監督生活50周年を迎えた山田洋次監督の新作『東京家族』を製作・配給する松竹は14日、12月公開予定だった同映画の製作を延期することを発表した。本作は当初、今月1日のクランクインを目指して撮影準備を進めてきたが、東日本大震災の影響による撮影上の物理的事情と、山田監督の意向を受けて延期を決定した。今後は、来年早期のクランクインを目指して調整に入るとしている。
山田監督から寄せられたコメントによると、同映画はクランクインを待つばかりとなっていたが、震災を受け「このままそ知らぬ顔で既に完成している脚本に従って撮影していいのだろうか」と苦悩。「もしかして3月11日以前と以後の東京の、あるいは日本の人々の心のありかたは違ってしまうのではないか」と考え抜いた末、苦渋の決断を下した。
同作は、小津安二郎監督の『東京物語』(1953年公開)をベースに、瀬戸内の小島から上京する老夫婦に菅原文太と市原悦子。次男の昌次が生きている設定で妻夫木聡が出演し、その恋人・紀子役の蒼井優と、もう一組の“主役”を演じることになっていた。
監督は既に完成している脚本を全面的に見直し、「新たな気力を奮い立てて『東京家族』の制作に挑みます」とコメントしている。以下は山田監督のコメント全文。
ぼくはこんな風に考えた
一年以上の歳月をかけて入念に準備を整え、間近なクランクインを控えてスタッフやキャストの気力が充実しきっていた時、3月11日の大災害が発生しました。
このままそ知らぬ顔で既に完成している脚本に従って撮影していいのだろうか。いや、もしかして3月11日以前と以後の東京の、あるいは日本の人々の心のありかたは違ってしまうのではないか―――ぼくは何日も悩み、会社ともくり返し相談した結果、それこそ苦渋の選択をしました。
撮影を中断して今年の終わりまでこの国の様子を見よう、その時点で脚本を全面的に見直した上で戦後最大の災害を経た東京、つまり2012年の春の東京を舞台にした物語をこそ描くべきだ、と云うことです。
来年、ぼくたちは新たな気力を奮い立てて『東京家族』の制作に挑みます。どうか観客の皆さん、ご期待下さい。
山田洋次
山田監督から寄せられたコメントによると、同映画はクランクインを待つばかりとなっていたが、震災を受け「このままそ知らぬ顔で既に完成している脚本に従って撮影していいのだろうか」と苦悩。「もしかして3月11日以前と以後の東京の、あるいは日本の人々の心のありかたは違ってしまうのではないか」と考え抜いた末、苦渋の決断を下した。
監督は既に完成している脚本を全面的に見直し、「新たな気力を奮い立てて『東京家族』の制作に挑みます」とコメントしている。以下は山田監督のコメント全文。
ぼくはこんな風に考えた
一年以上の歳月をかけて入念に準備を整え、間近なクランクインを控えてスタッフやキャストの気力が充実しきっていた時、3月11日の大災害が発生しました。
このままそ知らぬ顔で既に完成している脚本に従って撮影していいのだろうか。いや、もしかして3月11日以前と以後の東京の、あるいは日本の人々の心のありかたは違ってしまうのではないか―――ぼくは何日も悩み、会社ともくり返し相談した結果、それこそ苦渋の選択をしました。
撮影を中断して今年の終わりまでこの国の様子を見よう、その時点で脚本を全面的に見直した上で戦後最大の災害を経た東京、つまり2012年の春の東京を舞台にした物語をこそ描くべきだ、と云うことです。
来年、ぼくたちは新たな気力を奮い立てて『東京家族』の制作に挑みます。どうか観客の皆さん、ご期待下さい。
山田洋次
2011/04/14