらず、周囲との交流機会を増やすことを通じて、高齢者の「生きがい」に寄与する可能性が示されました。 また、周囲と共通の応援対象を持つ応援活動(推し活)であるという特徴のために、周囲との関係性(つながり)が生まれ、その場に滞在する時間が長くなる可能性が示されました。 さらに、高齢者だけでなく、参加する施設職員の「生きがい」や「協調的幸福感」とも関連することが示唆されました。これらのことから、「Be supporters!」は、サッカーを応援するというシンプルな活動ながらも、高齢者施設全体における「生きがい」を生むひとつの方法となり得ると考えられます。
▼今後について
サントリーウエルネス(株)は、「人生100年時代における『シニアステージ』の『豊かな生活文化』を提案していく。」という新たなミッションの下、サプリメント・スキンケア商品等の提供だけにとどまらず、お客様「ひとりひとりの『生きる』を輝かせる」ことへの貢献を目指しています。「Be supporters!」では、「健康寿命」だけでなく、幸せを感じることができる期間である「幸福寿命」も大切な価値観と考え、いくつになっても自分らしく輝いて生きることの大切さを発信していきます。
また、生命科学研究所は今後も「Be supporters!」に関する研究を継続し、高齢者や周囲にもたらす影響を検証していきます。研究の結果はより良い活動や、人の幸福についての理解を深めるために活用し、お客様のウェルビーイングに伴走することを目指します。
▼参考Webサイト
「Be supporters!」公式サイト
https://www.suntory-kenko.com/besupporters/
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サントリーウエルネス(株)生命科学研究所は、京都大学 人と社会の未来研究院と、大阪公立大学 大学院情報学研究科 基幹情報学専攻)と共同し、当社が推進している活動「Be supporters!(ビーサポーターズ)」(以下、図表中では略称の「Beサポ!」で表記)に参加する、要介護状態(※1)にある高齢者施設の高齢者と施設職員を対象に、サッカーの応援活動(いわゆる、「推し」の存在を作って活動する「推し活」)が、高齢者や施設職員の「生きがい」にもたらす影響を明らかにする研究を行いました。
本研究は2024年11月に発表した「Be supporters!」に参加する高齢者を対象にした研究(※2)に続く第2弾で、研究成果を9月12日(土)〜13日(日)に開催された「第67回日本社会心理学会」で発表しました。
なお、ウェルビーイングに関わる研究の中で、高齢者施設の要介護の高齢者による「応援活動」を対象に行われた研究は珍しい(※3)と考えられます。
(※1) 身体上又は精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部又は一部について、厚生労働省令で定める期間にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態であって、その介護の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分のいずれかに該当するもの(出典:厚生労働省ホームぺージ:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/nintei/gaiyo4.html)
(※2) 2024年11月22日ニュースリリース「高齢者施設の利用者の幸福度が「推し活」とともに段階的に進展することを確認」
(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000075017.html)
(※3) PubMed(米国立医学図書館が提供している医学・生物学分野の代表的な文献検索システム)にて、検索ワード (”nursing home” or ”care home” or ”retirement home” or ”assisted living facility” or ”long-term care facility”) and ”cheering” and “well-being”で検索した結果、該当する学術文献なし(2026年8月当社調べ)
▼発表演題
「集合活動における滞在場所は生きがい形成に影響するかー介護施設におけるBe supporters!活動事例からの検討ー」
▼発表者
■サントリーウエルネス(株)生命科学研究所 平野杉、山崎いづみ、森田賢、大塚祐多、金田喜久、 出雲貴幸、中尾嘉宏
■京都大学 人と社会の未来研究院教授 内田由紀子
■大阪公立大学 大学院情報学研究科 基幹情報学専攻 江種大希、田中大智、植嶋亮伍、田中紀行、佐藤俊太、准教授 藤本まなと
▼本研究の背景・経緯
「Be supporters!」は高齢者施設の高齢者や認知症の方など、普段は周囲に「支えられる」場面の多い方が、地元のJリーグクラブを応援することで、「支える」存在になることを目指す活動で、サントリーウエルネス(株)とJリーグが共同で推進しています。「いくつになってもワクワクしたい、すべての人へ」をコンセプトとしており、活動が始まった2020年12月から現在までで、参加者は全国約250施設・延べ約1万5千人(2025年末時点)に広がっています。
活動開始以来、参加する施設職員からは、「推し」の選手ができてから周囲との交流が増えた方や、スタジアムで観戦するために苦手だったリハビリに励む方など、ポジティブな変化が生まれた高齢者について、さまざまなお声をいただいています。
こうした中、サントリーウエルネス(株)生命科学研究所では「Be supporters!」に参加する高齢者に起きた変化を科学的に検証するため、2023年より参加高齢者や施設職員を対象に、主に質問票やヒアリング調査を通して研究を進めてきました。2024年には第1弾の研究成果として、参加高齢者の「推し活度(推し活に熱中している度合い)」と「生きがい」が連動していることに加え、応援活動を通じて人とのつながりが豊かになることが、高齢者の幸福度に大きく影響している可能性を報告しました。
今回の第2弾の研究では、第1弾の研究と同様に、参加高齢者や施設職員への質問票による調査やヒアリングをそれぞれ実施したことに加え、新たに位置情報を取得する小型無線端末ビーコン(以下、ビーコン)を高齢者に装着いただきました。そのデータを用いた客観的な行動データ収集や解析を行い、活動を通して高齢者の「生きがい」が生まれる要因や、施設職員にもたらす影響を明らかにする調査を実施しました。
▼研究概要
■研究方法:観察研究(※4)
■対象者 :合計39名
・高齢者施設で実施するJリーグの試合観戦に参加している、高齢者19名(82歳〜101歳)(以下、高齢者)
・高齢者施設で実施するJリーグの試合観戦に参加している、高齢者施設に勤務している職員20名(以下、施設職員)
■評価項目:質問票による評価(※5)、ビーコンによる評価(高齢者16名に装着)
■実施施設:大阪府八尾市高齢者施設3施設(あぷり八尾太田,あぷり八尾都塚,小規模多機能ホームあぷり)
■調査期間:2025年4月18日〜2025年12月15日
(※4)対象者の自然な状況を観察し、データを収集・分析する研究方法。質問票やインタビュー、医療記録などを使ってデータを集め、要因間の関連性を解析する。
(※5)高齢者に対する質問票については、高齢者本人による回答が難しいため、担当職員が回答
▼高齢者に対する質問票(全11項目)

(※6)推し活度:「推し活にどれくらい熱中しているかを測る、本研究のために独自に作成した指標。「応援している選手の名前あるいは背番号を覚えている」「応援している選手のことが、ふだんの生活で会話に出てくる」「応援している選手やチームのことを、自分からもっと調べて知ろうとしている」という独自に設定した3つの質問項目に対する回答の平均値(「全くあてはまらない」=1から「非常にあてはまる」=5)とした。
(※7)バーセル・インデックス(Barthel Index):日常生活動作を評価するための指標で、利用者の機能的な自立度を測定するために広く使用されている。全項目の合計点は0点から100点の範囲となり、100点が完全に自立していることを示す。(出典:Mahoney, F.I., and Barthel, D.W. (1965). Functional evaluation: the Barthel Index. Md State Med J 14, 61-65.)
(※8)意欲の指標(Vitality Index):意欲を評価するための指標で、全項目の合計点数は0点から10点の範囲となる。点数が高いほど、意欲が高いことを示す。(出典:Toba, K., Nakai, R., Akishita, M., Iijima, S., Nishinaga, M., Mizoguchi, T., Yamada, S., Yumita, K., and Ouchi, Y. (2002). Vitality Index as a useful tool to assess elderly with dementia. Geriatr. Gerontol. Int. 2, 23-29.)
(※9)生きがい意識尺度(Ikigai-9):「人生に意味や目的を感じている感覚」や「生きていてよかったと思える気持ち」など、「生きがい」を測る指標で、9つの質問項目から成る。今回の研究では、研究対象に合わせて一部改変して使用した。(出典:今井忠則, 長田久雄, 西村芳貢. (2012). 生きがい意識尺度(Ikigai-9)の信頼性と妥当性の検討. 日本公衆衛生雑誌 59, 433-439.)
▼施設職員に対する質問票(全8項目)

(※10)協調的幸福感:自分だけで完結する幸福ではなく、周囲の人との調和・安定した関係性の中で感じる幸福感のことで、9つの質問項目から成る。(出典:Hitokoto, H., & Uchida, Y. (2014). Interdependent Happiness: Theoretical Importance and Measurement Validity. Journal of Happiness Studies. DOI 10.1007/s10902-014-9505-8.)
(※11)仕事の達成感:労働政策研究・研修機構のHRMチェックリストにおける「達成」項目を参考に測定。(労働政策研究・研修機構. HRMチェックリストの分析―Webでの収集データの検討. JILPT資料シリーズ No.134, 2014.)
▼結果1.:活動への参加頻度が増えるほど、ユニフォームで着飾る機会や周囲との会話が生まれるなどの変化が起き、高齢者の「生きがい」の要因となることを確認
活動を通して高齢者に「生きがい」が生まれる要因を明らかにするため、高齢者に対する質問票(全11項目)のGaussian Bayesianネットワーク解析(※12)を実施しました。その結果、高齢者の活動への参加頻度が増えるほど、「身だしなみ(ユニフォームで自身を着飾る等)」や周囲との「会話」が生まれるなどの変化が起き、それが「生きがい」につながっていることが分かりました。(図1の青マーカー箇所)一方で、「生きがい」は身体状態(バーセル・インデックス、意欲の指標)とは関連が認められませんでした(図1のグレーマーカー箇所)。これは、「Be supporters!」は、要介護の高齢者の身体状態に関わらず「生きがい」に寄与する可能性を示しています。
また、活動への参加頻度が増えることで、「リズム(活動の実施日や曜日を意識した生活リズムのこと)」が生まれ、その結果、周囲と一緒に楽しもうとする気持ちが高まり、孤独感の緩和につながることもわかりました。(図1のオレンジ色マーカー箇所)

図1)高齢者に対する質問票からみる「生きがい」の要因の関係図
(※12):単純な相関関係ではなく、他の指標の影響を考慮したうえで、どの指標同士が直接的に関連している可能性があるかを探索的に把握する解析手法。上記図中の数値は各項目同士の関連の強さを示す。
▼結果2.:活動の実施日は通常のレクリエーション実施日と比べ、高齢者が施設共用部で過ごす時間が長くなることを確認
高齢者やご家族の同意の下、高齢者に位置情報を取得するビーコンを装着し、皆で集まって活動する施設共用部における高齢者の滞在時間のデータを取得しました(図2A)。滞在時間のデータは、「Be supporters!」の実施日と、ボーリング、カラオケ、輪なげ、テレビ鑑賞などの通常のレクリエーション実施日との比較解析を行いました。その結果、「Be supporters!」の実施日は、通常のレクリエーション実施日と比較して、施設共用部で過ごす時間が有意に長いことが確認されました(図2B)。これは、「Be supporters!」が、周囲と共通の応援対象を持つ応援活動であることが特徴で、これにより周囲との関係性(つながり)が生まれ(※13)、その場で長く過ごす動機となっていると推測しています。

図2)施設共用部(通常のレクリエーションや「Be supporters !」の実施場所)でのビーコン使用イメージ(A)と全高齢者における施設共用部の平均滞在時間(B)
なお、今回、高齢者施設にてビーコンを活用した客観的なデータ収集と解析を行うという新たな取り組みにより、高齢者の滞在時間のみならず、施設内の滞在場所と「生きがい」の関連性も明らかにできる可能性が確認できました。今後も本データを活用した、さらなる分析を進めていきます。
(※13):出典:森田賢, 大塚祐多, 金田喜久, 出雲貴幸, 中尾嘉宏, 中曽禎啓, 江種大希, 小川唯, 藤本まなと, 内田由紀子. Be supporters! 活動の事例報告 ―介護施設利用者のウェルビーイングに向けて―. 応用老年学. 2026; 20(1): 166-176.
▼結果3.:活動が施設職員の「生きがい」に好影響をもたらす可能性を確認
施設職員の「Be supporters!」への参加と「生きがい」の関連性を明らかにするために、職員に対する質問票(全8項目)を用いて、相関解析を実施しました。その結果、活動の参加頻度の高い職員は「生きがい意識尺度」や「協調的幸福感」(周囲の人との調和や安定した関係性の中で得られる幸福感)が高いことが確認されました(図3A,B)。活動に積極的に関わる職員ほど「生きがい」を感じやすい可能性が示されました。
図3)施設職員が活動に参加した頻度と「生きがい意識尺度」(A)と「協調的幸福感」(B)との関係
▼まとめ
「Be supporters!」は、参加高齢者の身体状態に関わらず、周囲との交流機会を増やすことを通じて、高齢者の「生きがい」に寄与する可能性が示されました。 また、周囲と共通の応援対象を持つ応援活動(推し活)であるという特徴のために、周囲との関係性(つながり)が生まれ、その場に滞在する時間が長くなる可能性が示されました。 さらに、高齢者だけでなく、参加する施設職員の「生きがい」や「協調的幸福感」とも関連することが示唆されました。これらのことから、「Be supporters!」は、サッカーを応援するというシンプルな活動ながらも、高齢者施設全体における「生きがい」を生むひとつの方法となり得ると考えられます。
▼今後について
サントリーウエルネス(株)は、「人生100年時代における『シニアステージ』の『豊かな生活文化』を提案していく。」という新たなミッションの下、サプリメント・スキンケア商品等の提供だけにとどまらず、お客様「ひとりひとりの『生きる』を輝かせる」ことへの貢献を目指しています。「Be supporters!」では、「健康寿命」だけでなく、幸せを感じることができる期間である「幸福寿命」も大切な価値観と考え、いくつになっても自分らしく輝いて生きることの大切さを発信していきます。
また、生命科学研究所は今後も「Be supporters!」に関する研究を継続し、高齢者や周囲にもたらす影響を検証していきます。研究の結果はより良い活動や、人の幸福についての理解を深めるために活用し、お客様のウェルビーイングに伴走することを目指します。
▼参考Webサイト
「Be supporters!」公式サイト
https://www.suntory-kenko.com/besupporters/
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