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西島秀俊、映画『サヨナライツカ』を語る



 女優・中山美穂が12年ぶりにスクリーンに復帰する映画『サヨナライツカ』(イ・ジェハン監督、1月23日公開)で、主人公・沓子(中山)と運命の恋に落ちるエリートビジネスマン・豊を演じた西島秀俊。ORICON STYLEの取材に応じ「この映画は全然客観的に観られない。どのカットも思い入れが深過ぎて……」と語った。


映画『サヨナライツカ』でふたりの女性の間で揺れるエリートサラリーマンを熱演した西島秀俊 

映画『サヨナライツカ』でふたりの女性の間で揺れるエリートサラリーマンを熱演した西島秀俊 

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 時は1975年。航空会社でエリートコースをまっしぐらに進む豊は、婚約者・光子(石田ゆり子)を東京に残して、タイ・バンコク支社に赴任する。そこで謎めいた美貌の女性・沓子と出会う。たちまち魅かれ合い、愛欲に溺れていくふたり。会社の上司の忠告や同僚の苦言を受けながら、約束された未来と目の前の欲望との間で、豊の心は揺れ動く。


◆日常と非日常のバランスが、この映画の特別さ


映画『サヨナライツカ』のワンシーン

【西島】 ラブストーリー映画であるとともに、人生の選択をテーマにした映画。人生の中で、いろいろなターニングポイントがあり、その岐路に立たされた時に自分は何を選択するか? その選択で間違いない、正しかったと思っていても、単純に割り切れないこともある。どこかに未練を抱えて生きる人間のドラマとして見ることもできる。


 セクシーで挑発的、ただ愛されることが幸せと思い、奔放に振舞う沓子。夫となる人を愛し、献身的に尽くし続ける貞淑な光子。男性の1人として、どちらか選べと言われたら…。


【西島】 難しい。光子のような信念を持って、夫の仕事をサポートしてくれる女性と、沓子のように感性豊かで、自分に刺激を与えてくれる女性、両方そばにいてくれると、男性としてはありがたい(笑)。でも、女性の中には光子な部分と沓子な部分の両方があるのではないかと思います。


 脚本も手がけたイ・ジェハン監督は、完璧主義者と言われる。衣装・メイク・美術などすべてに目を光らせ、監督が納得するまで何時間でも、最長で30時間、撮影が続行したこともあった。西島も体重を10kg以上増減して役作りに挑んだ。


【西島】 徹底的な役作りをしてくれと言われました。すごくキツかったです。体重を増やした時の姿はワンカットも映っていないですけど(笑)、監督がこだわってくれることほど、役者にとって幸せなことはない。すごく楽しかったです。監督は『風とともに去りぬ』のような壮大なラブストーリーにしたいと熱弁を振るっていましたが、まさに目指していた通りの作品に出来上がったと思います。


 物語の中で重要な役割を担う『ザ・オリエンタル バンコク』でのシーンはすべて、世界屈指のラグジュアリーホテル『マンダリン オリエンタル バンコク』で撮影された。約130年の歴史を持つ同ホテルが、初めて映画のために撮影を許可したという。


【西島】 それは、魔法がかかったような場所でした。ザ・オリエンタル バンコクのスイートルームで、恋人と過ごす。非日常的で夢のようなシチュエーション。しかし、そこで繰り広げられる恋愛は、出会ってすぐに本能的に燃え上がったけど、いろんな事情もあって、執着を募らせたり、すれ違いが生じたりして、とても日常的で普遍的。両方のバランスが取れている点が、この映画の特別さだと思っています。


◆相手が中山さんだったから自然に演じられました


 共演の中山はあこがれの存在。西島は「彼女なしではこの作品は完成しなかったと思う。現場で、中山さんはものすごく強いオーラを放っていた。日本映画のミューズだと思った」と絶賛する。


【西島】 中山さんとの絡みで最初に撮影したのは、トゥクトゥクに乗るシーンでした。ものすごく自然に始まったし、出来上がった作品を観ても本当に自然。僕も相手が中山さんだったから自然に演じられました。


 最後に、「今回の映画のように燃え上がるような恋をしたことは?」と訪ねると、しばらく考え込んで「あります。燃え上がりませんでしたと言うのもちょっと・・・(笑)」とうまくあしらわれてしまった。思い入れが深過ぎて、客観的に観られないと言っていた西島だが、これから映画を観る人に向けては「この映画を観た人が、忘れかけていた想いや封印していた恋の思い出に思いを馳せたり、燃え上がるような恋愛にも前向きになってもらえたりしてくれたら嬉しい」と話していた。


西島秀俊
1971年3月29日生まれ。
横浜国立大学在学中より活動をはじめ、TVドラマ『あすなろ白書』(1993年、フジテレビ系)等に出演、『居酒屋ゆうれい』(1994年、渡邊孝好監督)で映画デビューを果たす。主な主演映画作品に、第9回日本プロフェッショナル大賞主演男優賞を受賞した『ニンゲン合格』(1999年、黒沢清監督)、第59回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に正式出品された『Dolls』(2002年、北野武監督)などがある。昨年は『蟹工船』(SABU監督)、『ゼロの焦点』(犬童一心監督)に出演。
『サヨナライツカ』

【ストーリー】
 1975年、灼熱のバンコク。お金・美貌・愛に不自由なく暮らし、“ただ、愛されること”を求め生きてきた沓子は、ある日、夢に向かって真っすぐ生きるエリートビジネスマン・豊と出逢う。たちまち魅かれ合い、熱帯の夜に溺れていくふたり。しかし、豊は結婚を目前に控え、日本に婚約者がいたのだった。

 叶わぬ恋とわかっていながら、愛することこそが本当の愛だと気づいた沓子は、それでも、豊を愛し続けると決める…。そしてふたりは25年後のバンコクで、運命の再会をするが・・・。

監督・脚本:イ・ジェハン
出演:中山美穂 西島秀俊 石田ゆり子
配給:アスミック・エース
2010年1月23日(土)より全国ロードショー
(C)2009 CJ Entertainment Inc. All Rights Reserved.

公式サイト予告編
 

関連写真

  • 映画『サヨナライツカ』でふたりの女性の間で揺れるエリートサラリーマンを熱演した西島秀俊 
  • 映画『サヨナライツカ』のワンシーン(C)2009 CJ Entertainment Inc. All Rights Reserved. 
  • 映画『サヨナライツカ』主演の中山美穂 
  • 映画『サヨナライツカ』(C)2009 CJ Entertainment Inc. All Rights Reserved. 

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