| 1983年、チェッカーズのボーカリストとしてデビューして以降、音楽だけでなく、ファッションや言動も大きな注目を集めてきた藤井フミヤ。音楽だけでなく、CGアート、デザイン、役者と活躍の場を広げ、常に第一線を走り続けてきた。彼の楽曲の中に、「DADDY'S HEART」という深く壮大なバラード曲がある。アニメ『鉄腕アトム』のエンディングテーマ曲「BOY'S HEART」(03年)のシングルCDのカップリングとして収録されている楽曲だ。“少年の心”と“父の心”、今回の特集のテーマにぴたりと符号するこの2曲。父として、息子としての、藤井フミヤ流の愛の示し方が、そこにある。 「アニメ『鉄腕アトム』のエンディングテーマ「BOY'S HEART」のカップリングで作ったのが「DADDY'S HEART」です。「BOY'S〜」は父親である自分から息子へ贈る歌として、「DADDY'S〜」は自分から今は亡き父に贈った歌です。このシングルCDは“父と子”というコンセプトで作りました」 「父はとても厳しく怖い存在でした。自分のことはほとんど話さない人だったので、亡くなった後にいろんな事実を知った、という感じでした。福岡にいた20才までは、どちらかというと父のことを好きではなかったのですが、自分が東京で暮らすようになってから、ようやく打ち解けることができた感じがしました。初めて孫を抱いた父を見たときに、こんなに嬉しそうな顔をすることもあるのだな、と思いました」 怖いけれども、温かく大きな存在であった父。「大きな背中」や「涙は人に見せちゃダメだ」・・・、「DADDY'S〜」の歌詞の断片からは、父親への想いが痛いほど伝わってくる。そして、親になった今だからこそ、当時の父の想いに気づくこともある。そんな時、ふと思い出す情景は小学生時代の、夏の日のひとコマ。 「初めて自転車を買ってもらった夏の日、小学校の運動場で乗れるようになるまで、後ろを支えてもらいながら練習しました。そのときの父の麦わら帽子姿を思い出します」 自転車の後ろを支えながら、一緒に走る父。自転車を手に入れた嬉しさと、乗れるかな、という不安がないまぜになりながら、必死でペダルをこぐ子供。どちらの額も汗だくだ。そのうち、荷台の重みがふわりと消え、自転車は軽やかに走り出す。そんな胸がツンと突き上げられるような懐かしい思い出を持つ藤井フミヤは今、どんな父親として子供の目に映っているのであろうか。 「基本的な考え方として、子供のためなら、自分の命といつでも引き換えることができます。藤井家では、小学生の間まではすべてにおいて子供の行事を優先し、とことん一緒に遊び、惜しみなく愛情を注ぐというのが子育ての方法でした。中学生以降は、自立心を養うために少し距離をおくようにしています。結果、反抗期はほとんどなく、今では友人のような関係になっています」 | 6/20リリース【初回限定盤】 |
楽曲を制作するうえで、子どもから影響を受けることはあまりない、としながらも、「最近のロックバンドの流行や情報は、子供を通して知ることができますね」という言葉に、誰もが知るポップスター・藤井フミヤとはまた違った、温かな父親としての顔がのぞいた。
【父の日特集 Vol.1】 時任三郎、一方通行を覚悟した愛
【父の日特集 Vol.3】 川畑アキラ、父は一番身近な人生の先輩
2007/06/12