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『アバター』は「ある種のアニメ」恐るるに足らず 日本の3D実写映画は“生っぽさ”で勝負

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 観客動員800万人、興行収入126億円を突破し、大ヒットを続ける米3D映画『アバター』が日本で公開される約2ヶ月前の10月17日、日本映画初となるデジタル3D実写長編映画『戦慄迷宮3D』が劇場公開された。同作は映画『呪怨』シリーズで、日本のみならずハリウッドでも高い評価を得た清水崇監督の3年ぶりの最新作だった。

「ぜひまた3Dでできる企画があれば3Dでやってみたいと思う」と語る清水崇監督 

「ぜひまた3Dでできる企画があれば3Dでやってみたいと思う」と語る清水崇監督 

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 昨年、ハリウッドは“3D元年”を掲げ、数多くの3D映画を日本にも送り込んできた。『アバター』はその最たるもので、同作の大ヒットに押されて、日本初の3D実写映画の挑戦も、すっかり影が薄くなってしまった感がある。清水監督や製作サイドはさぞや、苦々しい思いを抱いているのでは?というORICON STYLEの取材に、アスミック・エースの谷島正之プロデューサーは「『アバター』はある種“アニメーション”。日本映画界が到底真似できないような3Dの使い方がいっぱい出てくるのかと思ったら、驚くほどではなかった。むしろ自信を持ちました」と、どこまでも強気の姿勢を貫く。

 清水監督も「『戦慄迷宮』は短期間で、しかも低予算で作ったけど、それなりの日本映画らしさは出せたと自負している」と語る。『戦慄迷宮3D』と『アバター』の違いは、「臨場感から派生する“生っぽさ”。『アバター』は確かにすごい世界観だけど、女優シガニー・ウイーバーの顔のしわさえも、CGなんじゃないの?と思わせてしまう。匂いや温度が感じられなかったので、そういう意味で“アニメ”っぽい。3D映画を日本で製作するなら、ハリウッド映画との違いを明確にしておかなくてはいけないと思う」というのが清水監督の持論だ。

 3Dといえば飛び出す映像のことだと思っている人も多いが、その特性は奥行き感や立体感、それらを感じることによって観客が作品世界に没入する臨場感にある。清水監督は「今後は飛び出す映像にびっくりする技術的な面白さだけでなく、例えば女性の肌が立体的でより綺麗に見えるとか、クリエーターの作り方のセンス次第で、まだまだ誰もやらなかった新しい3D技術の使い方、表現できることが増える」と、3D映画の可能性を話す。谷島プロデューサーも「これからの100年、どんなに技術が進歩しようと、どんなに製作予算があろうと、3Dで見せる必然性のあるコンセプト、ストーリー性があるかどうかが、いい映画作りのポイントになるのは間違いない」と語る。

 3D上映対応の劇場は着々と増えており、映画館の増収対策としても期待されている。また、家庭用のテレビや再生機器でも3Dへの対応が相次ぎ発表される中、清水監督の『戦慄迷宮』は日本映画初の3D-DVDで発売される。これには最新3D映像処理技術“トリオスコピクス方式”を採用し、劇場版の3D映像をできる限り家庭用のテレビで再現しており、今あるDVDプレーヤーの再生ボタンを押し、付属の専用3Dメガネをかけて見るだけで、通常のアナグリフ方式(赤青方式)のものよりブレがなく、優れた色と質感と目が疲れにくい3D映像を楽しめる。映像コンテンツの3D化の流れはますます加速しそうだ。

 同作は山梨・富士急ハイランドの“世界最恐”アトラクション『戦慄迷宮』をモチーフに、同施設内で撮影した長編ショック・スリラー。『戦慄迷宮 3Dプレミアム・エディション』(4935円)は3月3日発売。

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  • 主なキャストは柳楽優弥、蓮佛美沙子、勝地涼、前田愛、水野絵梨奈、松尾スズキほか(C) ショック・ラビリンス・フィルム・コミッティ2009 
  • 映画『戦慄迷宮 3D』のワンシーン(C) ショック・ラビリンス・フィルム・コミッティ2009 
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