| 新作公開&『ツイン・ピークス』DVD初レンタル 監督生活30年を迎え盛り上がるデイヴィッド・リンチ 昨年のヴェネチア国際映画祭で、長年にわたって優れた作品を生み出してきた功績に対して栄誉金獅子賞が与えられたデイヴィッド・リンチだが、今年に入って、再び彼と彼の作品に脚光を当てようとの動きが顕著になってきている。 まず『マルホランド・ドライブ』から5年を経て、新作『インランド・エンパイア』が夏に登場する。ハリウッド女優がポーランド映画のリメイクに出演するうち、映画と現実の区 | |
| 別がつかなくなるという流れのなか、女優の世界、リメイク映画の世界、さらにポーランド映画の世界、そしてポーランドのロストガール、ウサギ人間まで、複数の世界がモザイクのように紡がれ、リンチならではの世界が構築される。 なにより注目されるのは、この作品がソニーのDVCAMカムコーダー、DSR-PD150を駆使して、全編デジタルで撮影されていることだ。2002年に立ち上げたリンチの会員サイトで導入して以来、その手法に磨きをかけ、この作品で世に問うたかたちとなった。デジタルで撮影することによって、製作費に左右されることがなくなる。彼のような閃いたアイデアを映像化するタイプには格好のツールといえるだろう。実際、リンチは「今後はフィルムを使っての映画製作はしないだろう」とコメントしている。 好きなときに、好きなように映画づくりを行う。この撮影スタイルによって、本作品はポーランド、ロサンゼルスにロケーションを敢行。リンチの作品にたびたび出演しているローラ・ダーンが主演のみならず、プロデューサーに名を連ねることで、さらにリンチの創造の自由が確保されることになった。 共演者もジェレミー・アイアンズからハリー・ディーン・スタントン、ウィリアム・H・メイシー、ナスターシャ・キンスキー、そして前作でスターダムにのし上がったナオミ・ワッツなどなど、リンチ作品ゆかりの人をふくめ充実した俳優陣が協力している。しかも、日本人にとっては『硫黄島からの手紙』に続いて裕木奈江が熱演をみせるのが嬉しい。とつとつとした英語で長いセリフをこなし、みごとリンチ世界の一員となっている。 この作品によってインディペンデント・スピリット映画賞の特別栄誉賞を受賞したリンチ、おりしも今年は長編映画監督第1作『イレイザーヘッド』発表から30年を数える。それを記念してではないだろうが、1990年代にセンセーションを巻き起こしたリンチのテレビシリーズ『ツイン・ピークス』が、いよいよDVD初レンタルされる。まず6月8日にシーズン1のレンタルが開始され、22日と7月6日にシーズン2が開始となる(シーズン2のセルDVDは秋に発売予定)。 アメリカ北西部の町、ツイン・ピークスで起きたローラ・パーマー殺人事件を契機に、FBI捜査官クーパーが裏に隠された謎の数々に翻弄される展開は、放映当時、新鮮な衝撃をもたらした。しかもリンチは人気に安住せず、シーズン2からはさらにミステリアスかつ知的引用を盛り込んで、視聴者を煙に巻いた。かんたんに説明できないが、映像的魅力に翻弄される作品。リンチの意図は、現在みると、いっそう鮮明に迫ってくる。アメリカでは4月3日に解禁になって、リンチ熱はじわじわと盛り上がってきているとか。フランスではパリのカルティエ現代美術財団が、美術家でもあるリンチの一大回顧展を開催中(5月27日まで)。 日本ではリンチと親交が深いアニエスベーが『インランド・エンパイア』のスチール写真展を、アニエスベー青山店(7月14日〜8月6日)とアニエスベー神戸大丸店(7月21日〜8月6日)で開催する。2007年はリンチ復活年になる! |
2007/05/16