| 上戸彩さん主演話題のドラマをプロデュース 視聴者の趣味嗜好が細分化し、ドラマの性質もマニア化する傾向にある中、「地上波に王道ドラマは欠かせない」と語るのは、『エースをねらえ!』『アタック・1』と上戸彩を主演&主題歌に迎えた話題作を送り出してきたテレビ朝日の三輪祐見子プロデューサー。現在、上戸とのタッグ第3弾となる韓国ドラマのリメイク『ホテリアー』を手掛けている三輪氏に、女性ならではの感性を活かした「王道ドラマ」作りとその意義について伺った。 上戸彩と共に成長してきた女性ファンの期待を反映 ―― 上戸彩さん主演ドラマのプロデュースを務めるのは『ホテリアー』で3作目ですが、今回、彼女を主人公に迎えた意図とは? また上戸さんは、昨年フジテレビさんのドラマ『アテンションプリーズ』で働く女性の一歩手前である訓練生を演じていましたが、その次のステップとして、ぜひ働く女性を演じてもらいたかった。そのふたつが重なって、今回の企画が動き出しました。 ―― 『エースをねらえ!』と『アタック・1』を見て、テニス部やバレー部に入った女子中高生も多かったとか。 |
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| 三輪:それだけ上戸さんは同世代の女性に影響力があるんですね。そして、彼女のファンも一緒に成長しているわけですから、演じる役もそれに合わせていく必要があるかなと思っています。今回、ラブシーンもありますが、21歳という年齢からしたらまったく違和感はないだろうと。また、人物に奥行きを出すために、原作にはないんですが出生の秘密を背負った影の面を役設定に盛り込みました。ただ、彼女の魅力はハツラツとした元気なところだと思いますし、ファンもやっぱりそんな彼女の姿を期待していると思うんです。ですから、あまり影を引きずった人物に映らないように、キャラクターを微調整しつつ彼女の素の持ち味を活かして演じてもらっています。 ―― 過去2作は主演&主題歌の連動で楽曲ヒットに結びついています。今回の主題歌「涙の虹」はこれまでとはひと味違うバラード路線ですが、ドラマの世界観を考えた選曲ですか。 三輪:作曲を手掛けたのが、韓国の新鋭作家の方なんです。曲自体はかなり前からできていて、メロディがとてもいいのでタイミングを見計らって出したいとレコードメーカーさんが温存していたところに、ちょうど今回のドラマが重なったそうです。歌詞は本人の言葉をベースに、何十通りもの歌詞の中から方向性を絞るなど、かなり時間をかけました。ドラマの内容と完全にシンクロする必要はなかったんですが、私も意見交換に参加させてもらったので、とても思い入れの強い楽曲になりました。 ―― 視聴者のターゲットは上戸さんのファンはもちろんですが、さらに広げてどんな層を狙っていますか。 三輪:上戸さんの同世代を起点に、その上のF2〜3にも広げていきたいです。やや年配の女性には韓国ドラマのリメイクということ、さらにはペ・ヨンジュンさんに出ていただけたことが大きなフックになりました。何年もテレビドラマに出ていらっしゃらないですし、原作ファンにとってもサプライズ的なファクターになったのではないかと思っています。また、ホテルを舞台とした群像劇として登場人物の一人ひとりを濃厚に描いています。例えば、熱狂的なファンを持つ及川光博さん、ファッションリーダーとして若い女性に人気のサエコさん、そして竹中直人さんにもドラマ好きなファンの方がたくさんいます。 こうしたキャスト陣を入口に見ていただく方も期待しつつ、中でも上戸さんは間口が広い存在ですから。視聴者を選びたくないというのが、私のポリシーです。それはまた、地上波ドラマの役割のひとつだとも思うので。 誰もが安心して見られる「王道ドラマ」を目指して ―― 個々の趣味嗜好が細分化している時代だけに、ドラマが幅広い層に訴求するのは非常に難しいことだと思います。 三輪:それはとても感じています。当社のドラマで言えば『時効警察』がマニア的に受け入れられているのも、趣味の細分化が要因のひとつだと思います。ただ、時代が変わっても女性が欲するもの、楽しいものはあまり変わらないと思うんですね。夢を見ることだったり、恋愛だったり。そういったものを盛り込んだ作品は作っていくべきだと思うんです。私は「王道派」なんですね。マニアックなドラマばかりになってしまったら、逆にそっちが王道になりかねませんが、視聴者を排除しない、誰もが安心して見られるというのも、地上波ドラマには欠かせない要素だと思うんですよ。 ―― では、王道を極めるために、どのような面に留意していますか。 三輪:わかりやすさですね。ストーリーもビジュアルも。ホテルのシーンは重厚な歴史ある雰囲気の一方で、竹中さん演じる不動産王の会社はちょっと成金っぽいインテリアという視覚的なコントラストなどは、随所に散りばめています。また舞台のホテルのフロントは、ヒルトン東京ベイの一画に立て込みで作ってロケで撮影しています。一流ホテルならではの重厚な空気感はスタジオでは出せないですから。また、VIPが泊まるスイートルームのセットも、かなり細かい部分まで予算を費やしました。特に女性の視聴者はこういった面もしっかり見抜きますから、ビジュアルにはとてもこだわっています。 ―― 今はネットなどを介して視聴者の声がダイレクトに入ってきますから、手は抜けないですね。 三輪:特に王道系のドラマですと、目の肥えたドラマファンにとっては最も批評しやすいジャンルの作品だと思います。だけど、それも厳粛に受けとめつつ、むしろああだこうだと批評してもらいたいんですね。今回は三角関係の要素もありますから、OLさんがロッカールームで「私は彼のほうが好き」とか話題に花を咲かせることで自分を投影しつつ、遊び感覚で見てもらえればと思っています。一人ひとりのキャラを濃くするために、みなさんにはちょっと恥ずかしいくらい「芝居」してもらっています(笑)。 最近のドラマは自然な演技というか、人物描写も比較的あっさり味なものが多いですが、昔のドラマと言えば濃密な人間関係あり、ドロドロな因果ありでしたよね。そこが、少し前に韓国ドラマがブームになった理由のひとつでもあったと思うんですが。 ―― ところで、近年はオンエア後にはDVD化というビジネスモデルが定着しましたが、それによってドラマ作りそのものに変化はありますか。 三輪:もちろん、DVDには何かしら特典をつけますが、最初からDVD化を視野に入れてドラマを作っているわけではありません。『時効警察』や『TRICK』などの目を凝らさなければ見逃してしまう、細かい仕掛けが散りばめられているようなドラマはDVDが非常にヒットしましたが、やはり「もう一度あのシーンを確認したい」という要求が多かった作品だと思うんですね。 ただ個人的には、連ドラはその時間にテレビの前に座って見てほしい、という理想があるんです。だから視覚的にもわかりやすくリラックスして見られて、かつ次週の展開が気になるような仕掛けを盛り込むなどの作りをしようと頑張っています。 ―― 視聴者の「連ドラ離れ」が叫ばれて久しいですが、前クールは好視聴率を記録した作品が多く、光明が見えてきたという声もあります。 三輪:木曜の夜9時は女性も残業を早くすませて、どこかに立ち寄ることもなくドラマを見るために帰ってきてもらえたら嬉しいです。だからこそ、今後も視聴者を選ばない、女性のための王道のドラマをずっと作っていきたいと思っています。 (インタビュー・文/児玉澄子) | |||
2007/06/06