九州新幹線を題材にした映画『奇跡』の公開記念イベントが17日、福岡県北九州市門司区にある九州鉄道記念館で開催された。同作の是枝裕和監督、主演の兄弟漫才コンビ・まえだまえだ（前田航基、前田旺志郎）、主題歌を担当したくるりの岸田繁らによるトークショーの後、集まった鉄道ファンには垂涎の解体部品プレゼント抽選会が行われた。

　解体部品は、3月12日に九州新幹線が全線開業したのに伴い、定期運用を離脱したJR九州485系車両のもの。赤一色の車体で「レッドエクスプレス」の愛称で親しまれてきた。抽選順に1人1点ずつ好きな部品がもらえるとあって、50人が参加した抽選会は熱気ムンムン。航基は、狙っていたエンブレムが2つともほかの参加者の手に渡ってしまい、少しばかり落胆していたが、「電車は今までも好きだったけど、今日は細かいところも見られてうれしかった」と話していた。

　映画は両親の離婚で、福岡と鹿児島に別れて暮らす小学生の兄弟が、九州新幹線開通の日、上りと下りの一番列車が行き交う瞬間に奇跡が起きると信じて、家族を取り戻すための計画を立てるというストーリー。

　トークショーで是枝監督は「九州新幹線をテーマにした映画の話をいただいたとき、子供の話にしようと思った。最初は男の子と女の子が出会う話にするつもりだったけど、この兄弟（まえだまえだ）に会って、全部脚本を変えて兄弟の話にした。あまりに魅力的だったので。僕の映画は暗い作品が多いけど、今回は前向きな話になったと思う」と話していた。

　映画『奇跡』は6月4日より九州地方で先行公開、6月11日より全国で公開される。